私達、日本人の祖先は、
「桜」を眺めて楽しむだけでなく、
花や葉を食べ物にして味わう知恵も
生み出しました。
花も葉も、生ではほとんど香りがしませんが、
塩漬づけにすると「クマリン」という
独特の香りが生まれます。
「桜の葉」の塩漬け

使っている「桜」の種類

主に「大島桜」(おおしまざくら) の桜の葉を、
塩と白梅酢 (しろうめず) などで漬けたものです。
白梅酢
梅干しを漬けた時に最初にに出るエキス
なおその全国生産量の約70%を担っているのが
静岡県賀茂郡松崎町です。

www.town.matsuzaki.shizuoka.jp
桜餅(さくらもち)
「桜餅」とは、
小麦粉やもち米から作られた生地で
小豆あんをくるみ、塩漬けした桜の葉で
包んだ和菓子です。
鮮やかでキレイな桜色でいい香りのする、
春の季節には欠かせない和菓子ですね。
「桜の花」の塩漬け
使っている「桜」の種類

「桜の花」の塩漬けに使われるのは、
濃いピンク色で香りの良い七分咲きの
「八重桜」(やえざくら) です。
中でも特に花びらが多い
「普賢象」(ふげんぞう) とか
「関山」(かんざん/せきやま) という品種が
向いているようです。


花を軸ごと摘み採って、
塩と白梅酢で漬け込んで作ります。
塩抜きせずに、軽く塩を洗い落として
使うこともできます。
料理やおやつに使う際には、
塩抜きが必要なことも多いです。
塩抜きは、使う前に10~20分程度
水に浸せばOKです。
あんぱん
4月4日は「あんぱんの日」です。
明治8(1875)年4月4日、
明治天皇・皇后両陛下が
東京の向島にある水戸藩の下屋敷で
「お花見」をされた際に、
木村屋のあんぱんが出されたことから
制定された記念日です。
木村屋は、注文を受けた際、
日本を象徴する国花で、
季節感を表現できる「桜」に目を向け、
奈良の吉野山の八重桜の花の塩漬けを取り寄せ、
あんぱんに埋め込んでみました。
酒種のパン生地と餡の甘味に
この桜の塩漬けが絶妙だったことから、
自信を持って献上したそうです。
桜湯(さくらゆ)
お湯の中でピンク色の花びらが開く
縁起の良さから、
おめでたい婚礼などの席で
振舞われることの多い「桜湯/桜茶」。
桜の香りが立ち上り、和の風情を感じます。
なお、おめでたい席で桜茶が出された時には、
桜の花は食べないのがマナーで、
懐紙などに包んで持ち帰るのが理想的です。
勿論、自宅で楽しむ時は自由です。
桜飯(さくらめし)

桜の塩漬けを刻んで、
おにぎりやいなり寿司などにトッピングしたり
刻んで混ぜると春の風味がより感じられます。
お祝いの席やお花見弁当に華を添えてくれます。
「桜」が付いた食べ物
桜鯛(さくらだい)

春の風物詩のひとつである「桜鯛」は、
実はスズキ目タイ科の「真鯛」のことです。
「真鯛」の”旬”は春と秋で、
春は「桜鯛」、秋は「紅葉鯛」と呼ばれます
春の「真鯛」は、雄も雌も関係なく
桜に似た淡いピンク色に変わり、
鮮やかに輝いて見えることから、
「桜鯛」と呼ばれています。
サクラダイ

カタカナ表記の「サクラダイ」は、
スズキ目ハタ科で「真鯛」とは別種の魚です。
体表はオレンジ色で、
美しい見た目をしていることから、
釣り人には人気があるものの、
練り製品の原料以外に、食用として
流通することはほとんどありません。
桜鱒(さくらます)

漁獲量が少なく、小売店に現れることは稀。
「富山のますずし」が有名です。

桜が咲く頃に水揚げされることから
「サクラマス」という名前がついたと言われる
春を代表する魚の1つとされています。
桜鰔(さくらうぐい)
ウグイはコイ科の硬骨魚です。
春の産卵期に赤々と婚姻色が表れるので
「桜うぐい」あるいは「あかはら」と
呼ばれます。
田楽、塩焼き、甘露煮で食します。
桜えび

体長40mm前後の小さなえびで、
日本では唯一、駿河湾で水揚げされ、
4月~5月までと11月~12月までしか
漁が行われない貴重なえびです。
栄養豊富で風味豊かな食材です。
海中では透明ですが、
水揚げされるとピンク色になることから
「桜えび」と名付けられました。
桜でんぶ

鯛や鱈といった白身魚の身をほぐして
醤油、味醂、砂糖などで調味し、
水分がなくなるまで炒りつけ、
食紅で薄く色をつけたもの。
桜肉(馬肉)

「馬肉」は「桜肉」と呼ばれることがあります。
その由来には諸説あります。
・獣肉を食べることが禁忌とされていた時代、
「桜」という隠語を使っていた
・生の馬肉は赤に近い色をしていますが、
煮込んだり茹でたりすると桜色になるから
という説、
・冬、馬は沢山の餌を食べて越し、
桜の時期には脂が乗って美味しくなった
という説です。
・千葉の佐倉には、古くから馬の牧場があり、
江戸時代、多くの馬が放牧されていました。
江戸に近いこともあり、馬と言えば
「さくら(佐倉)」と言われるようになった説
・明治に入り、「牛鍋」が人気を集めると、
安価な馬肉を牛肉と偽って出す店も出現し、
馬肉が牛肉のサクラに使われたというところ
から来たという説
さくらみそ

麦と大豆を合わせて作った麹に、塩や
塩漬けして刻んだ瓜・茄子・生姜などを混ぜて、
醸造させて味噌にし、
水あめやハチミツなどを大量に加えたもの。
「桜」が付いた料理
春が近づくにつれ、
名前に「桜(さくら)」が入った料理が増えます。
桜の「ピンク色」と「桜の香り」が
春らしさを演出してくれるためです。
桜漬け(さくらづけ)

桜の花を塩漬けにしたものを
「桜漬け」と言います。
また薄切りの大根を梅漬けの紫蘇で
ほんのり桜色に染めた漬物も
「桜漬け」と言います。
桜鍋(さくらなべ)

「桜鍋」は「馬肉」を用いた鍋のことです。
甘めの味噌ベースのたれで煮込むことで、
ニオイが消え、すき焼きを彷彿とさせる
豊かな味わいの鍋料理になってます。
桜煮(さくらに)

「桜煮」とは、蛸 (たこ) を
醤油や砂糖を入れただし汁で煮含めたもので、
桜色に仕上げることからこの名前があります。
桜飯(さくらめし)

桜の塩漬けをご飯と混ぜ合わせたものも
「桜飯」ですが、
蛸 (たこ) の足をぶつ切りまたは薄い輪切りにして
酒、醤油で炊き込んだご飯も、
その色合いから「桜飯」とも言います。
蛸は「多幸」など、縁起の良い食材なので、
卒業や入学、進級、結婚などの
お祝いの食事にもよく出されます。