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盆飾り

 
「盆飾り」とは、お盆の時期に
御先祖様の霊をお迎えするために、
仏壇の前に特別な祭壇を準備し、
飾り付けを施したものを指します。
 
地域や宗派によって異なるため、
一般的なものと、その意味と飾り方について
ご紹介します。
 

盆提灯(ぼんちょうちん)

先祖や故人の霊が迷わず家に辿り着けるように
目印として飾るのが「盆提灯」です。
「迎え火」や「送り火」の役割を持ちます。
 
また「盆提灯」は、故人の冥福を祈り、
感謝の気持ち込めたお盆の供養を表すもので、
「新盆(初盆)」を迎えた家に
「盆提灯」を贈るという習わしが
古くからあって、
贈られた盆提灯が多ければ多いほど
故人が周囲の方々から慕われていたことを
示すと言われています。
 
「新盆(初盆)」
故人が亡くなって「四十九日」の後、
つまり「忌明け」後に初めて迎えるお盆の
ことです。
遥か昔に亡くなった御先祖様に比べ、
つい最近まで家族の一員だった方に対しては
追慕の気持ちが強く、特別にもてなしたいと
いう心から、「初盆」の風習が始まったと
言われています。
 
そしていただいた「盆提灯」は、
「精霊棚」や仏壇の前に飾り、
お盆を迎える準備を整えます。
 
種類
吊り下げタイプの「提灯」(ちょうちん)と、
置き型タイプの「行灯」(あんどん)の2種類が
あり、地域の習わしや住宅環境に合わせて
選んで下さい。
 
「新盆」用は、清浄無垢の「白」で
故人の霊を迎える意味から、白木で作られた「白紋天」(しろもんてん)の提灯が一般的です。
玄関や部屋の窓際、仏壇の前などに飾るのが
通例です。
 
飾る時期
地域によって時期は異なりますが、
「迎え火」や「送り火」のタイミングに合わせ、
「盆の入り」までに準備しておくのが一般的
ですが、実際には8月に入ったら、
すぐに飾り始めるという方も多いようです。
 
そしてお盆期間中の8月13日~16日(7月13日~16日)の間灯しておくのが一般的です。
 
盆提灯の片付け、処分方法
絵柄入りの通常の「盆提灯」は、
使い捨てではなく、毎年飾るものですから、
片付ける際には、火袋をよく叩き、
部品をキレイに拭いて、箱に入れて
保管します。
防虫剤も入れておくと、
虫食いの心配もなくなります。
 
一方、新盆用の「白提灯」は、
使い回しはせずに「新盆」が終わったら
「送り火」で燃やしたり、
自宅の庭でお焚き上げしたり、
菩提寺に納めるなどして処分してもらうのが
習慣でした。
しかし最近では、一部を燃やした後
(形だけお焚き上げをして)、
鎮火を確認してから新聞紙などに包んで
ゴミとして処分する場合が多くなっています。
 

精霊棚

 
お盆の時に、御先祖様の精霊を迎えるために
位牌を安置し、お供えをするために
特別に作られる棚を「精霊棚」(しょうりょうだな)とか「盆棚」と言います。
8月12日の夕刻または13日の朝に作ります。
 
精霊棚を置く場所
精霊棚を置く場所は、仏壇の脇、床の間、
奥座敷、また屋外の場合など様々です。
その地域の慣習に合わせて、
決まった場所につくるのがよいでしょう。
都市部では、仏壇の前に経机(きょうづくえ)や小さい机などで棚をつくり、
精霊棚とする場合も多いです。
 
伝統的な精霊棚
精霊棚の飾り方は、地域や家庭によって
異なりますが、一例としてご紹介します。
 
・机などを置いて、
 真菰(まこも)で編んだゴザを敷き、
 四方に笹竹を立て、
 縄を張って結界を作ります。
 
・縄には鬼灯(ほおずき)を吊るし、
 先祖の道を照らす提灯代わりにします。
 
・位牌を並べ、線香を焚き、ろうそくを灯し、
 「盆花」を飾ります。
 
・水や、季節の野菜、果物、砂糖菓子、
 そうめんなどを供えます。
 
・「精霊馬」(しょうりょううま)を供えます。
 
真菰(まこも)・蓮の葉
お釈迦様がその上で病人を治療したという
いわれを持つのが「真菰」(まこも)のゴザです。 盆棚の上にまず真菰のゴザを敷き、
次に蓮の葉、その上に「精霊馬」や「お供え物」を置きます。
 
精霊馬(しょうりょうま)

 
「精霊馬」は、御先祖様の乗り物として、
胡瓜と茄子で馬と牛をかたどった飾りです。
 
「馬」は早く先祖の霊に帰ってきて欲しい、
「牛」はゆっくりあの世へ戻って欲しいと
されているところもあれば、逆に、
ゆっくり丁寧にお迎えしたいから「牛」で迎え、
急いで帰ってもらうために「馬」をお供えする
という地域もあります。
「牛」にはまた、沢山の供物を乗せて持って帰ってもらうという意味もあると言います。
 
鬼灯(ほおずき)
精霊が「迎え火」や「提灯」の灯りを頼りに
帰ってくると言われることから、
「鬼灯」(ほおずき)を提灯に見立てて
盆棚に飾ります。
 
仏花と共に活けたり、
他のお供え物と並べて飾ったり、
仏壇や盆棚に張った真菰の縄に吊り下げたり、様々な形で飾ることができます。
 

お盆のお供え物

お盆には、一般的に「五供」(ごく)と言われる
基本のお供え物があります。
  1. 香 (こう)   :お線香
  2. 灯燭(とうしょく):ロウソク・明かり
  3. 盆花(ぼんはな)
  4. 浄水       :キレイなお水
  5. 飮食(おんじき) :食べ物

そうめん
「鬼灯」(ほおずき)と並んで
「盆飾り」によく用いられます。
御先祖様がこちらへ帰ってくる際の
馬の手綱とするため、
彼岸へ戻られる時に
お土産などの荷物をまとめるため、
「細く長く幸せが続く」縁起物として、
などと言われています。
 

水の子・閼伽水(あかみず)

地域や宗派によっては、御先祖様の喉を潤す
ための「水の子」を飾る場合もあります。
「水の子」とは、さいの目に切った胡瓜と茄子に
洗った米を混ぜ、蓮の葉や禊萩(みそはぎ)
清めた「閼伽水」(あかみず)を含ませたものを、
蓮の葉を敷いた器に盛ったものです。