
梅干雷干
(うめぼし かみなりぼし)
幕末の江戸の年中行事や庶民の暮らしを記した
『江戸府内絵本風俗往来』に、
「梅干雷干」と題された
「夏の土用」の頃に行われた恒例の作業が
描かれています。
屋上より物干し台、さては窓下、
店の片脇など梅干を晒さぬ家はなく、
これと同じく雷干 とて、
白瓜を切って一塩 にして干す。
味わい極 めて美なり。
これまた此所彼所 に干したるが見ゆ。
赤きは梅干、白きは雷干、
夏の炎天に限れるなり。
「雷干」(かみなりぼし)とは
現在も「梅の土用干し」は
よく知られていますが、
「雷干」(かみなりぼし) とは
どのようなものなのでしょうか。
「白瓜」(しろうり) の種を抜いて
螺旋状に繋がるように切り、
塩に漬けて日に干したものです。
白瓜(しろうり)

「白瓜」(しろうり) はウリ科の一種で、
夏を代表する野菜のひとつです。
完熟すると皮の色が白っぽくなるため
「白瓜」と言います。
平安時代から使われている食材で、
京都産の白瓜は「桂瓜」(かつらうり) と呼ばれ、
古くから「奈良漬」の最高級原料として
重宝されています。
種の部分をくり抜いた果肉部分を使います。
シャキシャキとした食感が特徴で、
生のまま食べてもいいのですが、
味わいが淡白なため、
浅漬けや甘酢漬け、ぬか漬けなど、
漬物として調理されることが多いです。
また、加熱するとやわらかくなることから、
炒め物や煮物などにも利用されています。
「雷干」の名前の由来
「雷干」の名前の由来は、
1.螺旋の形状が
雷神の持っている太鼓に似ているから
2.食感が「バリバリ」と
雷のような音がするから
3.雷の多い時期に作るから
と言われています。
「雷干」の作り方
『家の光』2025年5月号 (創刊100周年記念号) の
別冊付録『いま、よみがえる『家の光』
台所の知恵ベストセレクション』には
昭和3(1928)年6月号に掲載された
「雷干」のレシピが掲載されています。
白売りの両端を切り落とし、中身をくりぬいて、
その中へ棒をつき込み、小口からクルクル廻し
乍ら切り、その上へ鹽を振りかけて、
しばらく置くと軟らかくなりますから、括つて、
日當りのいいところに釣るして乾かします。
生乾きのうちに、三杯酢か、醤油につけて
食べます。
<作り方>
1.瓜に上下を切り落とし、種を抜いて、
皮のままらせん状に切る。
2.立塩(水1カップに塩大さじ1杯)に
しばらく漬けてザルに取り、水気をふく。
3.瓜の端に串を通して
串の両端にひもを付けて吊るし、
軒下で一日干す。
現在はザルに入れて一日陰干しするか、
冷蔵庫に入れて表面を乾かしてもいい。
4.一口大にちぎって
削り節と少々の醤油をかけて
おかずに、茶事の八寸の山のものに、
朝茶事の香物などに用います。
「雷干し」の味わい
干し上がった「雷干し」は、
水でさっと洗って一口大にちぎるか切り分けたら
削り節と醤油をかけたり、
三杯酢で和えたりして食べます。
干すことで
野菜独特の青臭さや水っぽさが抜け、
「カリポリ」「コリッ」とした
非常に歯応えの良い食感になります。
水分が抜けて
味が染み込みやすくなっているため、
淡白な瓜そのものの味に、
味付けする調味料(醤油・味醂・甘酢など)が
しっかりと染み込みます。
かつお節や、すだちを絞ってかけると
更に爽やかな風味になります。
夏のさっぱりとした
ご飯のお供として楽しむのは勿論、
酒の肴にピッタリです。