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夏の「土用の丑の日」

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「土用の丑の日」

「土用」の期間中にやってくる
「丑」(うし)の日のことです。
 
「土用」の期間中に
「丑」の日が2日ある場合は、
それぞれ「一の丑」「二の丑」と言います。
今年、令和6(2024)年の夏の土用は、
「一の丑」が7月24日の水曜日で、
「二の丑」は8月5日の月曜日になります。
 

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「土用」とは、
暦の「立春・立夏・立秋・立冬」の
直前18日間のことです。
この時期は季節の変わり目で、
体調を崩しやすい時期なので、
昔から、土用の期間中は
いつも以上に注意し、
落ち着いて過ごすことが勧められて
いました。
 
特に「夏の土用」の時期は
梅雨明けと重なり、
また暑さも厳しく、
夏バテをしやすい時期なので、
昔から「精の付くもの」を食べる習慣が
ありました。
 

土用鰻

 
日本では昔から、
夏の土用」の体調を崩しやすい時に
「丑」の日に因んで「う」が付く食べ物
食べていました。
 
その中でも「鰻」(うなぎ)は、
身体の抵抗力を高めるビタミンAを始め、
B群、E、D、カルシウム、鉄などを
バランス良く含んでいる優れた食品です。
特に「ビタミンA」の含有量は、
鰻の蒲焼き1人前(100g)当たり5000IUで、
成人の1日に必要な摂取量2000IUが
賄えるほどです。
 
ビタミンAは「目のビタミン」と言われ、
夜盲症の防止や、皮膚・粘膜を健康に保つ
働きがあると言われています。
更に鰻には、成長に欠かせないカルシウムも
100g当たり150㎎も含まれているので、
成長期の子供さんにもピッタリです。
 

鰻を食べるようになったのは
江戸時代から!

平賀源内説
今のように
土用に鰻を食べる習慣
一般化したきっかけは
江戸時代中頃の本草学者で、地質学者、
蘭学者、医者、殖産事業家、戯作者、
浄瑠璃作者、俳人、蘭画家、発明家として
知られていた平賀源内が、
夏場に鰻が売れないので何とかしたいと
近所の鰻屋に相談されたことから
始まりました。
 
そこで源内は、
「本日、土用丑の日」
と書いた張り紙を張り出したところ、
大繁盛したことがきっかけと言う話は
よく知られたところだと思います。
 
実際の「鰻」の旬は秋から冬です。
この時期、産卵前の脂を蓄えて味が濃く
こってりしている旬の鰻に対して、
夏の鰻は人気がなかったのです。
 
大田南畝説
鰻屋に相談をされた、蜀山人こと大田南畝が、
『丑の日に鰻を食べると薬になる』
という内容の狂歌をキャッチコピーとして
考え出したという説。
 
春木屋善兵衛説
『江戸買物獨案内』の
文政7(1824)年飲食の部蒲焼の項には、
神田泉橋通り春木屋善兵衛の欄に
「丑の日元祖」とあります。
 
神田泉橋通りの鰻屋・春木屋善兵衛は、
文政年間(1816-1829年)の土用に、
大名藤堂家から大量の蒲焼の注文を受け、
子の日、丑の日、寅の日の3日間で作って
土甕に入れて保存しておいたところ、
丑の日に作った物だけが
悪くなっていなかったからという説。
 
「うし」が2匹の鰻のように見えた説

 
平仮名で墨汁を使って毛筆で書いた
「うし」と言う文字が、
まるで2匹の鰻のように見えたからと言う説。
 

万葉集にも登場「夏の鰻」

奈良時代には既に「鰻は精の付くもの」と
認識されていたようです。
『万葉集』には、大伴家持が吉田連老よしだのむらじのおゆ
贈った次のような歌があります。
 
「石麻呂に われもの申す 夏痩せに
 良しといふものぞ むなぎとりせ」

「痩す痩すも 生けらばあらむを
 はたやはた 鰻を取ると 川に流るな」
 
吉田連老という人は、大変痩せていたので
「石麿」というあだ名をつけられていました。
大伴家持が少しからかい気味に、
「あなたのように夏痩せした人は
 ウナギを食べるのが一番、
 どうぞウナギ取りに行ってお食べなさい」と
歌を贈りました。
 
でも本当に「石麿」がウナギ取りに川に行って
水に流されて溺れて命でも失くしたら大変と
心配になって、更に続けて、
「あなたは痩せに痩せていても
 生きているのが何より大切です。
 もしウナギ取りにいって川に流されたら
 それこそ大変ですよ。」
と詠ったのでした。
 

 

鰻と梅干しは食べ合わせが悪いのか?

「鰻と梅干しは食べ合わせが悪い」
と言われてきましたが、
実は、医学的根拠は全くありません。
むしろ近年では、
栄養面でとても優れた組み合わせと
言われています。
 
まず、「梅干し」の酸味が胃酸の分泌を促し、
「鰻」の脂分の消化をサポートしてくれるため
食後の胃もたれを防止する効果があります。
 
 
また梅干しのクエン酸は、
鰻に含まれるビタミンB群と一緒に摂ることで
エネルギーの代謝効率を上げてくれるという
相乗効果もあるそうです。
 
 

絶滅危惧種に指定

1970年代頃からウナギの漁獲量は減少し、
個体数も同様に減少し続け、
取引価格は値上がりしています。
 
平成25(2013)年には、環境省が
「ニホンウナギ」を絶滅危惧種に指定。
その翌年には、国際自然保護連合(IUCN)も
「ニホンウナギ」と「アメリカウナギ」を
絶滅危惧種に指定。
「絶滅危惧種IB類」と言われる
「近い将来における
 野生の絶滅の危険性が高い種」に
選定しています。