『暦便覧』(こよみびんらん)
「草木に冷たい露が降りる時期」
野の草花に宿る露(つゆ)が
冷たい空気によって霜(しも)に変わる頃です。
寒露とは
「露」が冷たい空気と接して
「霜」に変わる直前で、
朝晩ぐっと冷えるようになります。
この頃になると長雨の季節が終わり、
空気は程良く乾燥して、
空気が澄んだ秋晴れの日が多くなります。
この頃になると五穀の収穫もたけなわで、
農家では繁忙を極めます。
秋晴(あきばれ)
秋の天高く澄み渡った晴れのことを言います。秋が深まって、「秋雨前線」が弱まって
去っていく10月中旬以降は、
大きな高気圧や帯状の高気圧がやって来て、
待ちに待った「秋晴れ」の日が続くように
なってきます。
高気圧になり雨によって洗い流された大気に、
乾燥した冷気が流れ込んで空気が澄み、
陽射しが眩しく、爽やかな晴天になります。
秋の晴天を表す季語としては他にも、
「秋日和」「秋高し」「秋の空」などがありますが、
「秋晴」は、空に視点を置いていて、
爽やかな澄んだ空気と空の青い色の印象を強く残した言葉です。
天高く馬肥ゆる秋
「天高く馬肥ゆる秋」とは、
秋は空が澄み気候が良いため食欲が増し、
馬が肥えるという意味です。
時候の挨拶として、「寒露」の時期に
手紙などを出す際に使われています。
秋澄む
秋は、夏の熱気が徐々に薄れ、
何もかもが澄み渡り、清々しく、
やがて訪れる冷気を彷彿させる季節です。
「秋澄む」は、澄んだ秋の空気のことを
言います。
秋は大陸から移動してくる高気圧に広く覆われ、
大陸の上空の冷たい乾いた空気が
流れ込んでくるため、遠くまで澄み渡るように
なります。
水澄む
秋が深まると、夏の熱を帯びた水が
引き締まって透明度を増します。
水底まで見えるような川や湖の美しさを
「水澄む」と言います。
「水澄む」は川や湖の他、
井戸水などにも使いますが、海には使いません。
七十二候
初候「鴻雁来」(こうがんきたる)
「鴻雁来」(こうがんきたる)とは、
暖かい南へと下っていくツバメと入れ違いに、
雁が北から渡ってくる頃という意味です。
次候「菊花開」(きくのはなひらく)
菊の花が咲き始める頃となりました。
末候「蟋蟀在戸」(きりぎりすとにあり)
戸口で秋の虫が鳴き始める頃となりました。