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「夏の土用」にまつわる行事と風習

土用干し

夏の土用」には、
「土用干し(または虫干し)」と言って、
書物や衣服などを取り出し、風を通して、
梅雨の間の湿気によってカビや虫がつくのを
防ぐための習慣があります。
平安時代には、正倉院の所蔵品も
「土用干し」をしていたそうです。
 
衣類、書物の「土用干し」

 
梅雨明けの頃にやってくる「夏の土用」は
湿気やカビ、虫が気になる頃です。
昔は大切なものを風に当てて湿気を取る
「土用の虫干し」が行われていました。
 
着物や履物だけでなく、
掛け軸や書物を陰干して風を通すことで、
虫がついたりカビが発生することを防ぎます。
 
特に書籍を干すことを「曝書」(ばくしょ)
言って、現在でも寺院では、虫干しを兼ねて
本尊などを特別に拝観出来たりするそうです。
 
梅の土用干し
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梅雨が明け、6月頃に収穫した梅の実を
塩漬けにして3日程日干しにしますが、
これを「土用干し」と言います。
「土用干し」したものを本漬けしたものが
梅干し」となります。
 

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田の土用干し

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一週間程、田の水を抜いて、
稲がしっかり根を張るようにする
田の土用干し(中干し)」もあります。
 

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雪駄の土用干し

上記の3つの「土用干し」と違って、
「干す」ことの効用を言ったものでは
ありません。
草履の裏に革を張った「雪駄」(せった)
天日干しすると反ってしまうことから、
「反っくり返って、威張った態度で歩く人」のことをいう言葉です。
 

土用三郎

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夏の土用」入りの日を「土用太郎」、
二日目を「土用次郎」、
三日目を「土用三郎」 と呼びます。
この「土用三郎」の日の天気で、
その年の豊作を占います。
この日が晴れなら「豊作」、
雨だと「凶作」と言われています。
 

土用間(どようあい)

夏の土用」に吹く、涼しい北風のこと。
 

土用凪(どようなぎ)

夏の土用」の頃の、
風がなく、蒸し暑い状態のこと。
特に、海がとても静かな様子を言います。
 

土用波(どようなみ)

夏の土用」の頃に、
海岸に打ち寄せつ大波のこと。
台風の影響を受けてうねりのあるもの。
 

土用隠れ(どようがくれ)

釣り用語。
夏の土用」の期間は、
日中は水温も上がり、
鮎は流れの強い場所や深場に
身を潜めてしまい
釣れなくなることを言います。
ただ釣れないからと言っても、
鮎がいない訳ではなく、
隠れてしまっている事が多いです。
 

土用芽(どようめ)

樹木などで、「夏の土用」の頃に
二次的に伸長する芽のこと。
 

土用竹(どようだけ)

蓬莱竹(ほうらいちく)の別名。
夏頃からタケノコが生えるので。
 

「暑中見舞い」と「残暑見舞い」

 
「暑中」と言うのは、夏の暑い時期のこと、
あるいは「夏の土用」の期間を言います。
以前は、「暑中お見舞い」と言えば、
直接挨拶に伺えない遠方の人に送る
夏の便りでした。
それが、お世話になっている人や親しい友人や知人に送る暑さを労う挨拶状として広まったのは大正の頃です。
昔は「夏の土用」に送っていたので、
「土用見舞い」とも言われました。
 
今では
「小暑」より以前は「梅雨見舞い」、
「小暑」から「立秋」前日までに出すのが
「暑中見舞い」、
「立秋」以降は「残暑見舞い」と
されています。

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丑湯

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土用の丑の日」には、
夏バテ防止や疲労回復のために、
薬草を入れた「丑湯」に入る風習があります。
江戸時代には、桃の葉を入れた「桃湯」を
丑湯」としていたようです。
 

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土用灸(どようきゅう)

夏の土用」に据える灸。
夏バテや病気の回復に効果があると
言われています。
ちょうど夏の疲れが出てくる時で、
体を労わる頃合いです。
 

土用布子に寒帷子
(どようぬのこにかんかたびら)

暑い盛りに「綿入れ」を着て、
冬の寒い時に「単衣の帷子」(ひとえのかたびら)
着ること。
物事の順序が逆になることの例え。
また、時節の用をなさないものの例え。
 

土用掃き(どようばき)

夏の土用」中に行う「煤払い」のこと。
 

土用芝居(どようしばい)

江戸時代、歌舞伎は五月狂言が終わると、
暑さも激しくなるので、
旧暦六月から1、2か月は「土用休み」として
劇場は休場するのが慣例でした。
 
そしてその間は、若手の役者や、
普段は余り役に恵まれない役者が舞台に立ち、
怪談物や水狂言などを演じました。
その分料金も低くかったこともあって、
人気を集めました。
 

土用殿(どようでん)

熱田神宮の御神体である「草薙剣」を
奉安した殿舎のこと。

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「夏の土用」の食い養生

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  1. 夏の「土用の丑の日」
  2. 土用蜆(どようしじみ)
  3. 土用卵(どようたまご)
  4. 土用餅(どようもち)
  5. 「う」の付く食べ物
  6. 暑気払いに効く食べ物