本日、令和4(2022)年は9月10日は「十五夜」。
美しい月を眺めるお月見の日です。
十五夜とは
「十五夜」とは、
1年で最も美しいとされている「中秋の名月」を鑑賞しながら、
収穫などに感謝をする行事です。
日本でも縄文時代から月を愛でる風習はありましたが、
名月の日に月を鑑賞する風習は、
貞観年間(859~877年)にChinaから日本へ伝わり、
平安時代には貴族の間に広がり、
月を眺めながらお酒を飲んだり、船の上で詩歌や管弦を楽しむといった
雅味な催しで庶民とは縁のないものでした。
当時は、願掛けや供え物といった宗教的な要素はなく、
ただ月を眺めつつ楽しんでいたようです。
「名月の日」に月を拝み、お供えをする風習は、
室町後期から始まったようです。
江戸時代に入ると、
庶民の間にまで「十五夜」の風習が広まります。
当時は「収穫祭」や「初穂祭」の意味合いが強く、
無事に稲を収穫出来た喜びを分かち合い、感謝する日だったそうです。
中秋の名月? 仲秋の名月?
ところで、「十五夜」は
「ちゅうしゅうのめいげつ」とも呼び
ます。
ます。
漢字では、
「中秋の名月」とか「仲秋の名月」と書きますが、
どちらが正解なのでしょうか?
どちらも正解です。漢字によって意味が違うのです。
仲秋の名月
旧暦では、7月、8月、9月を秋の季節とし、
7月を「初秋」、 8月を「仲秋」、 9月を「晩秋」と言いました。
つまり「仲秋」とは「8月」の別称で、
仲秋の名月=8月の名月 という意味になります。
中秋の名月
一方「中秋」は、秋のちょうど真ん中の日のことを言います。
つまり、旧暦の8月15日が秋の真ん中、「中秋」に当たります
そのため、
中秋の名月=旧暦8月15日の名月という意味になります。
「十五夜」の日は旧暦8月15日の月を指すため、毎年変わります。
令和4(2022)年から令和7(2025)年の
「十五夜」の日にちをまとめてみたので参考にして下さい。
- 令和 4(2022)年 9月10日(土)
- 令和 5(2023)年 9月29日(金)
- 令和 6(2024)年 9月17日(火)
- 令和 7(2025)年 10月6日(月)
- 令和 8(2026)年 9月25日(金)
- 令和 9(2027)年 9月15日(水)
- 令和10(2028)年 10月3日(火)
- 令和11(2029)年 9月22日(土)
- 令和12(2030)年 9月12日(木)
十五夜の別名
三五夜(さんごや)
「三五夜」とは、三×五で「十五夜」のことです。
『平家物語』には、
「三五夜の中の新月白くさえ」という一文があります。
これは、「十五夜の夜中に昇り始めた月は白く冴えている」という意味です。
また、唐の詩人・白楽天(白居易)が、
遠方の地に左遷された親友の元稹(げんしん)を思って詠んだ漢詩に、
「三五夜中の新月の色、二千里の外の故人の心」というものがあります。
遠く二千里の彼方にいる君(元稹)は、
「自分が見ているのと同じこの月をどんな思いで見ているのだろうか。」
という意味です。
名月(めいげつ)
「十五夜の月」、または「旧暦9月13日の夜の月」(十三夜)のこと。
明月(めいげつ)
曇りなく澄み渡った満月のこと。
または「名月」の意味でも用いられています。
初名月(はつめいげつ)
陰暦8月15日の夜の月「十五夜」のこと。
9月13日の「後の月」(のちのつき)に対してこう言います。
芋名月(いもめいげつ)
陰暦8月15日の夜の月「十五夜」のこと。
月に団子、ススキなどの他、
こう言われるようになりました。
皎月(こうげつ)
「皎」は白く光る様。
白光を放っている月、明るく照り輝く月という意味、「明月」のこと。
郎月(ろうげつ)
明るく澄み渡った月、「明月」のこと。
旧暦8月15日の十五夜の月のこと。
佳月(かげつ)
見惚れるような月のこと。
今日の月(きょうのつき)
十五夜の月のこと。
一年の中でまさにこの夜の月という意味。
最中の月(もなかのつき)
「最中」は秋の真ん中、中心という意味。
和菓子の「最中」は、
宮中の月見の宴にて、源順(みなもとのしたごう)が
「池の面に照る月なみを数ふれば今宵ぞ秋の最中(もなか)なりける」
と詠んだ時に出されたお菓子が、薄い丸型の餅菓子あり、
「中秋の名月」に似ていたことから
「最中の月」を呼ばれた事が起源になったと言われています。
望月(もちづき)
「満月」のこと。旧暦の「十五夜の月」のこと。
「望」は月が満ちることで、
転じて何の不足もなく満ち足りた様、
非の打ちどころのない美しさを形容する言葉となりました。
無月(むげつ)
旧暦8月15日の夜、 十五夜の月が雲で隠れて見えないこと。
名月を偲ぶ心から出たもの。
雨月(うげつ)/雨名月(あめめいげつ)
「十五夜」というのに雨が降って、折角の名月が眺められず、
悔しく思う気持ちを表した言葉です。
お供え物について
「お月見のお供え物」と言えば、
「月見団子」に「薄」、
それに「芋」などの野菜などが挙げられます。
