『暦便覧』
「陰気やうやく重りて、露凝りて白色となれば也」
暑さが弱まり、大気が冷え込んで、
草花に白い露が宿り始める頃。
草の葉に白い露が結ぶという意味です。
夜の間に大気が冷え込み、
草花に「朝露」が宿ることから
名付けられたのでしょう。
「白露」(はくろ)とは
昼夜の気温差が大きくなるこの時季は、
空気中の水蒸気が
夜間の放射冷却によって冷やされ、
地表近くの草木や岩などに触れて凝縮し、
水滴になります。
これを「露」と言います。
「露」は朝日が昇ると消えてしまうので、
その儚さから、「露」が結ばれてから
消えてしまうような僅かの間を「露の間」、
脆く儚い命を「露の命」、
無常の世を「露の世」と呼びます。
野には薄の穂が顔を出し、
太陽が離れていくため空が高くなるなど、
本格的な秋の到来を感じられる頃です。
日中はまだ暑さが残りますが、
朝夕の涼しさの中に肌寒さも感じ始めます。
白露(しらつゆ)
「白露」は「しらつゆ」と読む時は、
月の光に照らされて
白く輝いて見える露のことを言います。
仲秋
「処暑」から数えて15日目頃、
この日から「仲秋」になります。
「太陰暦」では、
1月~3月を「春」、4月~6月を「夏」、
7月~9月を「秋」、10月~12月を「冬」としていました。
「太陰暦」では、7月・8月・9月の3か月は「秋」になります。
7月は「孟秋」(もうしゅう)、
8月は「仲秋」(ちゅうしゅう)、
9月は「季秋」(きしゅう)と言います。
8月は秋の真ん中にあることから、
概ね旧暦の8月の1カ月間全体を
「仲秋」と称しています。
「二十四節気」で言うと、
「白露」から「寒露」の間になります。
「仲秋」が旧暦8月の1か月間の期間を
表すのに対して、
「中秋」は「旧暦8月15日」その日1日だけを
指します。
お月見「十五夜」
旧暦の8月15日(中秋)の満月の夜を
「十五夜」と言い、
1年で最も美しいとされている
「中秋の名月」を「お月見」します。
令和5(2023)年は9月29日(金)になります。
七十二候
草の露が白く輝いて見える頃。
セキレイが鳴く頃。
セキレイは日本神話にも登場する鳥で、
男女の神が結ばれるきっかけを
教えたという話から、
「恋教え鳥」とも呼ばれています。
春にやってきたツバメが、
子育てを終え南へ帰っていく頃。
来春までしばしのお別れです。