「なまはげ柴灯まつり」(なまはげせどまつり) は、
2月第2金曜日から日曜日に、
秋田県男鹿市で神事「柴灯祭」(せどまつり) と
民俗行事「なまはげ」を組み合わせた
幻想的かつ勇壮な冬まつりです。
なまはげ柴灯まつり
今年で62回目のお祭り
「なまはげ柴灯まつり」は
毎年2月の第2金・土・日の3日間で行われます。
秋田県男鹿市の「真山神社」で行われる
男鹿の冬を代表する雪まつりです。
今年、令和7(2025)年は62回目を迎え、
2月7日から9日に開催されます。
この祭りは、民俗行事「なまはげ」と
900年以上前から毎年1月3日に
真山神社で行われる「柴灯祭」(さいとうさい) を
組み合わせた冬の観光行事です。
民俗行事「なまはげ」は、
民家に上がって大暴れしたり、
家主がなまはげを迎えて労うお祭りですが、
観光客が一般の方の家に上がり込んで
行事を見学する訳にもいきません。
それでも、一度は見てみたいと思う方に
おすすめなのが「なまはげ柴灯まつり」です。
男鹿のなまはげ
「男鹿のなまはげ」は、大晦日の晩に、
ナマハゲに扮した集落の青年達が、
「泣く子はいねがー、
親の言うこど聞がね子はいねがー」
「ここの家の嫁は早起きするがー」などと
大声で叫びながら地域の家々を巡る
男鹿半島全域、約80もの集落で行われている
行事です。
男鹿の人々にとって「なまはげ」は、
怠け心を戒め、無病息災に
田畑の実り・山の幸・海の幸をもたらす
年の節目にやってくる来訪神です。
「なまはげ」を迎える家では、
昔から伝わる作法により
料理や酒を準備して丁重にもてなします。
柴灯祭(さいとうさい)
「真山神社」で正月三日に行われている
「柴灯祭」(さいとうさい)は
平安末期の長治年間 (1104-1106) より
行われてきた由緒ある祭儀です。
境内で「柴灯」を焚き上げ、
この火によって焙られた大餅を
お山の神に献ずる儀式が執り行われます。
ところで「真山神社」(しんざんじんじゃ) とは
第12代景行天皇の御世に、武内宿禰 が
使命達成・国土安泰・武運長久を祈願するため、
始まりだと伝わる神社です。
平安時代以降は、山岳信仰の霊場として、
時の支配者の庇護を受けながら栄え、
国家安泰・武運長久・五穀豊穣・海上安全の
守護神として崇敬されています。
まつりの歴史
「なまはげ柴灯まつり」は
男鹿温泉郷の冬場の観光を盛り上げようと
昭和39(1964)年に
「福一万星辻神社」(ふくいちまんほしつじじんじゃ)で
「雪まつり」を行ったのが始まりです。
後に男鹿市長となった菅原慶吉氏らが先に立ち、
民俗学者の奈良環之助氏の指導を受けて、
「真山神社」 (しんざんじんじゃ) で行われていた
「柴灯祭」(さいとうさい) を取り入れました。
その後、観光客が増え会場が手狭となったため
「真山神社」に舞台を移して、現在に至ります。
まつりの内容
鎮釜祭・湯の舞
祭は、湯立て神事「鎮釜祭」(ちんかまさい) で
海の波や荒れを鎮め、
「湯の舞」(ゆのまい) という祓い神楽を奉納して始まります。
なまはげ入魂
その後「なまはげ入魂」があり、
「なまはげ」に扮する若者達が、
参道入口の石段で神 (しん) の入った面を授かり、
身につけます。
この儀式で若者達は「なまはげ」と化し
山へ戻って行きます。
再び下山してくる間、
境内では様々なイベントが行われます。
民俗行事「男鹿のナマハゲ」の再現
なまはげ踊り
柴灯火前では、
秋田が生んだ現代舞踏家・石井漠の振り付け、子息の石井歓が曲を付けて
昭和36(1961)年に誕生したダイナミックな
「なまはげ踊り」が繰り広げられます。
なまはげ太鼓
そんな中、神楽殿では、
郷土芸能「なまはげ太鼓」が披露され、
なまはげによる勇壮な太鼓リズムと
なまはげの掛け声が会場中に響き渡ります。
こうしてお祭りが盛り上がっていると、
再び下山してきた「なまはげ」が
雪山の闇の中から現れ、
雄叫びを上げながら境内を練り歩きます。
大人達が盛り上がる一方子供達が悲鳴を上げ、
盛り上がりは最高潮に達します。
献餅
続く「献餅」(けんぺい) では、
神官から柴灯火で焼かれた護摩餅が
「なまはげ」に捧げられますが、
「なまはげ」は護摩餅に容易に触れられず、
右往左往します。
ようやく護摩餅を手にした「なまはげ」は
山深く神の元へ帰って行きます。
なお切り分けられた「護摩餅」は、
「なまはげ」から観客に配られます。
この護摩餅には「火難除去」の御利益がある
そうです。
里のなまはげ乱入
これら儀式が終わると、
男鹿市内の各集落の様々な「なまはげ」が
境内に乱入します。
ところで「なまはげ」は、
稲藁で出来た「ケデ」という蓑を着ています。
その「ケデ」から落ちた藁は、
魔除けになる・縁起が良い・病気をしない・
健康になるなどの御利益があると言われるため、
自然に落ちた藁を拾い持って帰る方もいます。
ただ「ケデ」から引っ張り取った藁には
御利益がありませんのでご注意下さい!