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寒蜆(かんしじみ)

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しじみは一年中出回っていますが、
旬は1から2月と8月です。
 
夏に獲れるものを
「土用蜆」(どようしじみ)と言います。
産卵を控え、旨味がギュッと詰まった一級品で、
別名「腹ぐすり」とも呼ばれ、
江戸時代には、「土用の丑の日」は
「うなぎ」ではなく「土用蜆」を食べる習慣があったそうです。
 
 
一方、厳寒期に獲れるしじみを
「寒蜆」(かんしじみ)と言います。
夏季の産卵を終え、秋から冬にかけて
越冬のために栄養を蓄え、
寒い冬になると湖底深くに潜り、
その蓄えた栄養で冬を越します。
そのため栄養豊富で、
肝臓機能と歯や骨の強化や貧血予防などの
効果があるそうです。
 

 
「しじみ」という名前は、
殻が縮んで見えることからの
「ちぢみ(縮む)」の古語が「しじむ」が
「しじみ」になったと言われています。
 
日本ではなんと縄文時代から
食べ続けられてきた食材です。
『万葉集』では、「四時美」の字が
当てられています。
 
蜆には、「真蜆」(ましじみ)「大和蜆」(やまとしじみ)
「瀬田蜆」」(せたしじみ)などがいます。
 

「真蜆」(ましじみ)

 
湖岸や河川などの淡水域に住む小型の二枚貝で、
殻の表外面は黄褐色をしており、
不規則な黒斑があります。
冬の「寒蜆」には「真蜆」が旨いと言われて
います。
 

「大和蜆」(やまとしじみ)

 
河口や潟の汽水域に生息します。
若貝は殻表に光沢があり、
殻頂から黄褐色の放射状帯が走っています。
貝類の中ではコハク酸を最も多く含むので、
汁物にすると美味しいです。
夏の「土用蜆」には「大和蜆」旨いと
言われています。
青森県十三湖、島根県宍道湖、
関東の利根川河口は、大和蜆の有名な産地です。
 
 

「瀬田蜆」(せたしじみ)

琵琶湖水系の特産でしたが、現在では
諏訪湖や河口湖にも移植されています。
貝殻がべっ甲色をしているので、
「紅しじみ」とも呼ばれています。
 
「瀬田蜆」だけは春が旬で、
蜆の中でも最高の味と言われ、
江戸時代の元禄年間に人見必大により著された
『本朝食鑑』(ほんちょうしょっかん)でも、
「江州の勢多(瀬田)の橋あたりで多く獲れ、
 その身は最も厚い、これは上郡の嘉珍である」
と「瀬田蜆」を絶賛しています。
 
 
「浅利は身を蜆は汁を」と言われる通り、
蜆は旨味成分の「コハク酸」を多く含み、
エキス分が出た汁はとても美味しいです。
また江戸時代から黄疸(おうだん)に効くと云われ、
「シジミ売り 黄色なつらへ 高く売り」と
いう川柳があるほどです。
これはタンパク質に含まれるアミノ酸の中の
「メチオニン」や「グリコーゲン」などが
肝臓の働きを助け、
肝臓の中のコレステロールを取り除く
「タウリン」も多いためと思われます。
 
 

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