潮の満ち引きが、主に月の引力によって起こるように、
月の満ち欠けによって暦の日を定めたように、
月とは古来より、人の暮らしにとってかけがえのないものでした。
実際、様々な行事が「満月」の日の行われます。
特に、「十五夜」は、
この季節に採れる里芋や栗、大豆などの
恵みに感謝する収穫祭です。
三方に奉書紙を敷いた上に、
月見団子を十五個並べ、
薄(すすき)の穂や秋の七草とともに
月の出る方角に正面を向けて供えます。
そして、
月から見て左が上座に当たるため、
左に里芋などの秋の収穫を、
右に月見団子を配します。
薄(すすき)の穂は稲穂に見立てたもので、
その秋の豊作を祈ります。
また葛など蔓のある植物を飾ると、
月の神様に通じるという意味もあるそうです。
このように、
「お月見」には実りに感謝をする意味があります。
旧暦8月15日の「十五夜」には芋類の収穫を祝うため、
別名「芋名月」と言います。
旧暦9月13日の「十三夜」は栗や豆の収穫を祝うため、
別名「栗名月」「豆名月」と言います。
旧暦10月10日の「十日夜」(とおかんや)は
田の神様に感謝をする「お月見」です。
旧暦8月15日の「十五夜」だけでなく、
旧暦9月13日の月、「十三夜」も愛でるのが風流とされ、
この2つを合わせて「二夜の月」(ふたよのつき)と言います。
「十三夜」を見逃すことは、「片月見」として忌み嫌われ、
片方しか見ないのは不吉と言われました。
「十三夜」は日本で生まれた月見の習わしです。
「三月見」(さんつきみ)が晴れると良いことがあると言われています。
十五夜
お月見といえば「十五夜」の「満月」を思い浮かべます。
秋澄む
秋の澄んだ大気のことを言います。
冴え冴えとした夜空に、月も星もくっきり輝き、
野に鳴く虫の音や、風にそよぐ草木の気配がすぐそばに感じられます。
そんな季節だからこそ、一年を通して美しい満月の中でも取り分け、
澄み渡る秋の夜空に浮かぶ「十五夜」が名月とされるのではないでしょうか?
「中秋」と「仲秋」
「中秋」とは、
7月から9月ににかけての秋のちょうど真ん中という意味で、
「中秋の名月」とは「8月の名月」という意味になります。
一方「仲秋」は、
秋を初秋(7月)、仲秋(8月)、晩秋(9月)の
3つに分けた時の呼び名です。
なので、旧暦8月15日の「十五夜」は「仲秋の名月」と書きます。
十五夜と満月のズレ
旧暦では、月に合わせて暦が決まっていたため、
新月の日を1日として1ヶ月が始まり、15日と満月が一致していました。
ですから、「中秋の名月」に限らず、
毎月15日を「十五夜」と呼んでいました。
しかし、現在の暦は月と日付は関係ありません。
更に、現在の旧暦の計算方法は当時とは異なるため、
「十五夜」と言っても
年によってピッタリ「満月」にならないことがあります。
というか、「十五夜」が「満月」になるほうが稀なようです。
- 「十五夜」 「満月」
- 平成31(2018)年 9月24日 ≠ 9月25日
- 令和 元(2019)年 9月13日 ≠ 9月14日
- 令和 2(2020)年 10月1日 ≠ 10月2日
- 令和 3(2021)年 9月21日 = 9月21日
- 令和 4(2022)年 9月10日 = 9月10日
- 令和 5(2023)年 9月29日 = 9月29日
- 令和 6(2024)年 9月17日 ≠ 9月18日
- 令和 7(2025)年 10月6日 ≠ 10月7日
- 令和 8(2026)年 9月25日 ≠ 9月27日
- 令和 9(2027)年 9月15日 ≠ 9月16日
- 令和10(2028)年 10月3日 ≠ 10月4日
- 令和11(2029)年 9月22日 ≠ 9月23日
- 令和12(2030)年 9月12日 = 9月12日
「無月」と「雨月」
あいにく雲に隠れて、中秋の名月が見られないことを
「無月」と言います。
また、中秋の夜が雨の時は「雨月」と言います。
芋名月
「十五夜」の別名です。お月見は、豊作を祝う行事でもあります。
主に東北の各地で秋の収穫を祝い、里芋の入った鍋料理を頂く
「芋煮会」が行われます。
月見どろぼう
「十五夜」の供え物はどの家のものだろうと、
「近所の子供達が縁側にやって来てどんどん盗んで食べてよし」という
変わった風習が全国各地にあったようです。
子供は月からの使いと見なされ、
お供え物が全部なくなる方が縁起がいいと考えられていたようです。
秋の実りはその家だけで独り占めせず、
分かち合おうとする昔の知恵の名残のようです。
閏月の月見
旧暦では年によって「閏月」(うるうづき)があって、
8月の月に「閏8月」が入ることがあります。
その場合は、普通は閏月に同じ行事を繰り返しませんが、
「月見」だけは8月15日と閏8月15日の二度、
「十五夜の月見」をしていたようです。
十三夜(じゅうさんや)
「十三夜」は十五夜に次いで美しい月だと言われ、
「中秋の名月」である「十五夜」から約1カ月後に巡ってくる
「十三夜」のお月見は昔から大切にされていました。
「中秋の名月」を眺めたら、
旧暦9月13日の「十三夜」の月見も楽しむことが風流なこととされました。
片方しか見ないのは不吉と言われました。
「十三夜」は日本で生まれた習わしです。
- 令和3(2021)年 10月18日(月)
- 令和4(2022)年 10月08日(土)
- 令和5(2023)年 10月27日(金)
- 令和6(2024)年 10月15日(火)
- 令和7(2025)年 11月02日(日)
「十三夜」は栗や小豆をお供えものとすることから、
別名、「栗名月」や「豆名月」といった呼ばれています。
また、「十五夜」は比較的曇りとなり、
見えにくいことが多いと言われているのですが、
「十三夜」は晴れることが多く、「十三夜に曇りなし」と言われています。
十日夜(とおかんや)
「十日夜」(とおかんや・とおかや)とは、
「十三夜」から更にひと月遅れてやってくるもので、
旧暦10月10日に東日本を中心に行われている「収穫祭」です。
農作業が忙しくゆっくりとお月見が出来ないため、
収穫後の落ち着いたこの時期に、
ゆっくり「十日夜」を楽しむという地域が多いようです。
亥の子祭り
旧暦10月亥の子の日に「亥の子祭り」という
収穫のお祭りを実施するところがある他、
稲の収穫を祝って餅つきをしたり、
稲の茎を束ねた「わらづと」や「わら鉄砲」で
地面の神を励まして
作物に悪さをするモグラを追い払うなど、
地方によって様々な行事が行われています。
- 令和3(2021)年 11月14日(日)
- 令和4(2022)年 11月03日(祝)
- 令和5(2023)年 11月22日(水)
- 令和6(2024)年 11月10日(日)
- 令和7(2025)年 11月29日(土)