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二十四節気「春分」

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太陽が春分点を通過した瞬間、
すなわち太陽の視黄経が0度となった瞬間を
「春分」と定義しています。
昼と夜の長さがほぼ同じになり、
この日を境に昼間の時間が長くなっていきます。
 
 

『暦便覧』
(こよみびんらん)

今から234年前の天明7(1787)年に
太 玄斎(たい げんさい)が著した
暦の解説書『暦便覧』には、
「春分」については、
「日天の中を行て昼夜等分の時也」
と記されています。
 
昼夜の長さがほぼ同じ日と言われています
(実際には日中の方が14分程長いです)。
この後は昼の時間が長くなって行きます。
 

「春分」とは

「春分」とは春の半分という意味であり、
立春」から「立夏」の前日まで続く
春の中心に当たります。
 

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地球の赤道を延長した天の「赤道」と
太陽の通り道の「黄道」がちょうど交差した
「黄径0度」(春分点)に、
太陽がちょうど到達した瞬間のことを
言います。
 
太陽がほぼ真東から昇って真西に沈み、
冬至」から徐々に伸びてきた昼の長さが
夜の長さとほぼ同じになり、
この日から「夏至」まで昼が更に長くなり、
夜が短くなります。
 
日本列島では南から水が温み始め、
桜の開花情報が聞かれるのもこの頃からで、
いよいよ本格的な春の到来です。
とはいえ、花冷えや寒の戻りがあるので
暖かいと言っても油断は禁物です。
 
また「春一番」が吹くのもこの頃です。
「立春」から「春分」までの間に吹く
強い南寄りの風のことで、
風が春を連れてきてくれるかのようです。
 

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ヨーロッパなどでは、「春分」をもって
春の始まりとしています。
 
二至二分(にしにぶん)
季節が移り変わる中で、
季節の変わり目はとても重要な時期で、
中でも重要とされている
夏至」「冬至」の二至と
「春分」「秋分」の二分を合わせて
「二至二分」(にしにぶん)と言います。
 
春夏秋冬、それぞれの季節の真ん中である
「中気」に分類され、陽の傾きに注視した
とても重要な位置づけの節目とされています。
 
夏至
 一年の中で、日の出から日の入りまでの
 時間が最も長い期間
冬至
 一年の中で、日の出から日の入りまでの
 時間が最も短い日期間
「春分/秋分
 太陽が真東から上がって真西に沈むため、
 昼夜がほぼ同じ時間になる期間
 
暑さも寒さも「彼岸」まで
厳しい残暑や寒さも、「お彼岸」の頃には
和らいで過ごしやすくなるという意味です。
寒気もようやく和らぎ、
春らしく暖かな日が多くなります。
 
昼と夜の長さが同じだからと言って、
「春分」と「秋分」の気温が同じになる
訳ではないそうです。
暑さの名残りで「秋分」の方が
「春分」よりも10度以上も気温が高いのですが、
厳しい暑さや寒さも目処がつく頃なので、
「暑さ寒さも彼岸まで」と言われるようになり、
慣用句として定着していきました。
 
踏青(とうせい)、野遊び(のあそび)
「暑さや寒さも彼岸まで」と言われ、
過しやすい季節になったことから、
山野に出掛け、
食事をしたり遊んだりしながら、
一日を楽しみ過ごす「野遊び」や「山遊び」
などをする地方もあります。
 
現在では単なる行楽となっていますが、
元は本格的な農事の始まりに先駆けて、
田の神を祀る資格を得るために
山に籠って精進する行事であったと
されています。
 
彼岸過ぎまで七雪
「暑さも寒さも彼岸まで」の
対義語に相当することわざに、
「彼岸過ぎまで七雪」(ひがんすぎまでななゆき)
というのがあります。
「春の彼岸が過ぎても、雪が度々降る」
という意味です。
 
「彼岸過ぎても七はだれ」と
言い換えることも出来ます。
因みに「はだれ」とは、「うすく積もった雪」や「はらはらと降る雪」のことです。
 
寒さの果ても「涅槃」まで
「寒さの果ても涅槃まで」という
ことわざもあります。
「寒さも、陰暦の2月15日に当たる
 『涅槃会』(ねはんえ)を過ぎると和らぐ」
という意味です。
 
「涅槃会」(ねはんえ)とは、
仏教の開祖である釈迦牟尼(しゃかむに)
入滅(にゅうめつ)した忌日(きにち)に行う
法会のことです。
 

春の彼岸(はるのひがん)

「春分」を中日として、
その前後3日間ずつ、計7日間を言います。
仏教語の「至彼岸」(とうひがん)から来ていて、
凡俗の生死流転の世界(此岸)から
悟りの境地涅槃(彼岸)に至るという意味です。
 
ですが「お彼岸」は、他の仏教国にはない
日本だけで行われている行事です。
寺院では「彼岸会」という法会が営まれる他、
祖霊供養のために、
彼岸団子や彼岸餅を作って仏壇に供えたり、
お墓参りをするのが習わしです。
 
因みに俳句の上では、
「彼岸」は春の彼岸を言い、
秋分」を中日とする秋の彼岸は
「秋彼岸」とか「後の彼岸」と言います。
 

春分の日(しゅんぶんのひ)

「国民の祝日」の一つで、昭和23(1948)年7月に
「自然をたたえ、生物をいつくしむ」日として
制定されました。
かつては「春季皇霊祭」(しゅんきこうれいさい )
いう祭日でした。
「春の彼岸」の中日に当たり、
祖先を祀り、墓参や寺社参拝を行います。
 

花見(はなみ)

 
桜が満開すると、花が愛でてそぞろ歩いたり、
花下に敷物を広げ、重箱に詰めた花見弁当や
花見酒を飲食するなどして楽しみます。
 

七十二侯

初侯「雀始巣」
(すずめはじめてすくう)
雀が巣を作り、
雛を育てる準備を始める時期です。

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次侯「桜始めて開く」
(さくらはじめてひらく)
桜の蕾が柔らかくほころんで、開く時期です。

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末侯「雷乃声を発す」
(かみなりこえをはっす)
雷が鳴ると春が来たと言われています。

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