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春の社日・秋の社日

「社日」は「雑節」の一つで、
「産土神様」(うぶすながみさま)を祀る日です。
 

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社日とは

「社日」(しゃにち)は「雑節」の一つです。
「雑節」とは、五節句や二十四節気・七十二候などの他に、
季節の移り変わりをより的確に掴むために設けられた
日本独自の特別な暦日のことです。
  • 節分
  • 彼岸(春・秋)
  • 社日(春・秋)
  • 八十八夜
  • 入梅
  • 半夏生
  • 土用
  • 二百十日
  • 二百二十日
 
「社日」の「社」とは、
生まれた土地の守護神である「産土神」(うぶがみさま)をのことで、
現在では余り行われてはいませんが、
古くからこの日は、産土様へお参りする風習がありました。
 

linderabella.hatenadiary.com

 

社日の日にち

 
「社日」は、春と秋の年に2回あり、
春のものを「春の社日(春社)」、
秋のものを「秋の社日(秋社)」と言います。
 
令和4(2022)年の「社日」は以下の日付になります。
  • 春の社日:3月16日 [水]
  • 秋の社日:9月22日 [木]
 
「春の社日」、「秋の社日」は、
「春分」や「秋分」に最も近い「戊」(つちのえ)の日になります。
(同日数の場合は、春分や秋分のの戌の日)
 
 春の社日   秋の社日 
  十干
3/15 [火]  
3/16 [水] 春の社日
3/17 [木]  
3/18 [金]  
3/19 [土]  
3/20 [日]  
3/21 [月] 春分の日
3/22 [火]  
3/23 [水]  
3/24 [木]  
3/25 [月]  
3/26 [月]  
3/27 [火]  
3/28 [水]  
  十干
  9/19 [月] 敬老の日
  9/20 [火]  
  9/21 [水]  
9/22 [木] 秋の社日
  9/23 [金] 秋分の日
  9/24 [土]  
  9/25 [日]  
  9/26 [月]  
  9/27 [火]  
  9/28 [火]  
  9/29 [水]  
  9/30 [木]  
10/01 [金]  
10/02 [土]  
 
 
「春分の日」や「秋分の日」から
最も近い「戊の日」に定められた理由は、
Chinaが起源とされる「陰陽五行説」において
「戊」(つちのえ)の日は、「土」に該当する属性であり、
「戊」は「茂」に通じ、「陽気によって繁栄する」
「草が盛んに生長する日」だからです。
 
この風習が日本に伝えられると、
土地の神様を信仰する日本の風土に合い、
古くからある「地神信仰」や「田の神信仰」と融合して、
重要な農耕儀礼として全国に広まりました。
 
「春の社日」は種まきの季節なので、
その年の五穀の種(米・麦・豆・粟・黍か稗)を供えて
「五穀豊穣」を願います。
 
一方、「秋の社日」は作物の収穫の季節なので、
その年の「収穫を感謝」して土地の「産土神」に参拝します。
 
 

社日の禁忌

社日は土地の神様の他に、
農耕を司る土の神様の日とも考えられていました。
 
そのためこの日は
土をいじったり掘り起こしたりすると
神様のいる場所を穢したり、
神様の頭を掘るようなことになったりするので、
もし破れば、土地神の怒りを受けるとされました。
ですから、この日は農事は休みとされました。
 

各地で行われる社日のお祭り

社日に行われる行事は、
それぞれの土地の神様を祀るものであるため、
地域によって様々です。
 
お地神さん(徳島県)
四国徳島県では、春と秋の社日に
「お地神さん」という祭礼が行われます。
地域全ての講中(村の寄り合い)が集まって、
「地神塔」と呼ばれる五角柱の石塔に注連縄を張り、
供え物をして手厚く神事を行います。
徳島県には何と
県内に2000基もの「地神塔」があると言われています。
 
お社日様(長野県小県郡)
長野県小県郡(ちいさがたぐん)では、
春に村へ降りてきて秋に山へ帰る田の神様を、
「お社日様」として信仰しています。
春の社日には、お餅をついて祝い、
秋の社日には、稲を一株抜いて
田の神様に捧げるお祭りが行われます。
 
お潮井取り(福岡県・筥崎宮)
福岡県の筥崎宮では、「お潮井取り」という行事が行われます。
お潮井は、筥崎宮前の海岸(箱崎浜)の真砂のことを言い、
それを「でぼ」と言う竹のかごに入れて、
玄関先に下げておく風習があります。
このお潮井で、外出の時に身を清め災いを払うのは、
博多に古くから伝わる風習です。
お潮井は、家屋を新築する際に敷地を祓い清めたり、
農家では田畑に撒くことで、
虫を除け、豊作を祈るという使い方もされています。
そして、社日の日のお潮井は、特に尊いものとされています。
 
探湯神事(群馬県・社日稲荷神社)
群馬県の社日稲荷神社では、春と秋の社日祭において
江戸時代から続く「探湯神事」(くがたちしんじ)が行われます。
神前に供えられた大釜に沸かした熱湯を、
小笹を使って全身に浴びることで、
家内安全や厄難除けなどの祈願をするというものです。