
9月に入りましたが、
まだまだ真夏のような暑さが続いています。
令和7(2025)年9月3日も21都府県で
「熱中症警戒アラート」が発表されています。
それでも、暦の上では「立秋」を過ぎ、
季節は少しずつ秋へと向かい始めています。
夏の疲労を持ち越して
「秋バテ」にならないためにも
質の良い睡眠をしっかり確保しましょう。
秋の睡眠の日

9月3日は「秋の睡眠の日」です。
「ぐっ(9)すり(3)」の語呂合わせから
平成23(2011)年に
睡眠についての正しい知識の普及と
国民の健康増進への寄与を目的に、
「睡眠健康推進機構」が
日本睡眠学会との協力によって
制定しました。
またこの日を中心とした前後1週間は
「秋の睡眠健康週間」とされ、
全国で啓発活動が行われます。
因みに「睡眠の日」は
「春」(3/18) と「秋」(9/3) の年2回あります。
睡眠健康推進機構
平成23(2011)年4月に、
公益財団「法人精神・神経科学振興財団」が
創立20周年の記念事業として立ち上げた
「睡眠健康推進事業」を遂行するために
日本睡眠学会と共同で組織した機構。
夏の疲労の正体

この長引く暑さのために、
私達の体には夏の疲労が蓄積しています。
「何となくだるい」「疲れが取れにくい」と
いった不調を感じている方も多いのでは
ないでしょうか。
夏の疲れの原因は、
「自律神経の乱れ」と「冷え」と言われます。
脱水
夏の疲労感の一番の原因は「脱水」です。
体は脱水を起こすと、
これ以上水分を減らさないようにと
細胞が血管との連絡口を閉じてしまいます。
細胞が守りの状態に入ると、
交感神経が優位になり、
末梢の血管を収縮させます。
この末梢の血流不足が
疲労の原因になるのです。
栄養不足
高温多湿のために
汗と共に体内の塩分が失われると、
塩を主成分とする消化液の分泌が少なくなり、
消化能力が低下してしまいます。
また食欲がなくなって水分ばかり摂っていると
更に食欲が低下することになります。
そうして食欲が低下して食事を抜いたり、
そうめんなどあっさりした
炭水化物中心の食事を摂ったりしがちになると
ビタミンなどの栄養素が不足して
エネルギー不足となり、
疲労を招くことになるのです。
睡眠不足
眠りにつくためには体温を下げて
深部体温を下げる必要がありますが
夏の暑さでそれが妨げられてよく眠れない、
夜中に何度も起きるなど眠りが浅くなると、
十分な睡眠を取ることが出来ないため、
その日の疲労が回復出来ずに
蓄積してしまいます。
エアコンの過度な使用による冷え過ぎや、
日中の活動による疲労、ストレス、
ブルーライトの過剰な露出なども、
睡眠の質を低下させる要因となります。
冷房による冷え
エアコンの冷房による体の冷え過ぎにより、
自律神経が乱れて、
食欲不振や不眠、めまいや下痢、
女性であれば月経不順などの症状を
引き起こします。
屋外と室内の激しい温度差
昼間は冷房の効いたオフィスで過ごし、
暑い夜道を歩いて帰宅、
自宅では冷房をフル稼働。
このように冷房の効いた屋内と炎天下の屋外を
頻繁に出入りしたりしていると、
自律神経が混乱して上手く働かなくなり、
体調不良を起こしやすくなります。
内臓の冷え
冷たい飲み物やアイスなどを摂り過ぎると
胃腸が冷えて消化機能が低下し、
栄養の吸収にも影響が出ることがあります。
「体が冷えている」という自覚がなくても、
実は内臓の冷えが体調不良を引き起こしているケースも少なくありません。
シャワーだけで済ます
夏は簡単にシャワーで済ませ、
湯船に浸かるのを避けがちです。
ですが上記に記したように、
夏は冷房の効いた部屋で過ごしたり、
冷たい飲み物を飲んだりして、
体が冷えている人は意外に多いのです。
汗をかいて帰って来てシャワーを浴びると、
一時的にはサッパリして気持ち良いのですが、
冷えて血流が滞ったままだと、
体内に老廃物が溜まって、
疲れが慢性化してしまいます。
紫外線

夏は太陽の位置が高く、日照時間も長いため、
他の季節よりも「紫外線」が強くなります。
「紫外線」を浴びると
体内で「活性酸素」が生成されます。
「活性酸素」は
免疫機能や身体の生理機能を保つなど
大切な役割がある反面、
過剰に増えると細胞にダメージを与えるため、
その修復のためにエネルギーを消耗し、
疲労感が感じやすくなります。
そもそも良い眠りとは

「良い睡眠」とは、時間の長さではなく、
グッスリと熟睡感のある眠りのことです。
朝スッキリと目覚められ、
空腹感があって朝ごはんを食べることが出来、
日中に疲れを感じない人は、
グッスリと眠れている人です。
ですから、目覚めが悪かったり、
朝食を食べる意欲が沸かなかったり、
午前中から眠気を感じたりする人は、
夜にシッカリと眠れていないと言えます。
睡眠の質を高めるために
夏の疲れを秋に持ち越さないためには、
まず生活リズムを整え、
質の良い睡眠をしっかり確保することが
大切です。
ブルーライトを避ける
睡眠の質を低下させているのが
夜のブルーライトです。
寝る前や夜間にブルーライトを浴びると、
睡眠ホルモンの「メラトニン」の分泌が
抑制されます。
寝る1時間前にはパソコンやスマホ、TVなど、
デジタル的なデバイスを見ないことです。
朝の光を浴びる
朝日を浴びると体内時計がリセットされ、
その後15〜16時間後に眠気が起こります。
就寝時は真っ暗、起床時に光を浴びると
いったようにメリハリをつけましょう。
夕食は就寝3時間前までに

