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盆花(ぼんはな)

「お盆」には、
御先祖様の霊が戻って来ると言われるので、
ご先祖様をもてなすため、
「盆棚(精霊棚)」やお墓にお花を飾ります。
 
 

「盆花」とは

「盆花」(ぼんはな)とは、お盆に
盆棚(精霊棚、先祖棚)に供える
お花のことです。
因みに「仏花」(ぶっか)とは、
仏壇やお墓にお供えする花のことで、
どちらも故人を偲んでお供えされるもので、
故人の遺族または近しい者が用意します。
 
「盆花」(ぼんはな)は、
その季節にその土地で咲く花で、
地方によって異なりますが、一般的には、
桔梗(ききょう)、女郎花(おみなえし)
禊萩(みそはぎ)、百合(ゆり)、竜胆(りんどう)
千日紅(せんにちこう)、鶏頭(けいとう)などに
なります。
他にも、故人が好んだ花を選んでも
問題はありません。
 
一般的には「生花」を飾りますが、
地域によっては、
金、銀、もしくは赤やピンク色の紙、
もしくはナイロン生地で「蓮の花」を作り、
盆棚を飾るところもあります。
紙やナイロン生地で作った「蓮の花」は
浄土に咲いている「蓮の花」を表しており、
先祖が訪れるための道標となります。
 

盆花迎え

「盆花」を盆の10日前後に
御先祖の霊の依代(よりしろ)としての花を
野山から採って来ることを
「盆花迎え(盆花取り、花迎え)」と言います。
 
「御先祖様は盆花に乗ってやってくる」と言われ
山に出かけて花を摘んで来るというのは、
その花を仏前に供えるためだけでなく、
その花に霊を依り憑かせて、
山から家々へお迎えするとためとも
考えられてきました。
家から山が遠い都市では、
「盆花」などを売る「草市」が開かれました。
 

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迎え鐘
 
京都では「盆花迎え」として行われるのが、
六道珍皇寺(ろくどうちんのうじ)
迎え鐘」です。
この鐘の音は冥土にまで届くと信じられ、
亡者はその響きに応じて、
この世に呼び寄せられると言われています。
 
 
「迎え鐘」を撞き、
「高野槙」(こうやまき)の枝を買って、
「経木塔婆」(きょうぎとうば)に水向けをして
それを持ち帰り、
仏壇に祀ることが霊のお迎えとなります。
 

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盆花の種類

桔梗
「桔梗」は紫色の花をつけます。
お盆が来る頃に最盛期を迎えるため、
盆棚には欠かせない花になっています。
昔の人は盆棚に飾ために、
自生する桔梗を探して歩いたそうです
 
女郎花(おみなえし)
「女郎花」(おみなえし)は、
小さな黄色い花をつける
秋の七草」の一つであり、
薬草として漢方薬にも使用されています。
現在、自生する「女郎花」は激減しており、
見つけるのが難しいとされています。
 

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禊萩(みそはぎ)
小さな紫の花をつける「禊萩」(みそはぎ)は、「盆花」として人気が高い花です。
古来から邪気を払うとして有名で、
そのことからもおススメの「盆花」と
されています。
 
ユリ
清廉さの象徴でもある「百合」(ゆり)は、
純白だけではなくピンク色の花色もある
お花です。
お盆にお供えされるお花の中では
メインにされやすく、
トルコキキョウやリンドウと一緒に飾ると
華やかになるでしょう。
花粉は服や花弁を汚しやすいため、
お供えする時は
予め取り去っておくべきとされています。
 
千日紅(せんにちこう)
小さな可憐な花をつける
「千日紅」(せんにちこう)には
白を始め、赤、ピンク、紫があります。
サルでも滑りそうなほど
ツルツルとした幹を持つ「サルスベリ」は、
漢字では「百日紅」と書きます。
その名の通り、初夏から秋までの長い間、
鮮やかな紅色やピンク、白などの花を咲かせる花木です。
その「百日紅」よりも花の寿命が長いことから「千日紅」と名付けられました。
水をやらずにほっておいても
花の形が崩れずに咲いたままになっているので最適なのだそうです。
 
鶏頭(けいとう)
鶏の鶏冠(とさか)のような花弁を持つ
「鶏頭」は高温多湿を好み、
開花時期は7月から11月頃と長めです。
花の色は豊富で、赤や黄、オレンジ、ピンク、紫、緑など鮮やかな原色のだけでなく、
淡くくすんだ色の「鶏頭」も人気です。
因みに「盆花」として高い人気を誇る品種は、
「麗炎」(れいえん)です。
 
