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正月二日(しょうがつふつか)

俳句では単に「二日」(ふつか)と言えば、
一月二日のことを指します。
 
 

正月二日

元々1月2日は「事始め」とされ、
新年を迎えて初めての「事」を行うのに
縁起の良い日とされ、
「初荷」「初商」「書初め」「縫初め」(ぬいぞめ)「初湯」などの行事が行なわれました。
穏やかで荘重な元日に対し、
「二日」は世の中が動き始める日です。
 

仕事始め

江戸時代までは、
一年の「仕事始め」は1月2日でした。
「大晦日」に掃除も炊事などの
全ての用事を片付けてしまい、
「元日」は何もせずに静かに暮らしました。
 
そして2日になると、「仕事始め」と称して
普通の仕事を形だけ行ないました。
 
初荷(はつに)
江戸時代、正月二日に得意先の注文の荷を、
華やかに飾り立てた荷馬車に乗せて届けました。
その馬や荷を「初荷」(はつに)と言います。
荷を受けた大商家などでは、
祝儀を与えたり、賑やかに手打ちをしたりして
新年を寿ぎました。
 
初市(はついち)
 
新年に初めて開く魚や青果などの市のことを
「初市」(はついち)と言います。
一番に注目されるのが「初競り」の価格で、
「御祝儀相場」とも言われます。
買い手は気前良く高値で競り落とすため、
競り場は一気に活気付きます
現在は4日に行われることが多いです。
 
初商(はつあきない)
新年になって初めての商売を
「初商」(はつあきない)と言います。
 
かつては商家では、
元日は福が逃げないように店を閉じて、
二日から営業するのが習いでした。
現在は、元日から営業しているお店も
結構ありますね。
 
初売り(はつうり)
江戸では、二日に商いが始まりました。
当時日本橋にあった魚河岸では
正月二日の「初売り」(はつうり)が恒例で、
大勢の買い物客で賑わったと言われています。
「初売り」と言えば「福袋」ですが、
こちらも起源は江戸時代で、
日本橋の越後屋(現在の三越)が
「恵比寿袋」として販売したのが最初と
言われています。
 
 
買初(かいぞめ)
新年になって初めて買い物をすることを
「買初」(かいぞめ)と言います。
江戸では、二日に商いが始まると、
「蛤」(はまぐり)と「海鼠」(なまこ)を買う習慣が
あったそうです。
また金沢地方ではお年玉を貰った子供達が
2日の午前零時に「初買」するために
町に繰り出す風習があったそうです。
 

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農林水産業・商業の初仕事

鍬始(くわはじめ)
新年になって、農作業を始める儀式を
行うことを「鍬始」(くわはじめ)と言います。
行われる日は地域によって異なり、
2日、4日、11日、15日のいずれかです。
 
鍬や鋤を使って農耕などの所作をして、
松や榊を立て、御神酒などを供えて、
その年の豊作を祈ります。
 
同様の行事は全国に広く分布していて、
東北地方や日本海側の雪深い所では、
雪の上を田に見なして儀式を行います。
また山陰地方や九州地方では、
「田打ち正月」と言います。
 
初山(はつやま)
 
山村では、
年の初め(正月の2日、4日、8日、11日)に、
注連縄、餅、米、塩を持って山に入り、
山の神に酒や餅などを供えて
木を伐る所作などをして、
その一年の山仕事の安全を祈願する儀式のこと。
 
切った木は持ち帰って門口に立てたり、
薪にして「小正月」の「小豆粥」や
田植の時の昼飯を炊くのに用いる所が多いです。
 
綯初(ないぞめ)
地方により名称や日取りは一様ではないものの、
概ね正月の2日から4日に
農家では「鍬始」や「初山」などの行事と並行して、
屋内で牛馬用の縄や荷縄などを一把だけ綯う
「綯初」(ないぞめ)という儀式をしました。
 
初漁(はつりょう)
 
正月になって初めて出漁することを
「初漁」(はつりょう)と言います。
地域によって日付は様々だが、
2日から7日にかけて行われます。
大漁旗を掲げて出漁し、
初漁の鯛や鰤は戎神社や船霊に供えて
一年の豊漁を願いました。
 
初染(はつぞめ)
新年になって初めて糸や織物などを
染めることを「初染」(はつぞめ)と言います。
主に染色を生業とする人の
「仕事始め」を指します。
 
織初(おりぞめ)
新年になって初めて機織りをすることを
「織初」(おりぞめ)と言います。
正月二日から行われることが多かったようです。
 

家庭の初仕事

元旦の江戸の町は人通りもほとんどなく、
庶民の多くは正月を寝て過ごしていたそうです。人々が動き出すのは2日からで、
徐々に日常の生活に戻っていきました。
 
縫初(ぬいぞめ)
新年に初めて針を持って裁縫をすることを
「縫初」(ぬいぞめ)と言います。
家庭においての縫物だけでなく、
和服の裁縫師や紳士服屋の「仕事始め」も
含まれます。
 
掃初(はきぞめ)
正月二日に、新年を迎えて初めて
箒で屋内外を掃除することを
「掃初」(はきぞめ)と言います。
 
元日の掃除は
「福を吐き出す」との言い伝えがあり、
箒を用いることを忌み嫌ったのだそうです。
 

いろいろ楽しみたい、三が日の中日

 
歌会始め(うたかいはじめ)
天皇陛下が年始めにお催しになる歌会を
「歌御会始」「歌会始」と言います。
宮中の新年儀式の一つで、
歌会始の儀では、天皇皇后両陛下の御前で、
一般から詠進して選に預かった歌、選者の歌、
召人(めしうど)の歌、皇族殿下のお歌、
皇后陛下の御歌と続き、
最後に「御製」(ぎょせい)が披講(ひこう)されます。
 
初芝居(はつしばい)
歌舞伎や能楽などの芸能ごとも
元日は年賀の挨拶や新年のお祝いなどをして、
二日から幕を開けていました。

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着衣始(きそはじめ)

正月三が日の内の吉日を選んで、
新年に初めて新しい着物を着ること、
またはその儀式を「着衣始(きそはじめ)
言います。
 

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書初(かきぞめ)
新年になって初めて書や絵を書く正月の行事で、
二日に行うのが慣わしです。
 

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おめでたい言葉や詩歌、
または今年一年の目標や抱負を書くことで、
行動を新たにするという意味があります。

書いたものは「吉書」(きっしょ)と言い、
左義長(どんど焼)」の火で焼いて、
炎の高さで所の上達を占いました。
 

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初湯(はつゆ)
新年に初めて湯に浴することを
「初湯」(はつゆ)と言います。
かつては銭湯では、大晦日は終夜営業し、
元日は休んで、二日が「初湯」として
営業しました。
江戸時代には祝儀を包んで
番台に置く習慣があったそうです。
 

初夢

現代においては、正月二日の夜に見る夢を
初夢」と言います。
古く江戸では大晦日の夜の夢を言い、
京阪では節分の夜の夢を「初夢」と言った
ようです。
 

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良い初夢(吉夢)を見ることを願って、
枕の下に「宝船」の絵を敷いて寝ました。
 

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吉夢の順を「一富士二鷹三茄子」と定め、
その絵を枕の下に敷くこともあります。
また悪夢であっても
獏が食べてくれるという言い伝えから、
「獏の絵」を枕の下に敷いたりもしました。