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二十四節気「夏至」

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本日6月21日は「夏至」(げし)です。
「夏至」は一年で太陽が
最も空高いところまで昇り、
一年の中で昼の時間が最も長くなる日です。
 
 

夏至とは?

「夏至」は昼間の時間が最も長い日のこと。
「夏至」の日は、
太陽の位置が1年で最も高くなるので、
日が昇ってから沈むまでの時間が長い訳です。
 
尤も、昼の時間が長いというのは、
北半球での話で、
南半球では最も昼の時間が短い日になります。
 

 
同じ日本でも、緯度によって
昼の時間は微妙に変わります。

例えば東京では、
「夏至」の日の日照時間は約14時間35分。
一方、最も日照時間の短い「冬至」は
約9時間35分なので、約5時間も長くなります。
 
「夏至」と「冬至」の日照時間の差が
最も大きいのは北海道で約8時間もあります。
逆に小さいのは沖縄県で約3時間半程です。
 
日本の場合、「夏至」は梅雨期であり、
曇りや雨の事が多いため、
昼間の長さを実感することは少ないです。
 
例えば前述したように、
東京の日照時間は約14時間35分ですが、
曇りや雨の事が多いため、
実際の日照時間は平年で3~4時間程度と
なっています。
 
「夏至」がいつになるのかについては
天文学的に決まり、
毎年6月21日か22日になります。
そしてこの日を境に、
だんだんと日が短くなっていきます。
 
「夏至」は「立夏」と「立秋」の
ちょうど真ん中に当たります。
「夏に至る」と書くように、
この頃から夏の盛りに向かっていきます。
 

日の出が最も早いのは「夏至」ではない⁈

 
「夏至」は、あくまでも日の出から日の入り
までの昼間の長さが最も長い日のことで、
一年の中で日の出の時間が最も早いのは、
「夏至」の一週間程前になります。
日の入りの時間が最も遅くなるのは、
「夏至」の一週間程後になります。
 
これは地球が太陽の周りを回る
「公転面」に対して
自転の軸が傾いていることや、
太陽のまわりを回る
「公転軌道」が真円形でないこと
などが理由です。
 
日の出が最も早い日と
日の入りが最も遅い日は、
南へ行くほど差が大きくなり、
沖縄付近では10日程ズレますが、
北海道付近では5日程しかズレません。
ただ一日で数秒の差なので、
実際に変化を感じることは難しそうです。
 

夏至と梅雨

 
北海道を除く日本の本土では、
「夏至」の前後のおよそ20日ずつが
梅雨期間に当たり、
「夏至」以前の20日間「梅雨前期」は
雨量はさして多くはありませんが、
しとしとと長雨が続きます。
一方、「夏至」以後20日間「梅雨後期」は、
集中豪雨型の大雨が断続的に起こりますので、
注意が必要です。
 

夏至祭

太陽の生命力を得ようと、
北半球で「夏至祭」を行うところが
たくさんあります。
特に北欧では盛んに行われています。
中でも有名なのが、スウェーデンで
行われている夏至祭「ミッドサマー」で、
最も重要な年間行事の一つとされています。
 
スウェーデンの夏至祭「ミッドサマー」
スウェーデンでは、6・7月は「白夜」となり、
ストックホルムでは、夜の22時頃に夕日が沈み
朝4時頃に朝日が昇ります。
 
6月19日から26日の間で、
夏至に最も近い土曜日「ミッドサマー」と、
その前日「ミッドサマーイブ」の
2日間が祝日になり、盛大にお祝いをします。
 
この「ミッドサマー」に欠かせないのが、
白樺の葉と季節の野花で美しく飾られた
「メイポール(マイストング)」と呼ばれる
柱を立てることです。
そしてその周りをその土地の民族衣装を着て、
伝統の「カエルのダンス」と呼ばれる
フォークダンスを踊ります。
 
女の子が「ミッドサマーイブ」の日に
8種類ほどの草花を摘んで、
それを枕の下に敷いて寝ると、
将来の結婚相手を夢見ることが出来るという
可愛らしい言い伝えなどもあります。
 
「ミッドサマー」と言えば、
例年天気がいまいちなことで有名です。
カラッと晴れるということは滅多になく、
雨が降り小寒い「ミッドサマーの天気」という言葉もあるほどです。
ただどんな天気でも、食事を外でして、
ダンスも必ず踊るのが、スウェーデン流の「ミッドサマー」のお祝いだそうです。
 
