「お盆」が近づいてくると、
お墓や仏壇を掃除したり、仏具を清めたり、
お膳や盆提灯を取り出したりして、
お盆の準備を始めます。
盆用意・盆支度
「お盆」を迎えるための様々な支度のことを
「盆用意」とか「盆支度」と言います。
お墓の掃除、仏具磨きは勿論、
盆提灯を出したり、
芋殻 (おがら) や真菰筵 (まこも) の用意をしたり、
盆棚に供えるための野菜や果物の他、
お花も揃えたりもしなくてはなりません。
更に初盆(新盆)ともなると、
また特別な支度があります。
盆用意を始める日
釜蓋朔日(かまぶたついたち)
地獄からの道のりは非常に遠く、
御先祖様が帰って来るのに13日間かかります。
「お盆」に間に合うためには、
七月朔日 (ついたち) でなければならないのです。
現在月遅れの8月盆の所が多いことから、
八月朔日から「お盆」が始まるとする地域が
全国的に見られます。
特に新盆の家では、この日から
高灯籠を吊るしたりして盆行事に入ります。
七日盆(なぬかぼん)
七日を「七日盆」とか「盆始め」などと呼び、七日を盆行事の始まりの日とする地方も
多くあります。
お墓や仏壇の掃除、井戸替え、女の髪洗い
などを行なってきました。
お盆の準備・家の外
墓掃除(はかそうじ)
お墓の掃除は、
御先祖様をお迎えする前日の12日までに
早めに済ませておくのが理想ですが、
難しい場合はお盆にお墓参りを兼ねて
当日掃除する形でも問題ありません。
墓所を掃除して、墓石の苔をキレイに取り去り、
墓石を洗い清めるため、
「掃苔」(そうたい) とか「墓洗う」(はかあらう) とも
言います。
「掃苔」(そうたい) は、転じて、墓参り、
特に盂蘭盆前の墓参りのことを言います。
また、歴史上の人物や著名人のお墓を詣でる
趣味を持つ人を「掃苔家」(そうたいか) と呼ぶこともあります。
墓石は束子ではなくスポンジなどを使って、
水洗いをするのが原則です。
また、お墓の掃除で出たゴミは
なるべく持ち帰るのがマナーです。
盆路(ぼんみち)
祖先の御霊 (みたま) が帰ってくるため、
盆の前に、山や墓地からの草を刈り、
山から里へ精霊の通る道の草を刈り払うことを
「盆路」とか「精霊路」(しょうりょうみち) と
言います。
また「盆路」は通常旧暦の7月1日に行ったので
「朔日路」(ついたちみち) とも言います。
墓地から家々への路の他、村境や山の頂まで、
共同作業で路の両側の草刈りをしていきます。
盆花迎え(ぼんばなむかえ)
かつては御先祖様は
「盆花」(ぼんばな) に乗ってやって来ると言われ、
お盆の最初の日の朝には、
「盆花」を山に摘みに出掛けました。
これを「盆花迎え」(ぼんばなむかえ) と言います。
「盆花」(ぼんばな)は、
その季節にその土地で咲く花で、
例えば、山ゆりや鬼灯、樒や撫子、
所によっては女郎花や桔梗、萩などの他、
秋の花も「盆花」に加えられました。
こうして摘んできた「盆花」は、
精霊棚に飾りました。
現在はこの「盆花迎え」の行事は
見受けられなくなりました。
草市
盆の行事に用いる品々を売る市のことで、
かつては旧暦七月十二日の夕方から夜通し
町のそここに立ちました。
そして、仏前に供える草花や苧殻、真菰筵、
蓮の葉などの飾り物のなどが売られました。
お盆の準備・家の中
盆提灯(ぼんちょうちん)
「盆提灯」(ぼんちょうちん)とは、
はるばると十万億土から還って来る
精霊が迷わずに帰って来るための道標となる
仏壇周りや玄関に飾る提灯です。
新盆の年にだけお飾りする「白提灯」と、
新盆に限らず毎年お飾り出来る
「絵柄入り提灯」があります。
「盆提灯」を飾る時期は、
7月盆の地域は7月初めから7月末まで。
8月盆の地域は8月初めや七夕の終わった頃から
お盆明けの17日以降か月末までが一般的です。
精霊棚(しょうろうだな)
「盆棚」(ぼんだな) とも呼ばれる、
お盆の間、家に迎え入れた先祖の霊を祀り、
お盆のお供え物を飾るための棚のことで、
仏壇の前や横に置き、祭壇用の布を掛けます。
一番上の段の中心に「位牌」(いはい) 、
その左右に「霊前灯」(れいぜんとう) を置きます。
中段に、精霊馬、果物、盆花などを配置します。
下段には、中心に「香炉」(こうろ) 、
その周りに「燭台」(しょくだい) 、線香、
りんなどのお参り道具を並べます。
そして「精霊棚」の左右に白提灯や盆花、
手前に座布団を配置して完成です。
※地域や宗派によって、
飾り付けなどの違いが見られます。
なお「精霊棚」は、
先祖の魂が13日に帰ってくるため、
盆の入りの前日か当日に設置し、
お盆期間が終わるまで飾っておきます。
そして16日の「送り火」を済ませた後、
翌日の17日以降に片付けていくのが
良いでしょう。