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八朔(はっさく)

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「八朔」(はっさく) とは、旧暦8月1日のことです。
現代の暦では8月下旬〜9月頃に当たり、
令和6(2024)年は9月3日の火曜日になります。
 
この時期は、稲の穂が出始める頃に当たるため、
稲の豊作を祝い、かつ祈る日です。
 
 

八朔(はっさく)とは?

「八朔」とは、八月朔日 (ついたち) の略で、
旧暦の8月1日のことです。
 

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この頃は稲の穂が出始める頃であると同時に、
台風被害や害虫・鳥の被害を受けることも
多くなるため、
「八朔節供」「田の実の節句」または
「田の実の祝い」などと呼んで、
無事に実りをいただけるようにと、
田の神様に「田の実」の豊作祈願や予祝を
行いました。
 
 
7月1日を「釜蓋朔日(かまぶたのついたち)
8月1日を「八朔盆」(はっさくぼん) とする
ところもあり、
盆月の終了を意味する伝承もあります。
この時期に「盆踊り」を行う地域もあります。
 

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また「田の実」(たのみ)
「頼み」(たのみ) と同じ音であることから、
日頃お世話になった方へ
初穂を贈る風習も生まれるようになったと
言われています。
 
更には「八朔(旧暦8月1日)」の頃は
昔から強い風の吹く日だったようで、
二百十日」「二百二十日」と合わせて
「農家の三大厄日」と言われ、
「八朔」には各地で風の難を受けないように
祈願する祭りも行われました。
 

風鎮祭・風祭

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旧暦8月1日は、新暦では9月上旬に
(令和6(2024)は9月3日火曜日)当たります。
この時季は稲が開花・結実する大事な時ですが、
台風が相次いで襲来し、農作物が被害を受けて
しまうことがよくありました。
 
そのため「八朔」は、
雑節の「二百十日」「二百二十日」と合わせて
「農家の三大厄日」と言われ、
「この風の難を受けないように」
「豊作でありますように」と祈り、
「風鎮祭」「風祭」といった名前の
お祭りや奉納祭が行われています。
 

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豊作祈願・予祝

 
「八朔」の頃は稲の穂が出始める頃であるため、
「八朔節供」「田の実の節句」または
「田の実の祝い」などと呼んで、
無事に実りをいただけるようにと、
田の神様に「田の実」の豊作祈願や予祝を
行いました。
 
田誉めの節句
 
「田誉めの節句」とも称して、
御神酒を下げて自分の田圃に行き、
ちらほら出始めている走り穂を眺め、
「良く出来ている」などと豊作ぶりを誉めて喜び、
そして御神酒を振り撒くと同時に、
自分も畦に腰を下ろして御神酒をいただく
予祝儀礼を行いました。
 
作頼み
 
九州北部では、七夕の笹のようなものを立てて
田の畔で「作頼み」を祈る風習があります。
 
穂掛祭(ほかけまつり)
 
初穂を田の一隅や家の竈神などにかけて供え、
榊にその年に実った稲穂をかけた
「穂掛榊」(ほかけさかき)
焼米などとともに神前に供えた後、
神輿を船に載せて「一つ石」という神石に
渡御して豊作豊漁を祈り、
帰路は各町内の屋台の先導で還御する
「穂掛祭」を行うところもあります。
 

八朔休み

昔、関西辺りでは、「八朔休み」と称して、
「八朔」を休日としていたそうです。
 
夏至から11日目の
半夏生(はんげしょう) から始まった
「昼寝の習慣」もこの 「八朔」 の日で終わり。
長い長い夜なべの季節に入る前の
「八朔休み」です。
 
大阪では「昼寝」のことを
「日の辻休み」と言ったことから、
「八朔」は「日の辻の取り上げ休み」とも
称していたそうです。
 
「八朔」の頃から忙しくなり、
昼寝を取り上げられたり、
夜なべが始まったりと、
奉公人にとっては嬉しくない日でした。
 

 
辛い思いでこの「八朔」の休日を迎えたことから
「泣き節句」と言ったり、
ふるまいの麦饅頭は
「饅頭は食いたいし、夜なべは嫌だし」から
「泣き饅頭」、
小豆飯を「涙飯」の名前がつきました。
 

田の実の節句=頼むの祝い

 
「田の実」(たのみ)
「頼み・憑み」(たのみ) に通じることから、
「頼むの祝い」と解して、
その年初めての稲の実りを、田の神様に供え、
お世話になった人へ送り合う習わしが
ありました。
古代・中世には、早稲の「田の実」を
天皇などに献じた風習があったようです。
 