二見興玉神社」の「夏至祭

 
日本では、三重県伊勢市にある
二見興玉神社(ふたみおきたまじんじゃ)
行われる「夏至祭」が有名です。
 
神代の昔、第11代垂仁天皇の皇女・倭姫命やまとひめのみこと
天照大御神の御魂を鎮座する処を求め、
伊賀・近江・美濃と各地を巡っていました
(「倭姫命の巡行」)。
 
長旅の末に辿り着いた伊勢国で、
倭姫命は天照大御神からのお告げを聞きます。
 
 この神風の伊勢の国は常世の浪の重浪
 帰する国なり。傍国の可怜国なり。
 この国に居らむと欲ふ。
 
 神の風が吹く伊勢の地は、海の彼方にある
 世界から波が幾重にも折り重なって寄せられ
 辺境ではあるが美しい国なので、私はこの国
 に住もうと思う。
 
そうして、「二見浦」(ふたみがうら)
船を着けた倭姫命は、あまりの美しさに
二度も振り返ってご覧になったことから
「二見」と呼ばれるようになったそうです。
 
「二見浦」は、大小の岩が仲良く並ぶ
「夫婦岩」(めいといわ)で知られています。
大きい「男岩」と寄り添う小さな「女岩」は
大注連縄で結ばれています。
 
夫婦岩に懸けられる大注連縄は、
古式によって調製されるもので、
縄の長さ35m、男岩に16m、女岩に10mが巻かれ、その間の長さは9mあります。
大注連縄は5月5日、9月5日、
12月中旬土日曜日に張り替えられます。
 
元々「夫婦岩」は、それ自身が
祭祀の対象ではありませんでした。
その沖合700m先に鎮まる猿田彦大神縁りの
興玉神石(おきたましんせき)と呼ばれる岩礁と、
日の大神を遙拝するための「鳥居」のような
役割を果たすものと考えられています。
 
「お伊勢参りは二見から」と言われ、
太陽神・天照大御神(あまてらすおおみかみ)
御祭神とする「伊勢神宮」に参拝の前に、
まず「二見興玉神社」(ふたみおきたまじんじゃ)
ある二見浦海岸で禊をする「浜参宮」という
習わしがありました。
現在でも、まず神社に参拝してお祓いを
受けてから神宮へ向かう参拝者も多いです。
 
 
「夫婦岩」の間から昇る朝日は、
「夏至」を中心に、5月・6月・7月の
3ヶ月間だけ拝すことが出来ます。
そして、太陽の力が最大になると考えられる
「夏至」の日に「夫婦岩」の間から昇る
朝日を浴びながら禊を行う「夏至祭」が
行われています
 
早朝の3時30分から祭典が始まり、
白装束に身を包んだ300人近くの善男善女が、
天照大御神をお迎えるために、
祝詞を唱え気合いを入れつつ海に入り、
朝日が昇ろうとする「夫婦岩」に向けて
歩いていきます。
そして朝日に向かって
国歌を合唱をするそうです。
 

futamiokitamajinja.or.jp

 

夏至に食べるといい「食べ物」は?

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 昔、田植えは「夏至の頃、半夏生まで」と
言われました。
低温に強い稲が出来るまでは、
田植えの時期は今より遅く、
梅雨の時期に行うものだったため、
この頃は農繁期で、とても忙しい時期でも
ありました。
 
古くから「夏至」は太陽の力が最大になると
考えられてきました。
そこでこの時期には、太陽の恵みに感謝し、
豊作祈願の食べ物を食べる習わしが
各地に見られます。
また、麦の収穫を終える頃なので、
麦を使った料理を食べる風習があります。
 
半夏生餅
田植えが終わると「小麦餅」を作って、
田の神に供えてから食べる習わしが
各地に残っています。
関西(特に奈良県や大阪府の一部など)では、
この小麦餅を「半夏生餅」(はんげしょうもち)と言います。
 
うどん

同じ理由で、うどん県(香川県)では、
収穫した小麦でうどんを打ち、
農作業を手伝ってくれた人達に振る舞います。
(7/2「うどんの日」)
 
たこ

関西では「タコ」を食べる風習があります。
作物がタコの足のように、大地にしっかりと
根を張るようにとの願いが込められている
のだとか。
 
半夏生さば
福井県大野市では、江戸時代、
農作業の疲労回復と
盆地特有の蒸し暑い夏を乗り切るために、
大野藩藩主が焼き鯖を奨励したことから、
鯖の丸焼き「半夏生さば」を食べます。
 
イチジク

イチジクの出荷量・販売額ともに
全国1位を誇る愛知では、
その不老長寿の果物と言われるイチジクを
田楽踊りに由来する味噌田楽で食べるところもあるそうです。
 

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