「お盆」 とは、仏教における
「盂蘭盆会」(うらぼんえ) または「盂蘭盆」(うらぼん) を
略した言葉とされています。
サンスクリット語の「ウランバーナ」に
漢字を当てたものです。
「ウランバーナ」は
「倒懸」(とうけん)を意味します。
「倒懸」は”逆さまに吊るす”という意味で、
逆さ吊りになって苦しい状態にたとえたもの
です。
「倒懸」とは、仏教において、
生前中に悪行を為した人間が
行くと言われている三つの転生先
「三悪趣」(地獄界・餓鬼界・畜生界)で、
亡者の苦しみが、
生きた人間が逆さ吊りにされるくらいに
辛いものであることを表す言葉です。
「盂蘭盆会(盂蘭盆)」は、
その昔、お釈迦様のお弟子である
目連尊者(もくれんそんじゃ)が、
亡き母を救う話に由来しています。
仏教の開祖・お釈迦様に、
目連(もくれん/マウドガリヤーヤナ/モッガラーナ)と
いうお弟子さんがいました。
お釈迦様の十大弟子の一人で、
「神通第一」と言われる強力な神通力を持ち、
その能力を使って、
亡くなった母親の様子を見てみました。
すると、なんと目連の母親は、
「餓鬼道」に堕ちて、
逆さ吊りの罰を受けているではありませんか!
目連の母親は、子(目連尊者)を溺愛するあまり、
周囲の不幸に無関心だったことが原因で、
「餓鬼道」に落ちていたのです。
「餓鬼道」というのは、
欲の深い人が行くところで、
食べるもの飲むもの全てが火となり、
食べたいものも食べられず、
飲みたいものも飲めず、
ガリガリに痩せ細って飢えと渇きに苦しむ
世界です。
十大弟子(じゅうだいでし)
お釈迦様の代表的な10人のお弟子のこと
- 舎利弗(しゃりほつ) :智慧第一
- 目 連(もくれん) :神通第一
- 大迦葉(だいかしょう):頭陀第一
- 須菩提(しゅぼだい) :解空第一
- 富楼那(ふるな) :説法第一
- 迦旃延(かせんねん) :論義第一
- 阿那律(あなりつ) :天眼第一
- 優波離(うぱり) :持律第一
- 羅睺羅(らごら) :密行第一
- 阿 難(あなん) :多聞第一
「餓鬼道」で苦しんでいるお母さんを
何とか助けてあげたいと思って、
お釈迦様に相談したところ、
「そなたの母親の罪は深いので、
一人の力ではどうにもならない。
夏の修行「安居」(あんご) を終えた7月15日に
僧侶達を招き、
供物を捧げて供養するとよい」
と言われます。
その通りに手厚く供養したところ、
母親は極楽浄土へと行くことが出来たと
言われます。
ここから、苦しみを受けている
死者を供養するという風習
「盂蘭盆会」が生まれたとされています。
そして目連が踊り上がって喜んだのが、
「盆踊り」の始まりとも言われます。
「盂蘭盆会」は仏教とともに、
飛鳥時代(7世紀頃)の日本へと伝わり、
仏教形式でお盆の法要が最初に営まれたのは、
斉明天皇の頃の657年と言われています。
更に、既に日本に存在していた
祖先信仰と融合して、私達の知っている
「お盆」に変化していきました。