「きたかぜこのはをはらう」
と読みます。
冷たい北風が木の葉を散らす頃となりました。
「朔風」とは、「北風」のことです。
「朔」という字は、元々「はじめ」とか
「元へ帰る」という意味でしたが、
十二支を方角に当てると、
「子」(ね) の方角は「北」となり、
「子」(ね)は干支の最初に位することから、
やがて「朔」は「北」を指すようになりました。
このことから、「朔風払葉」は
北風の季節になったことを示すものと言えます。
日本海を渡る時に水分を含んだ北風は、
山地にぶつかり日本海側に多くの雪を
降らせます。
その後、山を越えて太平洋側、
特に関東平野に吹き下ろすには
「空っ風」(からっかぜ)と呼ばれる
乾燥した冷たい風を吹かせます。
群馬県に吹く「赤城おろし」は特に有名です。
「かかあ天下とからっ風」
(「女性が働き者であること」と
「からっ風が吹くこと」が群馬名物)
などという言葉もあります。
日本の冬は、西に高気圧があり、
東に低気圧がある状態が多く、
これを「西高東低の気圧配置」と言います。
ロシアのシベリア上空で発達した高気圧から
太平洋の低気圧に向けて季節風が吹きます。
季節風は日本海上空を通過する時に、
海から蒸発した大量の水蒸気を吸収し、
日本の山脈にぶつかって日本海側に
雪を降らせます。
日本海側で雪を降らせたことで
水分が無くなって乾燥した冷たい季節風が、
太平洋側へ吹き降ろしてきます。
これが「空っ風」の正体です。
ところで、同じような気象現象で
「木枯らし」というものがあります。
「木枯らし」は、
秋から冬に移り変わる時期に吹く
北寄りの冷たく乾燥した
最大風速毎秒約8m以上の強い風のことで、
日本各地で吹くものです。
一方、「空っ風」は、冬から春先にかけて
山を超えて関東地方に吹く冷たく乾燥した
強い風のことを言います。