 
町家でもこの風習を受けて、挨拶に行って、
より深いご縁を結びに出掛ける日でも
ありました。
 
 
武家などでは、
主君と家来が贈答品を贈り合って、
主従関係を確かめる慣習になったと
言われています。
 
江戸幕府の八朔
「八朔御祝儀」
 
更に天正18(1590)年「8月朔日」に
徳川家康が江戸に入場したところから、
江戸時代になると、
「八朔」は幕府の重要な祭日となりました。
 
五つ時(午前7~8時頃)、大名・旗本などが
白帷子 (かたびら) に長袴で登城し、
将軍家に祝辞を述べ、太刀などを献上。
将軍も同じく
白帷子に長袴姿で御目見 (おめみえ) しました。
また大奥の御台所 (みだいどころ) や女中達も、
揃って白帷子を身につけたと言います。
白帷子は「八朔」のシンボルでした。
 
吉原の八朔
「八朔の雪(秋の雪)」
 
吉原でも、武家社会を真似て
八朔を大々的に祝う風習がありました。
「八朔の白無垢」と言って、
この日の遊女達はみな白無垢を着て、
花魁道中 (おいらんどうしゅう) を行って、
祝いました。
これは「八朔の雪」とか「秋の雪」と
称されてました。

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現在でも、京都の花街では、
八朔(新暦8月1日)に
挨拶回りをする風習があり、
芸子さんや舞妓さんが正装姿で、
茶屋や師匠のところを挨拶回りするそうです。
 
 

全国地で行われている八朔行事

「八朔」の日に何かを贈答するということは
全国各地で見られます。
贈答により、労働力の援助を頼み合ったり、
何かを願ったりしたものと思われます。
 
姫瓜の節句(ひめうりのせっく)
 
京都では、古くは「姫瓜の節句」と言って、
「雛祭り」に似た行事を行いました。
女児が姫瓜におしろいなど塗り、
髪や目鼻を描き、着物など着せて
「八朔人形」を作って遊び、
最後は川に流しました。
『枕草紙』にも、
「うつくしきもの 瓜にかきたるちごの顏」と
あります。
 
また江戸時代には、日頃世話になっている人に
「絵外居」(えぼかい) という器に
餠や木の実を盛って、
数珠玉 (じゅずだま) の枝に
色糸で雀の形に作った「綵雀」(つくりすずめ)
松の実を雉の形に作った「造り雉」(つくりきじ)
烏賊の甲を鷺の形に作った「造り鷺」(つくりさぎ)
などの作り物などを飾って、贈りました。
 
馬節供
香川県など瀬戸内では「馬節供」と言って、
馬や人、鶴亀などを上新粉で作った粉新細工や
張子の馬を親戚近所に配りました。
元々は、新米で作ったと言われ、初穂を供える穂掛の神事に由来するもののようです。
 
生姜節供
 
関東地方には「生姜節供」といって
新しく夫婦となった者がこの日に
嫁に生姜を持たせて里帰りさせたり、
媒酌人などに贈りました。
 
八朔人形
雛人形や五月人形と同じように、
その年、子供が生まれた家に
「雛人形(八朔雛・八朔人形)」や
を作って贈り、
贈られた家では、それらを飾って、
子供の健やかな成長を願って祝いました。
団子をこねて人形にしたものは
「タノモ人形」と言います。
 
八朔馬
福岡県では、男の子の八朔の初節句に、
八朔の馬」を近隣住民に配る風習があります。
300年の歴史を持つこの祝いの行事は
現在も新暦9月2日の早朝に行われています。
「八朔の馬」は、地元の藁で作ります。
藁を濡らし、木の台で叩いて柔らかくし、
編み込んで形を作ります。
そして馬の背中には、
黒田長政などの名武将を乗せて、
「元気で勇壮に育つように」と作られていて、
今も人々に愛され続けています。
 
八朔だんご馬
八朔だんご馬」は、
旧丸亀藩のエリアである香川県中部の中讃地域
(善通寺市・丸亀市・坂出市・仲多度郡・綾歌郡) に
伝わる祝い菓子です。
この近辺では、特に長男の出生の時に
盛大にお祝いするそうです。
 

果物の「はっさく」

 
「ハッサク (八朔)」は日本原産のみかんです。
江戸時代末期に、
広島県因島市田熊町の浄土寺で
原木が発見されました。
そして明治時代に入ってから、
当時、恵日山浄土寺の住職であった
小江恵徳(おごう えとく)
「八朔(旧暦の8月1日)には食べられる」と言ったことから
名付けられたというのが定説となっています。
 
ですが、名前の由来である
「八朔の頃(旧暦8月1日)」だと
まだ果実が小さく、食用には適していません。
「ハッサク」が実際に出回る時期は、
1月中旬頃から4月下旬までで、
最も美味しく食べられる旬は2月から3月です。
 

 
「ハッサク」は皮は厚く剥きにくい上、
瓤嚢じょうのう(=薄皮)もしっかりとしていて
剥かなくては食べられません。
その果肉は歯応えがあります。
 

 
また近年、高糖度の甘い柑橘が
もてはやされる傾向にありますが、
「ハッサク」はそれらとは一線を画し、
甘さは上品で、酸味があり、少し苦味も
あります。
 
しかし、この「ハッサク」の食感と
独特の味わいで、今なお支持者が多いミカンと言えます。
 

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