夜明け前の空に、新たな彗星
「パンスターズ彗星(C/2025 R3)」が
肉眼で見えるかもしれないと
話題になっています。
パンスターズ彗星(C/2025 R3)
そもそも「彗星」とは?
「彗星」とは、氷、塵、岩石などの塊です。
尾を引く姿が「ほうき(彗)」で掃くように
見えるため、別名「箒星」と言います。
以前は「汚れた雪玉」と表現されましたが、
最近の研究では岩石の比率がかなり多く、
「凍った泥団子」のようであるとされています。
「彗星」の大きさは、
火星や地球などの惑星に比べて遥かに小さく、
多くの彗星の本体は直径が数km程です。
「彗星」の本体は「核」と呼ばれ、
遠くにある時は凍りついていますが、
太陽に近づくと、太陽からの熱などで
「核」を構成する物質(氷・塵・岩石など)が
蒸発しガス状になって噴き出します。
これが核の周りでぼんやりと光る
「コマ」と呼ばれる外層です。
コマは数千㎞の幅に達し、
彗星が夜空で明るく見える要因となります。
更に太陽に近づくと、
彗星の核から蒸発したガスなどが、
太陽からの電磁波やプラズマ流で押されて、
太陽と反対方向に「尾」が出来ます。
「彗星」本体は、太陽に近づく度に蒸発し、
次第に小さくなって
やがて消滅すると考えられています。
多くの彗星が誕生する場所は、
太陽系の果ての2つの空間であると
考えられています。
公転周期が比較的短い「短周期彗星」は通常、
海王星の外側にドーナツ型に広がっている
冥王星を含むいくつかの準惑星や小惑星、
細かな塵やガスの氷が漂っていると
考えられている「カイパーベルト」から来ます。
公転周期が長い「長周期彗星」は、
更に遠くにあるとされる
太陽系を取り囲む遠方の球状の殻である
理論上の存在「オールトの雲」が
その起源と言われています。
これらの空間で、
ガスの氷や塵が衝突合体して大きくなり、
太陽や惑星の引力の影響で変化して
太陽を周る軌道を描くようになったものが、
「彗星」なのです。
昨秋発見された新しい彗星
「パンスターズ彗星(C/2025 R3)」は、
2025年9月8日にハワイ・マウイ島の
ハレアカラ山頂に設置された
高速・広視野のサーベイ望遠鏡システム
「Pan-STARRS (パンスターズ) 望遠鏡」による
観測で発見された
公転周期が約17万年と推定されている
「長周期彗星」(ちょうしゅうきすいせい) と
されています。
「長周期彗星」(ちょうしゅうきすいせい) とは、
公転周期が200年以上、
時には数百万年にも及ぶ、
非常に細長い楕円軌道を持つ彗星の総称です。
太陽系の最も外側にある
「オールトの雲」からやって来ると考えられ、
太陽に一度だけ接近して戻ってこない
(非周期)ものも多いです。
名前の由来
この彗星の名前は、
「PanSTARRS(パンスターズ)」という、
太陽系内を移動している天体を発見する
プロジェクトによって発見されたため、
このような名前がつきました。
なお「C/2025 R3」は
・非周期彗星(C)
・2025 年(2025)
・9月前半(R)に発見された
・3番目 (3)の彗星
という意味を持つ「仮符号」という記号です。
「パンスターズ彗星」という名前の彗星は
いくつかありますが、
記号は一つの彗星に一つ付与されます。
他のパンスターズ彗星と区別するために、
この仮符号を添えて記されています。
観察の時間帯と方角
近日点
「近日点(きんじつてん、perihelion)」とは、
惑星や彗星などの天体が楕円軌道上で
太陽に最も近づく位置のことです。
「パンスターズ彗星」の「近日点」通過は、
協定世界時(UTC)4月19日(日)の予定で、
地球と太陽の距離の半分に相当する
約0.5au(天文単位)、
すなわち約7500万kmまで太陽に接近します。
地球へ最接近
地球に最接近するのは、
4月26日(日)~27日(月)で、
距離は約7,080万kmで、
最も明るくなると予想されています。
ですがその頃には、
北半球で「パンスターズ彗星」見ることは
出来なくなるそうです。
北半球から観測するには
北半球に住む私達が狙うなら、
4月18日(土)頃までが見頃だそうで、
特に4月17日(金)に新月を迎えるため、
空が晴れていれば、
彗星が最も明るく輝く時期の
月明かりの条件はとても良いでしょう。
空が白み始める前の短い時間が勝負です。
日の出の1時間半程前、
東から東北東の低空を探してみて下さい。
見える位置が低空で、薄明が影響するため、
望遠鏡や双眼鏡を使うのがおススメです。
「パンスターズ彗星」は、
ペガスス座の大四辺形の
右上に位置する星「マルカブ」のすぐ左側から
一番下に光る星「アルゲニブ」の方へ向かって
移動していきます。
彗星の明るさ
彗星の明るさを予測するのは
極めて難しいことで知られています。
期待が高まっていますが、
見積もりは8等級前後から2等級前後まで
幅があります。
2等級となれば、近年でも指折りの
明るい彗星となりますが、
最高で3等級程度としています。
無理に肉眼にこだわらず、
双眼鏡や小型望遠鏡を前提に準備しておくのが
現実的と思われます。
4月16日の早朝は
天体ショーが目白押し
明日4月16日(木)の明け方は、
「パンスターズ彗星」の他にも、
東の空の低い位置に
細い月と水星、火星が接近して見えます。
見ることが出来ます。