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秋の夜/秋の夜長

 
 

秋の夜(あきのよ)

 
「秋の夜」は、特に、空気が澄んで
月明りも清らかな夜のことで、
静かに響く虫の音が聞こえてくると、
秋の寂しさや哀れさが感じられます。
 
秋のしみじみとした「秋の夕暮れ」の後、
「秋の宵」(よい) が訪れ、
やがて「秋の夜」となり、
更に更けていくと「夜半の秋」(よわのあき)
呼ばれます。
 
因みに「秋の夜」(あきのよ)は秋の季語ですが、
「夜の秋」(よるのあき)は夏の季語です。
 
元々は、同じ意味で用いられていたようですが、
「夜の秋」は、現在では夏の終わり頃の、
秋の気配が混じる夜を指す「晩夏」の季語です。
 
「秋の夜」を表す季語は数々あります。
 

秋の夜長(よなが)

秋分」の日が過ぎると、
昼間と夜の長さが逆転して
いよいよ「秋の夜長」に入ります。
 
実際、一年の内で夜が一番長い日は
「冬至」ですが、
冬よりも秋に「夜長」を感じるのは、
夏の「短夜」(みじかよ)の後に訪れるために、
長く感じられることから生まれた
心理的表現です。
 
まだそれほど寒くもないことから、
ゆったりと夜の時間を楽しむには
いい時期です。
 
 
人がリラックス出来る気温は、
20度から25度と言われています。
東日本や西日本では、
ちょうどこの時期の夜の気温と同じです。
 
 
空気が澄み始める秋は、
星空がキレイに見えるので
天体観測には絶好の季節です。
夜景を見に行ったり、
キャンプもいいかもしれません。
 
 
秋はたくさんの食材が旬を迎え、
食べ物がより一層美味しく感じられる
「食欲の秋」ですから、
いつもより凝った料理に挑戦したり、
ゆっくり食事の時間を楽しむのも良いですね。
 
 
虫の声を聞きながら、
ゆっくりお酒を味わうのも、
秋の夜におすすめの過ごし方のひとつです。
 
アロマキャンドルやお香を焚いて
リラックスしながら、
読書を楽しむのもいいですね。
 
 
「秋の夜長」に似た言葉はある?
四季それぞれに、似たような季語があります。
 
日永(ひなが、日長とも)
 春の季語。
 春になって昼間が長く感じられ、
 なかなか日が暮れないこと表しています。
 
短夜(みじかよ)
 夏の季語。
 すぐに明けるように感じられる夜のこと。
 特に夏の夜のことを表しています。

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短日(たんじつ)
 冬の季語。
 冬の昼間が短いことをいう言葉で、
 「夜長」の賞賛と違って、
 どこか時間的にせわしないイメージです。
 

秋の灯、秋の燈、秋燈
(あきのひ、あきともし、しゅうとう)

 
秋の夜に灯す明かりのこと。
秋の夜は長いせいか、空が澄んでいるせいか、
家屋内外の灯火も清明な感じが強いです。
 
明かりを灯して、読書や勉学に勤しんだり、
静かに語らったり、手紙を書いたりするのに
相応しく、いくつもの言葉があります。
 
燈下親しむ
秋の涼しさと夜長は、灯火の下で
読書するのに適しているということです。
由来は、唐の詩人・韓愈(かんゆ)
『符読書城南』(ふどくしょじょうなん)の一節に
よります。
 
時 秋 積 雨 霽
新 涼 入 郊 墟
燈 火 稍 可 親
簡 編 可 卷 舒
 
  時、秋にして積雨(せきう)霽れ(やれ)
  新涼郊墟(しんりょうこうきょ)に入る。
  灯火 稍く(ようやく)親しむ可く、
  簡編巻舒(かんぺんけんじょ)す可し。
 
「秋になると、長雨が終わり、
 涼しくなってくるので、
 蠟燭を灯して書物を広げるのに丁度良い」
という内容です。
 
夜業(よなべ)
「夜に仕事をすること。また、その仕事のこと」の意味として用いられています。
夜業を「よなべ」と読むのは、
「夜に鍋で食材を煮て、食べながら仕事をする」
という意味から来ています。
 
夜学(やがく)
 
様々な年代や職業の人が、
夕刻から一つ灯に集まって学ぶ
定時制の高校や大学などのことを言います。
 
夜、独り学問に勤しむことも
「夜学」と言います。