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コツコツと

七十二候「雷乃発声」

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「かみなりすなわちこえをはっす」
と読みます。
 
 
春の訪れとともに、恵みの雨を呼ぶ雷が
遠くの空で鳴り始める頃です。
 
「立春」以降に鳴る雷のことを
「春雷」(しゅんらい)または「春の雷」(はるのらい)言います。
 
「春雷」は春の到来を伝えると言われ、
冬眠していた地中の虫達が雷鳴に驚いて目覚めるという意味から
「虫出しの雷」とも呼ばれています。

 
「春雷」は夏の雷である「熱雷」とは成り立ちが違います。
夏の雷「熱雷」は、熱せられた上昇気流によって形成された
「積乱雲」による雷です。
 
一方「春雷」は、低気圧に伴う寒冷前線が移動する時に
大気が不安定になることで発生する雷である
「界雷」(かいらい)の一種で、雹(ひょう)を伴うこともあるので、
注意が必要です。
 

 
 
雷光を稲の妻「稲妻」と呼ぶようになったと言います。
先人の言葉に「雷の多い年は豊作になる」というのがあります。
雷の光が稲を育てて実りをもたらすと信じられていたのです。
それで「雷」は「神鳴り」あるいは「鳴る神」とも書きます。
 
ですが、この言葉の背景にはきちんとした理由があるようです。
植物の成長に欠かせない三大要素は
「窒素(N)」「リン酸(P)」「カリウム(K)」です。
これらを外部からバランスよく施すことが、
稲の収穫量を上げる上で大切になります。
 
雷の放電現象によって、
空気中の「酸素」や「窒素」がイオン化されます。
これらのイオンが雨に溶け込んで、
大地に天然の肥料を提供してくれます。
空気の成分の大部分は「窒素」なので、
天然水で程良く希釈された窒素肥料が十分に供給されるので、
豊作となるのだそうです。
 

 
今回の候は、
秋分の初候「雷乃収声」(かみなりすなわちこえをおさむ)
対になる候です。
 

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