更衣(こうい)
「衣替え」の歴史は、平安時代頃まで遡ります。
その頃は「衣替え」を「更衣」と呼んでいました。
古代Chinaの慣行に倣って、
宮廷では、旧暦の4月1日と10月1日に
「夏服」と「冬服」を切り替えていました。
江戸時代に入ると、
「更衣」は年4回にすることと定められました。
まず旧暦4月1日に、
それまで着ていた「綿入」(わたいれ)から「綿貫」(わたぬき)といって、
着物に裏地を付けた「袷」(あわせ)に衣替えします。
次に5月5日から8月晦日まで、
裏地のない麻の「帷子」(かたびら)に着替えます。
そして9月1日から8日まではまた「袷」(あわせ)を着て、
最後は、9月9日に「綿入」(わたいれ)に着替え、
翌年の4月の更衣の前日に当たる3月晦日まで過ごしました。
綿入(わたいれ)
表地と裏地の間に綿を入れた着物
白重(しろがさね)
旧暦4月1日の更衣後の寒い日には、小袖を重ねて着ました。
白い生絹(きぎぬ)の薄い小袖だったので、
「白重」(しろがさね)と呼ばれました。
夏衣(なつごろも)
旧暦5月5日の「端午の節句」には、
袷(あわせ)から単衣(ひとえ)に更衣する習わしがありました。
麻や苧麻で仕立てられた
夏用の涼しい単衣を「帷子」(かたびら)と言います。
また、「絽」(ろ)や「紗」(しゃ)などの軽やかに透ける薄絹や、
「上布」(じょうふ)など上質な細い麻糸で平織りした単衣を
「羅」(うすもの)と言います。