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10月4日に石破新総理が行うのは「施政方針演説」?「所信表明演説」?

 

10月1日、「第214回 臨時国会」が召集され、
衆参両院で首班指名選挙により、
第102代 内閣総理大臣に
石破 茂 自民党総裁が選出されました。
 
 
そして10月4日には、
両議院の議員が参議院の議場に集まり、
天皇陛下をお迎えして「開会式」が行われ、
衆議院議長が両議院を代表して式辞を述べ、
天皇陛下からおことばを賜ります。
「開会式」は、
「常会」「臨時会」では召集日から数日以内に、
「特別会」では新内閣の組閣が完了した後に、
行われるのが通例になっています。
 
開会式の後には、石破内閣総理大臣により
自らの政治姿勢や重点課題を明らかにする
「所信表明演説」が行われます。
 
石破内閣総理大臣の「所信表明演説」に対して、
来週7日には本会議を開催して
各会派が質問する機会が設けられます。
これが「代表質問」です。
 
 
「施政方針演説」「所信表明演説」
それに対する「代表質問」は、
憲法や国会関連法規上の
明確な規定がある訳ではなく、
慣例によるものとして行われてきました。
また、「政府演説」や「代表質問」は
慣例的に衆議院から先に行われています。
 
なお、「第214回 臨時国会」の会期は
10月9日までの9日間です。
 
ところで、内閣総理大臣による
「施政方針演説」とか「所信表明演説」とか
名称が違いますが、この2つの演説には
どんな違いがあるのでしょうか。
 
 
 

国会の種類と会期

国会の召集は、内閣が決定し、
召集詔書の公布により行われます。
 
ところで日本の国会には、
「常会 (通常国会)」
「臨時会(臨時国会)」
「特別会(特別国会)」の3種類があります。
他に「参議院の緊急集会」があり、
便宜的に「参議院の緊急集会」も含め、
国会には4種類あると説明されている場合も
あります。
 
常会(通常国会)
憲法第52条に、毎年一回必ず召集することになっているのが「常会(通常国会)」です。
1月中に召集され、会期は150日間が常例です。
両議院の一致した議決により
1回だけ会期を延長することが出来ます。
審議される重要なテーマは、
何といっても新年度の「予算」です。
予算と予算関連法案が成立すると、
次はその時々の政治テーマや重要法案の審議に
移ります。
 
「常会(通常国会)」の冒頭に、
衆参両院の本会議で、内閣総理大臣が
その年の内閣全体の基本方針を表明する演説を
「施政方針演説」と言います。
 
但し、「常会(通常国会)」でも、
首相が交代した場合に行われるのは
「所信表明演説」です。
 
なお通常国会ではこの他にも、
外務大臣の「外交演説」、
財務大臣の「財政演説」、
経済財政政策担当大臣の「経済演説」も
行われるのが通例となっていて、
内閣総理大臣の「施政方針演説」と合わせて
「政府4演説」と呼ばれます。
 
これらの演説に対し、
各会派を代表する議員から質疑が行われ、
内閣総理大臣を始め各大臣の答弁があります。
 
臨時会(臨時国会)
憲法第53条では
「内閣は、国会の臨時会の召集を
決定することができる」としています。
開催するための要件は「憲法」や「国会法」で定められています。
1. 内閣の必要に基づく場合(憲法53条)
2. 衆参いずれかの議院の総議員の1/4以上の
 要求があった場合(憲法53条)
3. 任期満了による衆議院選、
 もしくは参議院選の後(国会法2条)
 
「臨時」とついてはいますが、
慣例的に毎年秋に召集されることが多く、
補正予算や外交といった、
国政において緊急を要する議事を審議します。
また会期は、両議院の一致した議決により
決められ、2回まで延長することが出来ます。
 
「臨時会(臨時国会)」においては、
内閣総理大臣により内閣の基本方針を
表明する演説が「所信表明演説」
行われるのが通例となっています。
ただ、衆議院が冒頭解散されるケースでは、
「所信表明演説」などを行わずに
1日で終わる場合もあります。
 
特別会(特別国会)
憲法第54条、国会法第1条によると、
「特別会(特別国会)」とは、
解散による衆議院総選挙の後に召集される、
内閣総理大臣の指名が行われる重要な国会です。
延長出来る回数は2回までと決まっています。
 
なお「特別会(特別国会)」において
内閣総理大臣により行われる演説は
「臨時会(臨時国会)」同様に、
「所信表明演説」が行われるのが通例です。
 

政府演説の初めて

こうした政府の国会演説自体は、
明治憲法時代に存在した
帝国議会から行われることが慣例化しており、
明治23(1890)年の「第1回帝国議会」から
行われています。
明治23(1890)年12月6日の衆議院本会議の席上、
第3代総理の山縣有朋が「施政表明演説」を、
大蔵大臣の松方正義が「財政演説」を
行いました。
 
また衆議院事務局議事課によると、
最初に行われた「所信表明演説」は、
昭和28(1953)年11月30日に召集された
臨時国会での吉田茂首相によるものです。
それまでは首相の演説は全て
「施政表明演説」と呼ばれていたそうです。
 
「施政表明演説」「所信表明演説」
使い分けが定着したのは、
昭和30年代後半から40年代前半のようです。
あくまでも慣例的なもので、
特に法律で定められてはいないそうです。
 

まとめ

「施政表明演説」「所信表明演説」の違いは、開かれた国会の種類によります。
「施政表明演説」は、
内閣総理大臣が毎年1月に召集される
「常会(通常国会)」で行う演説で、
その年の内閣全体の基本方針を示すもの。
 
一方「所信表明演説」は、
「臨時国会(臨時会)」の冒頭や、
首相が選出される特別国会(特別会)で
行われる演説で、内閣の基本方針を示します。
種類 召集 会期
常 会 毎年1回、1月中 150日間
(延長1回迄)
臨時会 1. 内閣の必要に基づく
 場合
2. いずれかの議院の
 総議員の1/4以上の要求
3 .衆議院議員の任期満了
 による総選挙、
 参議院議員の通常選挙後
両議院一致の
議決による
(延長2回迄)
特別会 衆議院の解散による
総選挙後