立春から数えて88日目の5月2日〜3日目頃を
雑節「八十八夜」と言います。
令和6(2024)年は5月1日(火)になります。
雑節「八十八夜」とは
「八十八夜」は雑節のひとつで、
立春から数えて八十八日目に当たる日の
ことです。
暦の上では、この日から「夏」になり、
農作業を始める目安とされてきました。
しかし、この頃はまだ昼夜の寒暖差が激しく、
農作物が「遅霜」の被害を受けることも
少なくないため、江戸時代頃から、
天候への警戒を促し、
折角の作物が無駄にならないようにと、
暦に記されるようになりました。
八十八夜の別れ霜
この時期になると、
「もう霜が降りない」とか
「田畑の霜害の心配が要らなくなる」という
意味で、「八十八夜の別れ霜」と
言われてきました。
霜も去ったことだから、
そろそろ田植えをしようかということです。
八十八夜の忘れ霜
ですが、この頃には急に気温が低下して、
霜が降りて折角植えた苗に害をもたらすことも
あります。
このに降る霜を「忘れ霜」と言って、
油断をしていると、霜が降りて
苗がやられてしまうこともあるから
気を付けてという意味で、
「八十八夜の忘れ霜」と言われました。
九十九夜の泣き霜
「八十八夜の別れ霜」は、
雑節「八十八日」になれば、
もう霜の心配は無くなるということでしたが、
これで安心して気を緩めると、
その後の「遅霜」で被害が出ることも
希にはあることから
「五月五日の別れ霜」とか、
5月13日頃の「九十九日」までは
注意したほうがよいということで、
「九十九夜の泣き霜」という言葉もあります。
新茶
「八十八夜」はまた、
「新茶」の茶摘みを行う時期の目安にも
なっています。
この日に摘んだお茶を摘んだお茶を
「一番茶」とか「新茶」と言って、
「八十八夜の新茶を飲むと病気にならない」
「長生きする」など、
縁起の良い様々な言い伝えが残っています。
新茶を縁起の良いものとして言われるには、
いくつか訳があります。
お茶の葉は、1年に3~5回の収穫出来ます。
中でも「八十八夜」の頃に収穫される
「一番茶(新茶)」が
一番成分が豊富と言われているためです。
例えば甘味・旨味成分である「テアニン」は、
「二番茶」以降の3倍以上も含まれているとか。
人々は経験的に「新茶」が優れていることを
知っていて、「八十八夜」のお茶に
「新茶を摂取して健康を維持したい」という
願いを込めて、言い伝えを残したのでしょう。
新茶の収穫は、タイミング勝負。
お茶は、発芽する前は寒さに強いのですが、
発芽後は急に霜に弱くなります。
一方、伸びれば伸びるほど、
「テアニン」の含有量は減っていって
しまいます。
お茶農家さんは、成長の具合や、
季節の進み具合を見極めて一気に収穫します。
「八十八夜」はまさにそのタイミングなの
です。
文部省唱歌『茶つみ』
八十八夜の頃に行われる新茶まつり
(日付は令和5(2023)年度)
🌿静岡の新茶まつり(静岡県)
🌿狭山新茶と花いっぱいまつり :4月29日
🌿ところざわ新茶まつり
(埼玉県所沢市):4月30日
(埼玉県所沢市):4月30日
🌿八十八夜新茶まつり
(埼玉県入間市) :5月2日
(埼玉県入間市) :5月2日
🌿八女の新茶まつり(福岡県) :5月5日
八十八を組み合わせると「米」
「八十八」という字を組み合わせてみると
「米」という字になることや、
末広がりの「八」が重なることから、
「八十八夜」は縁起の良い「農の吉日」と
されます。
また「八十八夜」の後は霜の心配がないため、
苗代づくりを始め、そろそろ田植えも始まり
ます。
お米が出来るまでには、
88回もの手間が掛かると言われています。
昔に比べて今は便利な機械もあるので、
米作りも早く楽に出来るようになりました。
それでも、
イネを育ててお米を収穫するまでには
たくさんの手間がかかります。
大切に手をかけて育てられたお米だから、
大事に食べたいですね。