うまずたゆまず

コツコツと

夏至祭


太陽の生命力を得ようと、
北半球にある多くの国では
「夏至祭」が行われています。
特に北欧では盛んに行われています。
 
 

日本各地の夏至祭

日本では田植えの時期という理由などから、
大きなお祭りはあまり行われていませんが、
二見興玉神社」の「夏至祭」では、
早朝より善男善女がに入って、
「夫婦岩」の間から昇る朝日を浴びながら
禊を行います
 
二見興玉神社」の「夏至祭

 
三重県伊勢市にある
二見興玉神社(ふたみおきたまじんじゃ)
夏至祭」が有名です。
 
「二見浦」(ふたみがうら) は、
大小の岩が仲良く並ぶ
「夫婦岩」(めいといわ)で知られています。
大きな左側の石「男岩(立石)」と
右側の寄り添う小さな石「女岩(根尻石)」は
大注連縄で結ばれています。
 
「夫婦岩」の間から昇る朝日を拝めるのは、
「夏至」を中心に、5月~7月の3ヶ月間のみです。
太陽の力が最大になると考えられる
「夏至」の日には、
遠く富士山を望む絶景の中、
「夫婦岩」の間から昇る朝日を浴びながら
禊を行う「夏至祭」が行われています
 
当日は、早朝の3時30分から祭典が始まり、
白装束に身を包んだ300人近くの善男善女が、
天照大御神をお迎えるために、
祝詞を唱え気合いを入れつつ海に入り、
朝日が昇ろうとする「夫婦岩」に向けて歩き、
朝日に向かって国歌を合唱をするそうです。
 

futamiokitamajinja.or.jp

 

世界の夏至祭

日本では、あまり大きな祭りはありませんが、
欧州、特に北欧では「夏至」は、
一年のうちでも大切な節目の日として
「夏至祭」を盛大に祝うところが多いです。
 
スウェーデンの夏至祭
「ミッドサマー」
 
欧州で行われている「夏至祭」中で
最も有名なのが
スウェーデンの夏至祭「ミッドサマー」で、
スウェーデンで最も重要な年間行事の一つと
されています。
 
スウェーデンの6・7月は
「白夜」になることから、
首都のストックホルムでは、
夜の22時頃に夕日が沈み、
朝4時頃にはもう朝日が昇ります。
 
6月19日から26日の間で、
夏至に最も近い土曜日の「ミッドサマー」と、
その前日「ミッドサマーイブ」の2日間が
祝日になり、盛大にお祝いをします。
この「ミッドサマー」に欠かせないのが、
白樺の葉と季節の野花で美しく飾られた
「メイポール(マイストング)」と呼ばれる
柱を立てることです。
そしてその周りをその土地の民族衣装を着て、
伝統の「カエルのダンス」と呼ばれる
フォークダンスを踊ります。
女の子が「ミッドサマーイブ」の日に
8種類ほどの草花を摘んで、
それを枕の下に敷いて寝ると、
将来の結婚相手を夢見ることが出来るという
可愛らしい言い伝えなどもあります。
「ミッドサマー」と言えば、
例年天気がいまいちなことで有名です。
カラッと晴れるということは滅多になく、
雨が降り小寒い「ミッドサマーの天気」という言葉もあるほどです。
ただどんな天気でも、
食事を外でして、ダンスも必ず踊るのが、
スウェーデン流の「ミッドサマー」の
お祝いだそうです。
 
フィンランドの夏至
スウェーデンと同じく夏至の頃に
「白夜」を迎えるフィンランドでも
「夏至祭」は一年のうちで
重要な行事の一つです。
 
フィンランドでは、古くから、夏至に
子孫の繁栄や伴侶を見つけることを願う
行事が行われてきたそうで、
枕の下に7種類の花を置いて寝ると、
夢で将来の伴侶に出会えるという話もあります。
現代でも夏至の日に結婚式を挙げるカップルは
多いそうです。
 
 
またかつては夏至祭の間、
「コッコ」と呼ばれる篝火焚いて、
悪魔を追い払い豊作を願いました。
今でも、大騒ぎすることで悪魔を追い払い
幸運を呼ぶとも言われており、
夏至を祝うパーティーは、
朝を迎えるまで賑やかに続きます。
 
