「七日盆」(なぬかぼん)は、
7月15日のお盆に向けて、
お墓や仏壇の掃除(「磨き盆」)や、
盆提灯などの準備に入るの日のことです。
「お盆」を月遅れの8月15日に行う地域では、
「七日盆」(なぬかぼん)は8月7日になります。
七日盆(なぬかぼん)
古い日本の習俗では、
旧暦7月7日の「七夕」(たなばた)は、
続く7月15日に迎える
「お盆」の準備をする日だったようです。
「七夕」は「棚幡」とか「棚機」とも
書きます。
この「棚」とは、お盆に祖先の霊をお招きする
「精霊棚」(しょうりょうだな)だとも言われます。
日本では古来から、
「お盆」の一週間前の7月7日に
「精霊棚」を供えて、「幡(旗)」を立て、
水浴びして禊(みそぎ)を行い身を清め、
祖先の霊を迎える準備を行っていました。
やがて「仏教」が伝わると、
この行事は「お盆」を迎える準備の日となり、
7月7日の早朝に、人々は禊をして心身を清め、
祖霊を祭る「お盆」の行事に入ったのでした。
「七夕」は「お盆」と一つ繋がりの行事であり、
「お盆」のための神事という意味があったの
です。
水浴びなどで禊を行う日
「七日盆」の日に、水で心身の清浄を
図ろうとする様々な行事や言い伝えが
日本各地に残っています。
「七日浴び」(なぬかあび)
海や川などで7回水浴びをする習慣。
「七夕の髪洗い」
「七夕洗い」
「七夕」の日に、髪を洗うと
髪が美しくなるという迷信。
「池替盆」
井戸さらいをやる
「牛の盆」
人間だけでなく、牛を川で洗う風習。
他にも、「七度親を拝み、七度海に浴びる」、
「七遍飯を食い、七度海に浴びる」、
「七度ホウトウを食べ七度水泳ぎをすれば腹を病まぬ」などという風習が残っています。
「ねぶた」「ねぷた」
「秋田竿燈まつり」
日本を代表する夏祭である、
「弘前のねぷた」「青森のねぶた」
「秋田の竿燈まつり」などは、
同様の起源を持っています。
これらは旧暦の7月7日頃に行われていた
「眠り(眠た、ねぶり)流し」に
由来するものです。
「眠り流し」とは、睡魔を払う行事です。
合歓(ねむ)木の葉や笹、身代わりの人形(ひとがた)に睡魔を委ねて、川や海に流す行事です。
これは、夏に体の穢れや睡魔を
水に流し払って
活力を取り戻そうという
習俗から生まれたものだそうです。
暑いとだるく、頭がボーッとするのは、
体に熱が溜まるためだそうです。
これは、気温の高い時間帯に
体の動きを低下させて
暑さをやり過ごすための
生理機能ではないかと推測されています。
但し、夜になっても、外気温が高いと、
熱放散が上手くいかず、
寝付きや、睡眠が悪くなってしまいます。
睡眠不足は、結局、
仕事の能率を下げて、
健康にも悪影響を及ぼします。
昔の人達もそれは分かっていたようで、
睡眠不足から来る昼間の睡魔を
穢れの一種と考えて、
これを祓い清めるために
「眠り流し」を行ったのでした。