「草市」(くさいち)とは、
かつて7月12日の夜から翌朝にかけて開かれていた、
盂蘭盆(うらぼん) の仏前に供える草花「盆花」や、
焙烙(ほうろく)や苧殻(おがら)、鬼灯(ほおずき)といった
お盆の飾り物などを売る市のことです。
「草市」では、
お盆に飾る「桔梗、女郎花、萩」などの花を売っていたことから、
別名「花市」と呼ばれていました。
本来、「盆花」は野山で捕って飾る物ですが、
江戸の様な都会ではそれが出来ないので、
街中では市を開いて販売していたのです。
7月12日の夜や13日の朝には、盆飾りや花を出して
「揃いました。揃いました」と掛け声を掛けながら売ったと
言われています。
戦前までは各地の繁華街の街角に立っていましたが、
時代と共にその殆どが消滅し、
ほとんど行われなくなってしまいました。
そんな中、僅かに「草市」の名を留めているのは、
「もんじゃ焼き」でお馴染みの東京都月島にある「西仲通り商店街」
通称「もんじゃストリート」で行われている
「月島草市」(つきしまくさいち)だけです。
毎年7月の上旬の週末、
約500mに渡る「もんじゃストリート」は、
100余りの様々な屋台で埋め尽くされます。
昔ながらのお盆の道具を売る店が出たり、
縁日の露店や各地の物産などが月島に集結して賑わい、
特設ステージでは芸能が披露されることもあります。
(※令和4(2022)年の開催も中止です。)
「月島」、は明治25(1892)年、隅田川河口に計画された
大東京港建設計画のもとに造られた埋め立て地の第1号です。
昭和初期には軍需産業で栄え、
その後は石川島造船所(現・石川島播磨重工)の社員住宅を中心に
住宅地域として発展しました。
最近では高層マンション進出などの大規模な都市開発が目立っています。
月島は「関東大震災」や「大東亜戦争」の被害を免れたため、
江戸情緒豊な下町独特の景観が残るところであり、
また最近は「月島もんじゃ」が有名です。