「草市」(くさいち)とは、
かつて7月12日の夜から
翌朝にかけて開かれていた、
「盂蘭盆」(うらぼん) の仏前に供える
「盆ござ」や「盆花」「牛馬の飾り物」
「ほおずき」「焙烙」(ほうろく)
「苧殻」(おがら)といった
お盆の飾り物などを売る市のことです。
「盆の市」とも言います。
土地によって扱う品は異なります。
江戸近郊の農家では、
この市に向けて盆の「草物」を作って、
荷車などに乗せて売りに出掛けました。
「草物」とは、盆や正月に使われる
縁起物に付属する裏白 (うらじろ)、橙((だいだい)、
ゆずり葉などの飾り物の総称のことで、
この「草物」作りは、
農家の中でも主要な働き手でない
老人達が行うものでした。
また「草市」では、
お盆に飾る「桔梗」「女郎花」「萩」などの
花を売っていたことから、
別名「花市」とも呼ばれていました。
本来、「盆花」は
野山で捕って飾る物ですが、
江戸の様な都会ではそれが出来ないので、
街中で市を開いて販売していたのです。
そして7月12日の夜や13日の朝、
盆飾りや花を出して
「揃いました。揃いました」と
掛け声を掛けながら売ったと言われています。
戦前までは、各地の繁華街の街角に
「草市」が立っていましたが、
時代が変わり、
今では「草市」の殆どが消滅し、
代わって八百屋やスーパーが
数日前から品物を並べるようになっています。
秋田県秋田市旭南地区
馬口労町(ばくろうまち)通りでは、
江戸時代から続く伝統の「草市」が
今年、令和6(2024)年も
8月12日(月・祝)15:00-20:30に開催されます。
当日は、盆花や野菜などの販売の他、
旧松倉家住宅を会場にイベントが開催されます。
「馬口労町」(ばくろうまち) は
羽州街道と酒田街道が通り、
旭川に架かる刈穂橋のたもとには船着き場があり、
舟運による物流や交通の要衝として、宿屋町、
また江戸期の早い時期から「馬市」が開催され
大変賑わった歴史があります。
一方、「月島草市」(つきしまくさいち)は、
令和6(2024)年も中止が決定しています。
「月島草市」(つきしまくさいち)は、
「もんじゃ焼き」でお馴染みの
東京都月島にある「西仲通り商店街」
通称「もんじゃストリート」で
毎年7月の上旬の週末に行われていました。
約500mに渡る「もんじゃストリート」は、
100余りの様々な屋台で埋め尽くされます。
昔ながらのお盆の道具を売る店が出たり、
縁日の露店や各地の物産などが
月島に集結して賑わい、
特設ステージでは芸能が披露されていました。
下町情緒溢れる月島の歴史は
意外にもそれほど古くありません。
明治25(1892)年に、隅田川河口に計画された
大東京港建設計画のもとに造られた埋め立て地の
第1号です。
再開発で高層ビルが建ってはいますが、
奇跡的に「東京大空襲」などの被害を逃れたため
少し街を歩けば、古い長屋、レトロな交番、
丸型ポスト、昔ながらの銭湯などなど、
時代を感じさせる街並みが人気です。
「月島もんじゃ」が有名です。