「かすみはじめてたなびく」
と読みます。
春の山野に春霞が横長に薄くたなびき始める頃と言われています。
「霞」(かすみ)は、遠くの景色が
ぼやけていている現象を言います。
春になり気温が少しずつ上がり始めると、
大地が潤いを帯び、冬の乾燥していた空気にも
少しずつ水分が含まれ浮遊し、
遠くの景色がぼんやりと靄がかったように
見えるのです。
「靆」は、「たなびく」と読んで、
霞や雲が薄く長く層をなして、
横に引くような形で
空に漂う様子を表しており、
「棚引く」とも「棚曳く」とも書かれます。
「霞 」「靄 」「霧 」
気象学的に「霞」(かすみ) は定義はありません。
「靄」(もや)と「霧」(きり)の違いはと言うと、
現象としては「靄」も「霧」も
同じものを指しますが、
視程1km未満の状態を「霧」、
視程1km以上10km未満を「靄」と言います。
つまり、近くのものしか識別出来ない状態
(もやが濃い場合)が「霧」、
遠くまで識別出来る状態
(もやが薄い場合)が「靄」です。
因みに濃い霧のことを「濃霧」と言いますが、
「濃霧」は視程が陸上で100m以下で、
「霧」は海上で500m以下です。
「視程」(してい)
肉眼で物体がはっきりと確認出来る
最大の距離のこと
また俳句などの「季語」では、
「霞」(かすみ)は「春」、
「霧」(きり) は「秋」、
「靄」(もや) は
単独では季語となってはいません。
「霞」が春の季語、「霧」が秋の季語と
なったのは平安時代頃からで、
古くは区別がなく、「霧」も「霞」も
春秋を問わず使われていました。
朧月(おぼろづき)
ぼんやりと霞んだ春の月のことを
「朧月」と言います。
「霞」も「朧」も、どちらも霧のこと。
春の霧を「霞」と呼び、
春の夜の霧を「朧」と呼びます。
佐保姫(さほひめ)
佐保姫は、若々しい春の女神です。
奈良の平城京の東には「佐保山」、
西には「龍田山」があり、
佐保山の佐保姫は春を司り、
龍田山の龍田姫は秋を司ります。
佐保山を取り巻く薄衣のような春霞は、
佐保姫が織り出すものと和歌にも詠われて
います。
PM2.5・黄砂
実は、「霞始靆」の時期に見えるモヤモヤは、
水蒸気の粒々が漂っているだけではなくて、
PM2.5や花粉などが大量に舞っているためでも
あるんです!
<PM2.5予測・黄砂予測>
地域によっては、黄砂がモヤモヤを
大きくしているとされているため、
「霞始靆」の時期には、
それらの対策をしていく必要があります。