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秋雨前線(あきさめぜんせん)

 
「秋雨前線」(あきさめぜんせん)とは、
9月半ばから10月初め頃に出現する停滞前線の
ことを言います。
台風シーズンと重なるため、前線の活動が
活発化して大雨になることもあります。
 
 

秋雨前線(あきさめぜんせん)

「秋雨前線」(あきさめぜんせん)とは、
夏から秋への季節の移行期、
通常、9月上中旬頃から10月上中旬頃にかけて、
夏期、日本付近に張り出していた
「太平洋高気圧」が弱まり、
冷涼な空気を伴う高気圧が
日本海や北日本に現れることによって、
秋雨の長雨をもたらす「停滞前線」を言います。
 
一般に「秋雨前線」が現れる時期は、
台風シーズンと重なるため、
台風の暖かく湿った風が
「秋雨前線」を刺激し、
これにより前線の活動が活発化して
大雨をもたらすことが多いです。
 

秋雨前線のメカニズム

「前線」(ぜんせん)とは
冷たい空気と暖かい空気の境目で、
地表と交わる部分を「前線」(front)と言います。
日本では、季節が変わる時に、
北から来る冷たい空気(寒気団)と、
南から来る暖かい空気(暖気団)がぶつかり、
上昇気流が起こって雲が出来ます。
そのため、前線付近では曇りや雨といった
ぐずついた天候となります。
 
前線には、次の4種類あります。
〇温暖前線(warm front) おんだんぜんせん
 穏やかな雨が長く続く。
 通過すると気温が上昇する。
 
〇寒冷前線(cold front) かんれいぜんせん
 強い雨が短時間で降る。
 通過すると気温が下がる。
 
〇閉塞前線(occluded front) へいそくぜんせん
 「温暖前線」の後ろから
 「寒冷前線」が追いつくもの。
 追い付いた寒気の温度により、
 寒気の温度が高い「温暖型」、
 寒気の温度が低い「寒冷型」に分かれる。
 
〇停滞前線(stationary front)  ていたいぜんせん
 暖気と寒気の勢力がほぼ同じ。
 動きが遅いので、
 停滞しているように見える。
 
寒気と暖気の強さが同程度で
ぶつかったまま動かなくなり、停滞した前線を
一般に「停滞前線」(ていたいぜんせん)と言います。
代表的なものに、「梅雨前線」や「秋雨前線」が
挙げられます。
 
気団(きだん)とは
「気団」(きだん)とは、
大陸や海上のような広い範囲で、
気温や水蒸気の量が水平方向にほぼ一様である
巨大な空気の塊のことです。
 
日本の周辺には、4つの「気団」があり、
生じる場所によって様々な特徴があります。
そして、この4つの「気団」が強くなったり
弱くなったりすることで、
日本の天気や季節は変わります。
  • シベリア気団  :冷たく、乾燥している
  • オホーツク海気団:冷たく、湿っている
  • 小笠原気団   :温かく、湿っている
  • 揚子江気団   :温かく、乾燥している
 
気団の強さが変わる主な理由は、
太陽と地球との位置関係です。
「夏」は北半球が太陽に近づくので、
日本の「南側」にある「気団」が温められて
強くなります。
一方「冬」は、北半球が太陽から離れるので、
日本の「北側」にある「気団」が冷やされて
強くなります。
 
また西から東に吹いている「偏西風」が、
大陸にある気団から空気を持ってきたり、
太平洋側にある気団をかき乱すことによって、
「気団」の強さを変えることがあるようです。
 
秋雨に関係する気団
「秋雨前線」に関係しているのは、
「小笠原気団」と「オホーツク海気団」です。
 
「小笠原気団」は、日本の南に位置する
小笠原諸島付近で発生する気団で、
高温・多湿の特徴があります。
「梅雨」「夏」「秋雨」など、
日本の天気の変化をもたらしています。
 
一方「オホーツク海気団」は、
オホーツク海上を発生源とする
「梅雨」や「秋」に活躍する気団です。
また夏にオホーツク海気団が強まると、
北東から冷たい風「やませ」が吹き、
冷夏になります。
 
7月後半から8月にかけて
日本の南方の海上に現れて、
夏に勢力を増した「小笠原気団」も
9月に入ると衰え始め、
北側に「オホーツク海気団」が現れて南下し、
9月前半から10月前半にかけて、
この2つの気団が拮抗し合って
「秋雨」をもたらします。
 
台風シーズンと重なることが多い
「秋雨前線」が発達する9~10月は、
日本に「台風」が多く接近する時期です。
 
「台風」が運んで来る、
非常に暖かく湿った空気が
「前線」にぶつかると、
一層雨が降りやすくなります。
 
特に、「前線」が活発で、
既に大雨になっているところに
「台風」がゆっくりと近付いて来る場合は、
最も警戒すべきケースと言えるでしょう。
 
また「台風」と「前線」の関係で
注意しなければならないことは、
たとえ「台風」から遠く離れていても
局地的な豪雨になる場合があるという
ことです。
 
これは、「台風」本体の雲が
雨を降らせるのではなく、
「台風」は遠くで送風機として
大量の湿った暖かな空気を送り出すために、
「前線」に到達したところで大雨になるのです。
たとえ台風中心から1000km以上離れていても、台風の影響で大雨になる場合があります。
 

「梅雨前線」とはどう違う?

「秋雨前線」と同様に、
雨を降らせる「停滞前線」として有名なものに「梅雨前線」があります。
「秋雨前線」は8月の終わり頃~10月上中旬頃、
「梅雨前線」は5~7月に発生します。
 
「梅雨前線」は「秋雨前線」とは逆に、
南からやってきた夏の空気が
春の冷たい空気とぶつかって出来ます。
南から北に向かって少しずつ移動するため、
沖縄・九州地方から始まって、
徐々に北上していきます。
 
なお、「梅雨入り」「梅雨明け」についてはニュースにもなりますが、
「秋雨」については入り・明けがありません。
「梅雨」のように天候の変化がはっきりしないので、はじまりや終わりがいつなのか決める、ということをしないようです。