「二日灸」は、
「ふつかきゅう」とか「ふつかやいと」と読み、灸は「お灸」のことです。
旧暦の「2月2日」「8月2日」にお灸を据えると、
通常の何倍も効果が期待出来、
無病息災で暮らすことがされる日のことです。
「病気や災難に遭わずに
無病息災でその年を暮らせる」とか、
「長寿になる」などとも言われています。
全国的な風習で、近隣の名灸師を訪ねたり、
家庭内で灸をすえ合ったりします。
旧暦の2月2日に行う「二日灸」は、
二月の別名でもある如月を用いて、
「如月灸」(きさらぎきゅう・きさらぎやいと)とか、
「春の灸」とも言います。
新暦の大体三月中頃に当たります。
令和6(2024)年は3月11日です。
この頃は冬から春への季節の変わり目で
体調を崩しやすく、
地方ではそろそろ田植えなどの
農作業が始まり忙しくなる時期です。
一方、旧暦8月2日に行う「二日灸」は、
「後の二日灸」とか「秋の灸」とも言います。
新暦の8月後半から9月前半に当たり、
令和6(2024)年は9月4日です。
この頃は、農作業では収穫の時期なので、
やはり忙しくなる時期です。
このような時期に体の調子を整えるため、
習慣としてお灸をすえると良いと
考えられたのではと言われています。
江戸時代の儒学者・貝原益軒も
その著書『養生訓』の中で、
脾胃(胃腸)が弱く、食が滞りやすい人は
毎年二月八月に灸をするとよい
と記しています。
「お灸」(おきゅう・やいと) とは、
「蓬」 (よもぎ) の葉の裏の綿毛 (毛茸と腺毛) を
精製した「艾」(もぐさ) を
ツボの上で燃やして温熱刺激を与える、
東洋医学のひとつです。
お灸をすることで、
血流の改善や痛みの軽減、
様々な身体の不調の改善・緩和、
免疫アップや代謝機能の向上に効果があり、
昔から諸症状の緩和に使われてきました。
お灸の起源は、2000年前の古代Chinaまで遡り、
日本には飛鳥時代に伝わったとされ、
以来民間療法として広く浸透し、
江戸時代には各地でお灸がブームになりました。
松尾芭蕉の「奥の細道」の序文にも、
「月日は百代の過客にして・・・
三里に“灸”すゆるより、松島の・・・」と
詠まれています。
「三里」(さんり) とは、
膝の関節の10cm程下外側にあるツボで、
ここに灸をすえると健脚になると言われ、
当時は「足三里」にお灸をして旅をすることが
一般的だったようです。
「お灸」と言えば、
「熱い、火傷」というイメージがありますが、
それはその昔は、強い熱刺激で意図的に
火傷を作ることで治療を施したからです。
現在は、「艾」を台座などの上で燃やすため、
お灸痕が残らず、ジワジワと心地良い温かさで、
心身ともにリラックス出来る治療法が主流です。
最近では、火を使わないお灸や
煙の出ないお灸などもありますので、
今年はお灸にチャレンジしてみるのも
いいのではないでしょうか。
初めてお灸をする方は、お灸サロンや鍼灸院で
きゅう師から施術を受けるのがおススメです。
また、糖尿病で血行障害のある方や
持病がある場合には、
医師に相談してからお灸を始めて下さい。