「きりはじめてはなをむすぶ」と読み、
桐の花が実を結び始める季節を表しています。
「桐」は初夏に薄紫色の花を咲かせ、
盛夏を迎える今頃、卵形の実を結びます。
「花」を結ぶ? 「実」を結ぶ?
どちらなのでしょうか?
桐は、夏の土用の頃には、
何と翌年の春に咲く花の蕾を既につけています。
とび色の柔毛に覆われ丸い蕾です。
その蕾は、
夏・秋・冬と長い期間をかけて、徐々に成長していきます。
ですから、「花を結ぶ」とは、
字義通り、結ばれた花=蕾のことなのです。
そして桜が散り終わった5~6月頃に、
薄紫色をした釣鐘状の花を、枝先に房のようにたくさん咲かせます。
しかし、この美しい花は、まっすぐ伸びた幹の遥か上、
横に大きく張った枝に上向きに咲くために、
ほとんどの通行人は、
上空高くに桐の花が咲いていることすら気がつきません。
咲いている姿を見ることは少なく、
地に落ちた花で知ることが多いようです。
という訳で、花言葉は「高尚」(こうしょう)です。
桐は鳳凰の止まる木として古代Chinaで神聖視されていたことから、
日本でも嵯峨天皇の頃から、天皇の衣類の文様に用いられるなど、
皇室では、「菊紋章」に次ぐ格式のある紋とされました。
当初は「菊紋章」とともに皇室専用の家紋でしたが、
後に皇室以外の戦国大名などの諸侯も用いるようになり、
皇室では専ら「菊紋章」のみを用いるようになりました。
皇室の桐は「五七の桐」、
明治神宮は「五三の桐」です。
室町幕府以後は、武家が望んだ家紋とされ、
足利尊氏や豊臣秀吉などもこれを天皇から賜ったため、
五七桐は「政権担当者の紋章」という認識が
定着することになりました。
現在では、内閣総理大臣、日本国政府、内閣府が
「五七桐花紋」を
政府の紋章として使用しています。
菊紋と共に、
賞杯や、官邸の備品、総理の演台に取付けられる
プレートに使われています。
現在の五百円硬貨の表にも桐がデザインされています。