うまずたゆまず

コツコツと

七十二候:第5候「霞始靆」(かすみはじめてたなびく)

 
「かすみはじめてたなびく」
と読みます。
春の山野に、春霞 (はるがすみ)
横長に薄くたなびき始める頃と言われて
います。
 
 

「霞」(かすみ)とは


「霞」(かすみ)は、
遠くの景色がかすんで見える現象を言います。
 
春になり気温が少しずつ上がり始めると、
大地が潤いを帯び、冬の乾燥していた空気にも
少しずつ水分が含まれ浮遊するため、
遠くの景色がぼんやりと靄 (もや) がかったように
見えるのです。
 
なお「霞」(かすみ) は、
気象庁の予報用語に定義がされていないので
気象予報などに用いられていませんが、
日常的には、大気中に浮かぶ
微細な水滴や微小粒子などにより
遠くがはっきり見えない現象の他、
視力が衰えて物がぼんやりと見える時、
衣類等が日に焼けて変色する時などに
用いられている言葉です。
 

「靆」・・・?

「雲」+「逮」(二点之繞) で「靆」
漢字検定1級の漢字です。
部首は「雨」、画数は24画、
読み方は音読みで「タイ/ダイ」と読みます。
 
「霞始靆」の「靆」は、
「たなびく」と読んで、
雲や霞 (かすみ) が薄く長く層を成して、
横に引くような形で空に漂う様を表し、
「棚引く」とも「棚曳く」とも書かれます。
 

かすみ」「もや」「きり」の違い

気象庁の予報用語
上記にも記した通り、
「霞」(かすみ) は気象庁の予報用語では
用いられません。
 
それでは「靄」(もや) や「霧」(きり) の違いは
どうかと言うと、
現象としては同じものを指します。
 
気象庁の予報用語では、
「霧」(きり)は
視程が1km未満の状態を指すのに対して、
「靄」(もや)は
視程が1km以上10km未満となっている
状態を指します。
「視程」(してい)
肉眼で物体がはっきりと確認出来る
最大の距離のこと
 
つまり、
近くのものしか識別出来ない状態
もやが濃い場合)が「霧」(きり)、
遠くまで識別出来る状態
もやが薄い場合)が「靄」(もや) です。
 
俳句の季語
俳句などの「季語」では、
「霞」(かすみ)は「春」、
「霧」(きり) は「秋」、
「靄」(もや) 
単独では季語となってはいません。
 
「霞」が春の季語、「霧」が秋の季語と
なったのは平安時代頃からで、
古くは区別がなく、「霧」も「霞」も
春秋を問わず使われていました。
 

朧月(おぼろづき)

f:id:linderabella:20201031072406j:plain

ぼんやりと霞んだ春の月のことを
「朧月」と言います。
「霞」も「朧」も、どちらも霧のこと。
春の霧を「霞」と呼び、
春の夜の霧を「朧」と呼びます。
 

佐保姫(さほひめ)

佐保姫は、若々しい春の女神です。
奈良の平城京の東には「佐保山」、
西には「龍田山」があり、
佐保山の佐保姫は春を司り、
龍田山の龍田姫は秋を司ります。
佐保山を取り巻く薄衣のような春霞は、
佐保姫が織り出すものと和歌にも詠われて
います。
 

linderabella.hatenadiary.com

 

PM2.5・黄砂

実は、「霞始靆」の時期に見えるモヤモヤは、
水蒸気の粒々が漂っているだけではなくて、
PM2.5や花粉などが大量に舞っているためでも
あるんです!
 
<PM2.5予測・黄砂予測>

sprintars.riam.kyushu-u.ac.jp

 
地域によっては、黄砂がモヤモヤを
大きくしているとされているため、
「霞始靆」の時期には、
それらの対策をしていく必要があります。
 

f:id:linderabella:20201227114524j:plain