「仙台七夕まつり」は、
例年7月7日の月遅れである8月7日を中日として
8月6日から8日の3日間に渡って行われている
伊達政宗公の時代から続く、歴史あるお祭り
です。
由来・歴史
「仙台七夕まつり」は、江戸時代、
仙台藩祖の伊達政宗公が
江戸風の七夕を取り入れて、
婦女子の文化向上を奨励するために
始めたと言われています。
政宗公が、寛永6(1929)年7月7日、
母･保春院 (ほしゅんいん) の七回忌の折に、
「七夕の逢瀬（おうせ) ながらも
暁 (あかつき) の別れはいかに初秋の空」
と歌を詠んでいることから、この時既に
七夕の行事を取り入れていることが
分かります。
6日の夕方、笹竹を飾り姫星と彦星を祀って、
手習や手芸の上達を願う他、
関東･北陸･東北一帯で行われていたように
線香を灯します。
また農家にとって「仙台七夕まつり」は
田の神を迎える行事であり、
田の神の乗馬として藁などで「七夕馬」を作り､
屋根に上げて豊作を祖霊に祈りました。
これは、昔から周期的に襲う冷害、
「天明の飢饉」や「天保の飢饉」という
悲惨な歴史を乗り越えようと、
豊作の保障と保護を田の神に祈ったことが、
七夕まつりを盛んに行ってきた理由と言われています。
そして七夕の笹のついた竹は、
小枝を落として物干竿に使用し、
小枝の方は七夕飾りがついたまま
7日朝（時代によっては8日朝）に、
広瀬川に流して、水を浴びをしたり、
洗い物をしました。
この日のことを「七日浴」（なぬかび）とか
「七日盆」（なぬかぼん）とも言って、
本来は「禊」（みそぎ）をして
お盆に入る準備をする日としました。
しかし明治に入ると、
伊達家の後ろ盾がなくなり衰退していき、
特に明治6(1873)年の新暦採用を境に、
年々行われなくなり、
第1次世界大戦後の不景気や昭和恐慌を
迎えてからは、更に衰微に拍車を掛けました。
そんな中、「仙台七夕まつり」を復活させ、
不景気を吹き飛ばそうと
昭和2(1927)年に仙台商人の有志達が
華やかな「仙台七夕まつり」を開催させると、
街中が歓喜に包まれました。
翌昭和3(1928)年には、
元々、「旧暦」だった開催日を
季節感に合わせるため、
新暦日付の月遅れ、すなわち民俗学上
「中暦」と呼ばれる8月6､7､8日の3日間に渡る
行事に変更。
更に「仙台七夕まつり」を盛んにしようと
仙台商工会議所と仙台協賛会との共同開催で
「飾りつけコンクール」が催されました。
様々な趣向を凝らした「七夕飾り」で
街は混雑ぶりとなったことから、
この年が「仙台七夕まつり」が完全に復活した
記念すべき年とされています。
その後「七夕祭り」は戦争により
一時期中断があったものの
戦後の昭和21(1926)年、まだ世の中は
混乱の状態にあったにも関わらず、復活。
翌22(1927)年8月5日には、 昭和天皇が
東北地方御巡幸で仙台を訪れた際、
「七夕祭り」を一日繰り上げて実施。
陛下は、五彩の笹飾りが揺れる中を
お召自動車は通られ、「実に綺麗であった」と
大変お喜ばれたそうです。
その後も「仙台七夕まつり」は、
年々、豪華さを増して、
今では毎年200万人以上の観光客が訪れる
日本一のスケールを誇る「七夕まつり」に
なったのでした。
見所
「仙台七夕まつり」の見所は、何といっても
巨大で豪華絢爛な「七夕飾り」です。
七つ飾り
仙台では、学問や書道の上達を願う
「短冊」に加えて、
7種類の「七つ飾り」に願いを込め飾ります。
また吹き流しの最上部に「くす玉」という
丸い飾りが付くのも特徴です。
お祭り期間中、仙台市内中心部や
周辺の地域商店街などは、
趣向を凝らした色鮮やかな「七つ飾り」で
埋め尽くされます。
吹き流し
特にずらりと並んだ
5～10ⅿ程の高さの煌びやかな「吹き流し」の
長く垂れ下がる飾りの間を縫って歩くのは、
祭りの楽しみのひとつです。
「吹き流し」の頭に飾られる「くす玉」は、
古くはザルに紙の花を飾り付けていましたが、
昭和21(1946)年頃、仙台商人の森権五郎が、
庭に咲く美しいダリアの花をヒントに
軽い球体の竹籠に折り紙で飾った
「くす玉」を作った所、その美しさから
多くの人がそれを真似るようになりました。
なおこれらの美しい大型「吹き流し」は、今も
地元の人達によって1本1本手作りされたもので､
店舗によっては、「七夕飾り」を店主自らが
デザイン制作しているところもあります。
これらの飾りの内容は当日まで企業秘密で、
8月6日の朝8時頃から飾り付けが行われます。
その後、各商店では七夕飾りの審査が行われ、
6日の午後には、金･銀･銅賞が発表されます。
他の飾り
・くす玉
昭和10(1935)年頃、
遊郭で人々の工夫によって
出現したと考えられています。
現在では七夕飾りのメインとして、
「吹き流し」などと共に飾られます。
・スイカ行灯
家々の飾りつけによく使われていた飾り。
豊作祈願の提灯はスイカの他、茄子などの
野菜を象ったものもあったようです。
・七夕線香
盆行事に連なる七夕の側面のひとつとして、
迎え火の役割を担っていたと考えられます。
吹き流しに一本一本線香をつけるなどして
飾られていましたが、火災の恐れがあるため
現在では基本的に行われていません。
・仕掛物（しかけもの）
明治の頃から、商店街の一部では、
店頭に仕掛物を出して観衆を喜ばせて
いました。
昭和に入ると、動く人形の仕掛物となり、
特に人気のある漫画のキャラクターなどは
子供達を楽しませています。
観覧場所・観覧方法は？
「仙台七夕まつり」は
毎年8月6日から8日にかけて、
JR仙台駅前から中央通り、
一番町通りのアーケード街にかけて
豪華絢爛な七夕飾りが飾られる他、
周辺の地域商店街も昔ながらの笹飾りで
彩られます。
前夜祭「仙台七夕花火祭」
8月5日には、前夜祭として
「仙台七夕花火祭」が開催されます。
開催場所は、「仙台西公園」周辺です。
例年約16000発の華やかな花火を
仙台の街中にいながら見物できることから、
例年多くの人で賑わいます。
