「冬至粥」(とうじがゆ)とは、
冬至に食べる「小豆粥」のことです。
小正月に食べる「小豆粥」と紛らわしいので、
「冬至粥」と呼んで区別しています。
冬至は「日短きこと至る(極まる)」を意味し、
一年のうち昼が最も短くなります。
そのため古代人達は、
冬至の前後になると太陽の力が弱まり、
人間の魂も一時的に仮死し、
太陽の帰り来る「一陽来復」によって
再び蘇ると考えました。
「冬至粥」(とうじがゆ)のルーツは、
古代の最も大切な行事であった
「新穀感謝の祭」に由来しています。
古代人は、稲の穂を摘むことによって
稲魂(いなだま)が一旦死ぬと考えました。
そして冬至に復活することを促すために
その新穀を臼に入れて、
八乙女(やおとめ)が復活の唄「稲舂歌」(いねつきうた)
を歌いながら搗きました。
そしてこの新穀を火を新しくした竈で炊き上げ、
出来た「固粥」(かたがゆ)と、
同じ米で醸した「御神酒」(おみき)を供えて、
それらを神と共に飲んだり食べたりすることが
祭そのものでした。
「新嘗祭」の行われる11月23日は、
旧暦では、1年で最も日の光が弱まる
「冬至」に近い日取りで、
更に「新嘗祭」が行われる午後10時は、
最も太陽の衰える時刻でした。
また古くから小豆の鮮やかな赤色には
邪気を払う力があると言われており、
冬至の日に小豆の入ったお粥を食べることで、邪気を払い、翌日から良い運を呼び込むという意味があるのです。