寝ている間に胃腸が活発に動くため、
寝る直前の食事は睡眠の妨げになります。
また脂肪の多いものや繊維の多いもの、
刺激の強いものなど消化の悪いものは避けて、
「温かいものをゆっくりとる」だけでも、
体の冷えや疲れの回復に繋がります。
ぬるめのお風呂に浸かる
ぬるめのお風呂(38~40℃)に
ゆっくり浸かるのもおススメです。
人は体温が下がるタイミングで眠くなるため、入浴によって一度体温を上げることで
その後体温が下がり、寝つきやすくなります。体温が下がるまでの時間を考えると、
寝る2時間前くらいに済ませましょう。
温かい飲み物で眠気を促す

温かい飲み物は、身体を温めて
リラックス効果を促すため、
ただ直前だと夜中にトイレに行きたくなり
中途覚醒に繋がることもありますので、
就寝時間の1時間前までに
白湯やカフェインのないハーブティーなどを
飲むようにしましょう。
アルコール

お酒を飲むと感覚が鈍って眠気に誘われます。
しかし眠りの質を激しく低下させるのも
アルコールです。
夜飲んだアルコールが代謝されるのは
寝ている時ですが、
代謝の段階で脳が活性化することもあり、
睡眠リズムが崩れてしまいます。
また水分を多く摂ることで、
夜中にトイレに起きる頻度も
高くなりがちになります。
飲まないに越したことはありませんが、
飲むなら適量を、
就寝3時間前までに飲み終えて下さい。
軽い運動も効果的

日中の運動量が睡眠の質に影響します。
適度な運動も効果的です。
血流が良くなり、
自律神経のバランスを整える助けにもなり、
質の良い睡眠へも導きます。
エレベーターではなく階段を使うなど、
日常の中で無理なく取り入れられる工夫から
始めるのもおススメです。
むしろ過度な運動は
交感神経の興奮をさせてしまうため、
就寝の2~4時間前までに行いましょう。
世界一短い?
日本人の睡眠時間

厚生労働省は、成人については
1日6時間以上睡眠時間を確保することを
推奨していますが、
1日の平均睡眠時間が6時間未満の人の割合は、
男性は37.5%、女性は40.6%に上ります。
世界的に見ても、日本人の平均睡眠時間は短く、
OECD(経済協力開発機構)が
令和3(2021)年に公表した調査では、
日本人の平均睡眠時間は7時間22分で、
全体平均より1時間以上も短く、
加盟する33カ国の中でも最も短いという
結果でした。
睡眠の役割
睡眠は心身の健康維持に必要で大切な要素です。
睡眠には、脳や身体の休養させることにより
日中の疲労を回復するだけでなく、
自律神経やホルモンバランスを整えたり、
記憶を整理して定着させたり、
「免疫力」を上げて抵抗力を高めるなど
多くの重要な役割があります。
睡眠不足は、
日中の眠気や意欲の低下を引き起こし、
作業能力を低下させます。
体のメンテナンス
寝入り端 (ばな) に多く分泌される
「成長ホルモン」は、
筋肉・骨・内臓・皮膚などのダメージを修復し、
疲労回復に導く重要なホルモンです。
別名「アンチエイジングホルモン」とも
言われています。
自律神経のバランスを整える
自律神経系は、
交感神経と副交感神経から成り、
これらがバランスを保つことで、
質の高い睡眠が可能となります。
交感神経は日中に活発になり、
副交感神経は夜に働いて
リラックスと睡眠を促進します。
このバランスが崩れると、
睡眠障害が発生しやすくなります。
また食欲を抑える「レプチン」という
ホルモンの分泌が減少し、
逆に食欲を高めるホルモンである
「グレリン」の分泌が亢進するため、
食欲が増大することが分かっています。
食べ過ぎは肥満に繋がり、
肥満があれば高血圧や脂質異常症など、
様々な生活習慣病に罹りやすくなります。
抗ストレス
睡眠後半に増加し早朝にピークを迎える
「コルチゾール」は
「抗ストレスホルモン」であり、
血糖値や血圧を高め、体を目覚めさせ
活動準備を整える役割があります。
睡眠不足が続くと
「コルチゾール」が過剰分泌されて、
免疫力低下やストレス耐性の低下を
招くことがあります。
免疫力を向上
眠りの前半部分から増える
「メラトニン」には抗酸化作用があり、
がんや老化を抑える働きがあります。
この「メラトニン」は胸腺に作用して
Tリンパ球をたくさん作らせるため、
十分な睡眠を取れていないと
免疫システムも十分な威力を発揮出来なく
なります。
脳の老廃物を除去
睡眠中、脳は、
活動中に学習した記憶を整理し、
必要な情報を定着、強化する一方で、
不要なものを脳脊髄液中に排泄するという
「保守作業」を毎日行っています。
老廃物の1つ「アミロイドβ」というタンパクが
脳に蓄積することが、
アルツハイマー病の原因と言われていますが、
睡眠不足になるとこのメンテナンスが
上手く行われず、
認知症発症のリスクが高まることが
分かっています。
