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コツコツと

盆の月(ぼんのつき)

 
「盆の月」は、「中秋の名月」の一カ月前、
「盂蘭盆会」(うらぼんえ)に当たる
陰暦七月十五日の月を言います。
旧暦の十五日の夜に昇る月ですから「満月」です。
 

 
「お盆の夜」と言えば、全国各地では
様々な特色ある「盆踊り」が行われています。
本来、「盆踊り」は、
お盆に帰ってきた先祖の霊を慰めるための
「霊鎮め」(たましずめ)の行事です。
原型は、死者を供養するために
念仏を唱えながら踊る「念仏踊り」にあります。
平安時代に空也(くうや)が始め、
鎌倉時代に一遍(いっぺん)が諸国遊行(ゆぎょう)して
「踊念仏り」を広めました。
 
 
その「念仏踊り」は、念仏を唱える人と
踊る人に役割が次第に分化し、
更には「盂蘭盆会」と結びついて、
精霊を慰め送り出すための行事になりました。
 
また他の芸能と結び付いたり風流化して
娯楽的な意味合いを持つようになり、
全国各地で様々な特色を持った「盆踊り」が
行われるようになりました。
 
 
江戸時代になると、皆で集まって踊ることで、
地域の結びつきを深めたり、
帰省した人々の再会の場となったり、
男女の出会いの場ともなりました。
 
 
初秋の満月「盆の月」は、
空のあまり高くない場所で輝いています。
そんな「盆の月」の月から届く光は、
頭上から煌々と照らすものではなく、
ほんのりと色づいた
しみじみとした優しい光です。
 
人間達の娯楽としての盆踊りを照らした
明かりとなった後、
あの世への帰り道を照らす明かりとなって、
盆踊りによって送り出された
精霊達を見送る月となります。
 
今「お盆」は新暦や月遅れの行事となったため、
「盆の月」は必ずしも満月の頃ではありません。