竜胆(りんどう)
昔から、お盆の時期に
ちょうど野山に咲いていたこと、
花言葉が「悲しんでいるあなたを愛する」というところから、お盆の花として使われます。
9月に最盛期を迎える竜胆(りんどう)は、
青、紫の花が代表的な色になりますが、
白、ピンクもあります。
花は太陽が当たると咲き始め、
翳るとしぼむという特徴を持っています。
 
菊(きく)
「菊」は「仏花」として定着している花です。
菊が用いられるのは、
長持ちして花びらがあまり散らない他、
日本の国花で、大変馴染み深い花だからです。
「和菊」だけでなく、
「洋菊」も「盆花」に使えます。
色は白の他、黄色、紫、ピンクがあります。
 

「盆花」に相応しいもの

生花か造花でもいいのか?
結論を言えば、どちらでも問題ありません。
枯れてしまった後の処理が大変な場合は、
「造花」がおススメです。
美しい姿を持つ花で故人を偲びたいとか、
瑞々しさや自然な儚さが欲しい場合は
「生花」がおススメです。
 
盆花に最適な色
「盆花」に最適な色は「白」「黄」「紫」です。
この3色に「差し色」として、
薄ピンクや赤、オレンジといった
明るい色がおススメです。
 
派手な印象を受ける濃いピンクや
毒々しいイメージのある
濃い紫、赤、茶などの色は
おススメ出来ません。
 
ただ、故人が好んだ花の色が
このような色であった場合は別です。
故人を偲び、故人が好んだ花、色を
用意してあげましょう。
 
長持ちする花
「盆花」は、出来れば長持ちする花を
用意しましょう。
折角、故人を偲んで用意しても、
数時間で枯れてしまっては台無しです。
枯れてしまうと、
また用意しなければなりません。
手間と金銭的なことを考えるのであれば、
少しでも長持ちする花を選ぶことが大切です。
 
初盆の場合
故人が亡くなって、四十九日以降に向かえる
お盆を「初盆」と言います。
この「初盆」におススメの「盆花」は、
「白」を基調とした花です。
故人が好きだった花でも構いませんが、
あまり濃い色の花、棘のある花などは
おススメ出来ません。
「白」を基調に花を選ぶ場合は、
薄いピンクや黄色、紫等の色を差し色に選び、
明るいイメージの花にしましょう。
 
お花の本数は必ず奇数
お盆に用意をするお花の数は、
3本、5本、7本のように
必ず奇数にしましょう。
お仏前やお墓の左右にお供えできるように、
必ず2束用意しましょう。
 

盆花には向かない花

「盆花」にはどのような花でも構わないという地域も少なくありませんが、
それでも避けた方がよい花があります。
 
  • (とげ)、蔓(つる)がある
  • 香りが強い
  • 毒がある
  • 散りやすい、花粉が飛び散る
 
最も避けた方が良い花の代表とされているのは棘がある「バラ」です。
「盆花」に棘のある花は適しません。
故人が女性の場合、華やかな印象のあるため、
つい選んでしまいがちになりますが、
やめておきましょう。
 
 
「曼珠沙華」の別名でも有名な、
赤い花弁が特徴的な「彼岸花」も
「盆花」にはおススメ出来ません。
理由は「球根に毒があるから」です。
その昔、土葬が多かった時代、
「彼岸花」の毒は、お墓に埋めた遺体を
鼠や土竜(もぐら)から守る花として
活用されていました。
このようにかつては大きな役割を持っていた
「彼岸花」ですが、毒を持つ花は
「盆花」としては相応しくありません。
 
 
「椿」(つばき)も「盆花」としては
おススメ出来ません。
椿の花は花ごと落ちてしまうことから、
首が落ちるとされて縁起が悪いとされていた
からです。
 
 
「カサブランカ」など、
人を選ぶ香りの強いお花をお供えすることは
避けるべきと言われています。
 

常花(金蓮華)

 
「常花(金蓮華)」は、
蓮の花の形をした造花です。
「常花」は「じょうか」と呼び、
常に枯れない造花で、
精霊棚(盆棚)・祭壇の両脇にお飾り、
荘厳する仏具の一つです。
「常花」は「蓮華」(れんげ)をかたどっていて
「金蓮華」(きんれんげ)とも言う通り、
しっかりとした真鍮やアルミに、
金メッキを施して仕上げてあります。
仏教において「蓮の花」は、
泥に汚されずに清らかな花を咲かせる蓮は、
仏教では菩薩の修行に例えて
重要なものとされています。
金色の「金蓮華」は、
「最高の蓮華」という意味で
お供えするものです。