ポーランドの夏至
 
ポーランドを含むスラブ諸国では、古代から
「夏至祭り(Noc Kupały ‐ノツ・クパウィ)」の日は
水と火、愛と子孫繁栄、太陽と月を
祝う日であり、
占いや儀式などが行われてきました。
そのほとんど全てが健康と豊作に関係するものでした。
 
 
また夏至祭りの夜には、未婚の少女達が
花やハーブで花輪を編んで、
下流で待ち構える青年達に川に流しました。
青年達は花輪を掬うと少女達のところへ行き、
晴れてカップルが成立した二人は、
幸せになれるという言い伝えのある花
「ファンフラワー (kwiat paproci)」を探しに
森へ散歩に出ます。
 
イギリスの夏至
イギリスでは、イングランド南部にある
古代遺跡「ストーンヘンジ」で行われる
「夏至祭」が有名です。
中心にある「祭壇石」と
少し離れた「ヒールストーン」を結ぶ
直線状に朝日が昇ります。
毎年多くの人が、
この「ストーンヘンジ」から昇る
神々しい太陽を見ようと、
夏至の朝を迎えます。
 
ギリシャの夏至
ギリシャでは、夏至のおよそ3日後にある
「聖ヨハネの日」があります。
 
 
この日、ギリシャの未婚の女性は、
イチジクの木の下に
自分の持ち物を入れた容器を置きます。
すると夏至の魔法がかかり、
将来の伴侶の夢を見る言い伝えられています。
男性は交替で焚き火の上を飛び越しますが、
3回上手く飛び越すと願いが叶うと言われ、
カップルも生まれると言われています。
 
スペインの夏至祭「サン・ファンの火祭り」
 
夏至のこの時期、スペイン全土では
「サン・ファンの火祭り」が盛大に祝われます。
 
 
「サン・ファン」とは、
キリスト教の洗礼者「聖ヨハネ」のことで、
現在では、6月24日の「聖ヨハネ」の誕生を祝うお祭りと位置づけされているようですが、
この日に火を焚く行事は
キリスト教以前から存在して、
1928年に正式に「サン・ファンの日」と制定され、
6月24日はスペインの祝日となりました。
スペインではこのお祭りを機に、
一気に夏モードに突入します。
学校では夏休みが始まり、
バケーションへ出掛ける人も増えてきます。
 
その他のヨーロッパの夏至
その他のヨーロッパ諸国でも
様々な「夏至」の行事や風習が行われています。
 
夏が短く貴重な北東ヨーロッパでは、
「夏至」は、太陽を崇めその恵みに感謝し、
沢山の恵みを願う特別な日です。
そして悪霊や悪運を駆除し、
幸運と夏の終わりの豊作をもたらすものとして
夏至祭には「焚火」は欠かせません。
 
 
ラトビアやウクライナ、ロシアなど
多くの国では
燃え盛っていた焚火の火の勢いが衰えると
翌年の健康を祈って焚火の上を飛び越える
「焚火越え」が行われます。
 
 
リトアニアでは、丘の上で、
皆で夜通し大きな焚き火を囲みます。
その光がより遠くまで届けば届くほど
秋の収穫もより豊かで稔りあるものとなると
信じられています。
この焚火は福を呼ぶとされて、
新婚夫婦が焚火の火を持ち帰る習慣が
残っています。
 
 
デンマークでも焚火は不可欠です。
夏至の夜は「魔」が活発になるため、
魔女の人形を焚火で焼いて
「魔」を焚火で追い払うという儀式を行います。
 
 
フランスのプロバンス地方では
子供達が火焚きの薪を集めて歩く、
日本の「どんど焼き」と似た行事が
行われます。
 
 
ドイツでも火を焚く風習があり、
この夏至の祝い火は、落雷除け、魔法除け、
牛疫除けと信じられています。
 
南半球では冬至
 
北半球が「夏至」を迎える日は、
南半球では「冬至」を迎えます。
南半球のブラジルではこの日、
「フェスタジュニーナ (Festa Junina)」という
お祭りを行います。
元々は欧州各地で行われていた
豊穣を祈願する祭りを、
16〜17世紀にポルトガルからブラジルに
持ち込まれ各地で開かれたのが始まりです。
 
ブラジルでは冬至や収穫に、
「聖ジョアン・バチスタの日」(6/24)を祝う
感謝祭となりました。
現在ではカーニバルと並ぶ、
もしくはそれ以上にブラジル全土が盛り上がる
6月(7月)の大イベントとなっています。