「きりはじめてはなをむすぶ」
と読みます。
七十二候が「大暑」の初候に変わり、
桐の花が実を結び始める頃になりました。
「桐」は、初夏に薄紫色の花を咲かせ、
盛夏を迎える頃、うぶ毛に覆われ柔らかそうな黄色い卵形で茶色の実を付けます。
「花」を結ぶ? 「実」を結ぶ?
一体、どちらなのでしょうか?
桐の花が咲く時期は5月の下旬頃です。
夏には翌年のために蕾をつけます。
桐の花は約10ヶ月も前に蕾をつけ、
秋、冬、春を越して
また初夏になったら花を咲かせるのです。
「花を結ぶ」とは、字義通り、
結ばれた花=蕾のことなのです。
そして前年に実った卵型の桐の実も
落ちずに枝に残っているため、
同じ木の枝に、蕾や花、実を同時に見ることが
出来ます。

桐の花は、桜が散り終わった5~6月頃に、
薄紫色をした釣鐘状の花を、
枝先に房のようにたくさん咲かせます。
ただ、桐の花はその高い梢に咲くので、
地上からは花が咲いていることには、
全く気がつきません。
花が地に落ちて、やっと知るのです。
桐の花言葉は「高尚」(こうしょう)です。
英語では
「Empress tree」 (女帝/皇后の木)
「Foxglove tree」(狐の手袋の木)
「Princess tree」 (王女の木)と呼ばれます。

「桐」は鳳凰の止まる木として
古代Chinaで神聖視されていたことから、
日本でも嵯峨天皇の頃から、
「桐紋」は天皇の衣類の文様に用いるなど、
「菊紋章」に次ぐ格式のある紋とされました。

当初は「菊紋章」とともに
皇室専用の家紋でしたが、後に皇室以外の
戦国大名などの諸侯も用いるようになり、
皇室では専ら「菊紋章」のみを用いるように
なりました。
皇室の桐は「五七の桐」、
明治神宮は「五三の桐」です。
室町幕府以後は、武家が望んだ家紋とされ、
足利尊氏や豊臣秀吉なども
この紋を天皇から賜ったため、
五七桐は「政権担当者の紋章」という認識が
定着することになりました。
現在では、内閣総理大臣、日本国政府、
内閣府が「五七桐花紋」を
「政府の紋章」として使用しています。
「菊紋」と共に、賞杯や、官邸の備品、
総理の演台に取付けられるプレートに
使われています。
現在の五百円硬貨の表にも
桐がデザインされています。