「寒の水」(かんのみず)とは、
1月5日前後の「小寒」から
「立春」の前日「節分」までの
「寒の内(寒中)」の期間の水のことを言います。
一年間で最も寒さが厳しい
「寒の内」の水は痺れるほどに冷たく、
どこまでも透徹しています。
水が清らかなので美味しいく、
雑菌が繁殖しにくく、物が腐りにくいので
ゆっくりと発酵や熟成をさせるには
丁度良いことから、日本酒・味噌・醤油などを
「寒の水」で仕込んできました。
(「寒仕込み」「寒造り」)
日本では古来より「寒」の時季に
醸造文化が発展して来ました。
この時期の「寒の水」を利用して仕込むと
薬になるとか、霊力もあるとも言われ、
「寒の水」を汲み置きをしておいて、
薬として飲んだり、寒の水で米を炊いたり、
「寒餅」(かんもち)を搗くにも、
餅を漬けて保存するのにも使われました。
他にも、「寒晒粉」「葛粉」を作ったり、
紙漉きや寒糊作り、布を晒すのにも
用いられます。