毎年奈良の東大寺では、
3月1日から14日にかけて「修二会」が行われています。
「修二会」は、人々に代わって、仏に罪や穢れを懺悔し、
「天下泰平」「五穀豊穣」「万民快楽」を祈願する仏教行事です。
(旧暦の)2月に修する法会という意味で「修二会」と呼ばれます。
「修二会」は他の寺院でも行われますが、
「お水取り」は東大寺独特のもので、「お松明」で有名です。
「お松明」とは、この期間、毎日「行」(ぎょう)に行く
「連行衆」(れんぎょうしゅう)と呼ばれる修行僧の道を照らす
大きな松明のことです。
この火は穢れを焼き払い、
火の粉を浴びると一年間無病息災で過ごせると言われ、
毎年多くの人が東大寺を訪れます。
「お水取り」は、
二月堂下にある閼伽井屋の中の井戸
「若狭井 」から「お香水」を汲み上げ、
本尊にお供えする儀式です。
「若狭井 」は、若狭国(福井県)の小浜と
水脈が繋がっているという伝承があります。
「お水取り」に先立つ3月2日に、
福井県の神宮寺で「お水送り」の神事が行われ、
巨大な松明で先導して、
神宮寺の井戸から汲み上げた「香水」(こうずい)を
遠敷川(おにゅうがわ)の
「鵜の瀬」(うのせ)と呼ばれる場所に運んだ後、
送り水の神事を行い、水を川に流します。
なお、奈良の薬師寺においても
3月30日から4月5日にかけて
「花会式」(はなえしき)と呼ばれる
「修二会」が行われます。
梅、杜若など十種の増加が本尊に供えられ、
最終日の5日には松明が焚かれ、
節分に由来する「鬼追い式」が行われます。