月見団子
月に見立てたお団子をお供えすることで、
月に収穫の感謝を表します。
「月見団子」は穀物の収穫に感謝し、
米を粉にして丸めて作ったことが始まりと言われます。
そしてその月に見立てた丸い団子をお供えし、
食べることによって
健康と幸せを得られると考えられていました。
十五夜では15個、十三夜では13個を、
ピラミッドのように積んでお供えします。
芒、薄(すすき)の穂
秋の七草の一つでもある「薄」(すすき)には、
悪霊や災いなどから収穫物を守り、
翌年の豊作を願う意味が込められています。
本来は、実りを象徴する稲穂をお供えしたいのですが、
稲刈り前なので、
稲穂に似た「薄」(すすき)を用いるようになったとも
言われています。
「薄」(すすき)のみ、
または秋の草花と一緒に花瓶に生けて供えます。
また、薄(すすき)の鋭い切り口が魔除けになるとされているため、
庭や水田に立てたり、軒先に吊るす風習が今もあります。
秋の七草
「秋の七草」とは、秋を代表する7種類の花です。
具体的には、
萩、桔梗、葛、藤袴、女郎花、尾花(オバナ=ススキ)、撫子です。
「春の七草」が七草粥にして無病息災を祈るのに対し、
「秋の七草」はその美しさを鑑賞して楽しむものです。
秋の恵みに感謝を捧げる月見の心は、
秋の野花への労りの心でもあります。
農作物(里芋・栗・大豆)
お月見は、豊作を祝う行事でもあります。
里芋、栗、枝豆など、収穫されたばかりの農作物をお供えし、
収穫に感謝します。
お供えものは、下げて食べることが大事です。
お供えものをいただくことで、
神様から力をいただき、結びつきも強くなると考えられているからです。
事前にきちんとお供え出来ない場合は、
夕食に里芋やさつま芋料理、月見団子を用意し、
短時間でも感謝の気持ちを込めてお供えしてから食べるようにすれば
大丈夫です。
里芋
十五夜は、9月頃に収穫される「芋」をお供えすることから
「芋名月」(いもめいげつ)とも呼ばれ、
芋類の収穫を祝う行事でもあるため、
里芋やさつま芋などもお供えするとよいでしょう。
主に東北の各地で秋の収穫を祝い、里芋の入った鍋料理を頂く
「芋煮会」が行われます。
栗
栗も里芋同様、縄文時代から栽培され、
食用として、また建築用の木材として重宝されてきました。
そんな栗の収穫を祝い、
「十三夜」を「栗名月」と呼んで、三方にお供えして飾ります。
大豆
醤油や味噌、豆腐など、大豆は日本の食には欠かせないものです。
そして昔から、
「米」「麦」「粟」「稗」(ひえ)(あるいは「黍」(きび))、
そして豆(大豆)は「五穀」と呼ばれる大切な作物でした。
「十三夜」の月は「豆名月」とも言います。
月とうさぎ
ところで、どうして月とうさぎなのでしょう?
「月うさぎ伝説」の由来には、いくつかの説がありますが、
インドのジャータカ神話によるものがよく知られています。
月うさぎの伝説
『昔、あるところにうさぎと狐と猿がおりました。
3匹は、いつも
「自分達が獣の姿なのはなぜだろう?」
「前世で何か悪いことをしたからではないだろうか?」
「それならば、せめて今から人の役に立つことをしよう!」
ということを話し合っていました。
ある日、疲れ果てて食べ物を乞う老人に出会った3匹は
老人のために食べ物を集めます。
猿は木の実を、狐は魚を獲って来ましたが、
うさぎも一生懸命探し回ったのですが、
結局何も持ってくることが出来ませんでした。
悩んだうさぎは、
「私を食べて下さい」と言って火の中に飛び込み、
自分の身を老人に捧げたのです。
実は、その老人とは、
3匹の行いを試そうとした帝釈天(たいしゃくてん)という神様でした。
「お前達の優しい気持ちは、良く解った。
今度生まれ変わる時には、きっと人間にしよう。
それにしても、うさぎには可愛そうなことをした。
月の中に、うさぎの姿を永遠に残してやろう。」と
おっしゃいました。
こうして、月にはうさぎの姿が残ることになりました。
これは、仏教説話からきているお話です。
餅つき
では、なぜ餅をついているのでしょうか?
「うさぎが老人のために餅つきをしている」とか
「うさぎが食べ物に困らないように」という説がありますが、
「中秋の名月」が「豊穣祝い」であることを考えると、
たくさんのお米がとれたことに感謝する意が込められているようです。
月の模様
月の模様がうさぎに見えるのは万国共通ではないようです。
- 日本=餅をつくうさぎ
- China=薬草を挽くうさぎ
- Chinaの一部=大きなハサミのカニ
- モンゴル=イヌ
- インドネシア=編み物をしている女性
- ベトナム=木の下で休む男性
- インド=ワニ
- アラビア=吠えているライオン
- オーストリア=男性が灯りを点けたり消したりしている
- カナダの先住民=バケツを運ぶ少女
- 中南米=ロバ
- バイキング=水をかつぐ男女
- 北欧=本を読むおばあさん
- ドイツ=薪をかつぐ男
- 南欧=大きなはさみのカニ
- 東欧=女性の横顔