うまずたゆまず

コツコツと

二十四節気「白露」(はくろ)

 
「白露」(はくろ) は、
草木に降りた露が白く輝いて見える時季です。
令和6(2024)年は9月7日から9月21日になります。
 
 

『暦便覧』

今から234年前の天明7(1787)年に
太 玄斎(たい げんさい)が著した暦の解説書
『暦便覧』(こよみびんらん) には、
「陰気やうやく重りて、
       露凝りて白色となれば也」
このように記されています。
 
陰気 (涼しさ) が増えて陽気 (暑さ) を上回り、
水蒸気が結露して「露」になり、
草の葉の上で白く輝いているという
意味でしょうか。
 

「白露」(はくろ)とは

f:id:linderabella:20210903165154j:plain
昼夜の気温差が大きくなるこの時季は、
空気中の水蒸気が
夜間の放射冷却によって冷やされ、
地表近くの草木や岩などに触れて凝縮して、
「雫」(しずく) =「露」となります。
この朝の光により白く輝く露のことを
「白露」と表現して、愛でてきました。
なお「露」がつく二十四節気には、
「秋分」を挟んで
「白露」(はくろ) と「寒露」(かんろ) があります。
残暑が徐々に収まり、朝晩は涼しくなって
露が出来始めるのが「白露」(はくろ) で、
その露が更によく見られるようになり、
一層冷たくなる頃が「寒露」(かんろ) です。
 
美しくて儚い「露」
「露」は、朝日が昇ると
たちまち儚く消えてしまうので、
人の世の儚さの喩えとして使われてきました。
脆く儚い命を「露の命」、
無常の世を「露の世」と言います。
 
また朝の光にキラキラと輝く
「露」の美しさは、
花や宝石にたとえられることも多く、
「露華」(ろか)「露珠」(ろじゅ)「玉露」(ぎょくろ)
などがあります。
 
月の雫(つきのしずく)
 
「露」は、
別名「月の雫」とも呼ばれています。
朝、降りている「露」を、
月が夜の間にこぼした涙の雫に
見立てたのでしょう。
 
この「白露」の時期は、
湿度が徐々に低くなり空が澄んでくるため、
空気が澄んで、一年で一番、
月が美しく見える季節です。
 

秋の七草

 
秋の七草」は、萩 (はぎ)
尾花 (おばな)=ススキ、葛花 (くずばな)
撫子 (なでしこ)、女郎花 (おみなえし)
藤袴 (ふじばかな)、桔梗 (ききょう)と、
山野に自生するものが多く、
「白露」の頃に咲き始めます。
 
 
これらの花は、歌人・山上憶良が
『万葉集』で詠んだ2首の和歌に由来すると
言われています。
 
「秋の野に 咲きたる花を 指折り
 かき数ふれば 七種の花」と1つ目の歌で、
秋の野に咲いている草花を指折り数えると
7種類あるとして、
「萩の花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花
 また藤袴 朝貌の花」と2つ目の歌で
「それは萩の花、尾花、葛の花、撫子の花、
 女郎花また藤袴、朝貌 (あさがお) の花であると
述べています。
 
「朝貌」(あさがお) については諸説ありますが、
現在では「桔梗」(ききょう) が定説です。
 

www.linderabell.com

 

重陽の節句

 
古代Chinaでは、
奇数は縁起の良い「陽」の日とされ、
中でも一番大きい陽の数である「9」が重なる
9月9日を「重陽」と呼んで、
菊の香りを移した菊酒を飲み、
健康や長寿を祝っていたとされています。
平安時代初期に日本に伝わり、
当時は宮中行事のひとつとして、
「重陽の節会」が執り行われていました。
またこの頃は、秋の収穫期に当たるため、
農村でも収穫祭として祝われ、
「栗の節句」「刈り上げ節供」と呼ばれていたとされています。
 
 
江戸時代には幕府により「祝日」となり、
庶民の間にも菊酒が広まり、
栗ご飯を炊いてお祝いしたり、
菊の品評会を行ったりもしました。
 
 
但し、明治になり新暦が採用されてからは、
季節感がズレてしまったことや、
農繁期の多忙な時期であることなどを理由に、
重陽の節句」は次第に廃れていきました。

www.linderabell.com

 

国民の祝日敬老の日

 
昭和29(1954)年に制定された
国民の祝日の一つで、
「多年にわたり社会につくしてきた老人を
 敬愛し、長寿を祝う」日で、
毎年9月の第3月曜日に設定されています。
令和6(2024)年は9月16日です。
 
 
国民の祝日に制定された当初の
敬老の日」は9月15日でしたが、
平成13(2001)年の
「ハッピーマンデー制度」の施行に伴い、
「9月の第3月曜日」に移行し、
元々敬老の日があった9月15日を「老人の日」、
9月15日を含む1週間を「老人週間」として
「老人福祉法」が改正されました。

www.linderabell.com

 

雑節「二百二十日」

 
二百二十日(にひゃくはつか) は、
立春」を起算日として220日目に当たり、
令和6(2024)年は9月10日です。
この頃は台風到来の時期で、
昔から「八朔」「二百十日」と共に、
農家の「三大厄日」とされてきました。

www.linderabell.com

 

仲秋

f:id:linderabella:20201123052824j:plain

 
「処暑」から数えて15日目頃、
この日から「仲秋」になります。
 
「太陰暦」では、
1月~3月を「春」、4月~6月を「夏」、
7月~9月を「秋」、10月~12月を「冬」としていました。
 
「太陰暦」では、7月・8月・9月の3か月は「秋」になります。
7月は「孟秋」(もうしゅう)
8月は「仲秋」(ちゅうしゅう)
9月は「季秋」(きしゅう)と言います。
 
8月は秋の真ん中にあることから、
概ね旧暦の8月の1カ月間全体を
「仲秋」と称しています。
「二十四節気」で言うと、
「白露」から「寒露」の間になります。
 
「仲秋」が旧暦8月の1か月間の期間を
表すのに対して、
「中秋」は「旧暦8月15日」その日1日だけを
指します。
 

お月見「十五夜」

f:id:linderabella:20210822044958j:plain

 
旧暦の8月15日(中秋)の満月の夜を
十五夜」と言い、
1年で最も美しいとされている
「中秋の名月」を「お月見」します。
令和6(2024)年は9月17日 [火曜日] になります。
 
 

二十四節気「白露」の七十二候

初候「草露白」
(くさのつゆしろし)
 f:id:linderabella:20210903165154j:plain
  草の露が白く輝いて見える頃。
 
 
次候「鶺鴒鳴」
(せきれいなく)
 
  セキレイが鳴く頃。
  セキレイは日本神話にも登場する鳥で、
  男女の神が結ばれるきっかけを
  教えたという話から、
  「恋教え鳥」とも呼ばれています。
 
末候「玄鳥去」
(つばめさる)
 
  春にやってきたツバメが、
  子育てを終え南へ帰っていく頃。
  来春までしばしのお別れです。

f:id:linderabella:20201227114520j:plain