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「寒気」と「寒波」

冬になると、天気予報やニュースに
「寒気」(かんき)や「寒波」(かんぱ)という言葉が、
頻繁に出てきます。
 
 

令和5年11月18日のニュース

11月18日、西日本を中心に強い寒気が入り、
福岡で11月としては10年ぶりに「初雪」を
観測したというニュースが流れました。
 

「寒気」と「寒波」

例年12月から2月にかけて、
「寒気」が南下して、
大雪や冷え込みに関するニュースを
目にすることが多くなります。
 
 
北極圏やシベリアに発生した寒冷な空気が
日本付近に南下すると、急激に気温が下がり、
厳しい寒さをもたらします。
 

 
寒気の南下には、「北極域の気圧」と
日本を含む「中緯度域の気圧」との関係が
大きく影響しています。
 
これを「北極振動」と言い、
「北極付近の気圧」が平年よりも高い時には、
「中緯度の気圧」は平年よりも低くなり、
北極付近に蓄積された寒気が
中緯度に流れ込みやすくなり、
日本を含む中緯度帯では低温傾向になります。
 
これとは逆に、
「北極付近の気圧」が平年よりも低い時には、
「中緯度の気圧」は平年よりも高くなり、
北極付近からの寒気は
中緯度に流れ込みにくくなるため、
日本を含む中緯度帯では高温傾向になります。
 
 
波のように周期的に押し寄せるので
「寒波」と言われます。
強い「寒波」が到来すると、
日本海側は暴風や高波、積雪や低温に伴い、
様々な交通障害が起きたりしますが、
太平洋側はカラリと晴れていることが
多いです。
 

 

気象用語の「寒気」と「寒波」

「寒気」と「寒波」は
次のように解説されています。
 

www.jma.go.jp

 
【気象用語】「寒気」とは
気象庁の予報用語では、
「寒気」とは、
「周りの空気に比べて低温な空気」
とされています。
 

 
「寒気」には2種類あります。
ひとつは「寒気」が流れ込むことにより、
上層の寒気によって
下層との温度差が大きくなるため、
大気の対流活動が強まり、
気温が下がったり大気の状態が不安定になり、
強雨や雷、時には竜巻などの激しい突風や
降雹といった局地的な現象をもたらします。
この場合の「寒気」は、季節を問わず、
予報では年間を通して用いられます。

 
もう一つは、冬型の気圧配置に伴い、
シベリア方面の高気圧が張り出し、
強い寒気が南下して、
大気の上層から下層にかけて
全体的に気温が低下し、
更に数日間、広範囲に低温や大雪をもたらす
「寒波」の到来のことを意味します。
 
なお、日本付近における
「上層」とは上空5500m付近を指し、
「下層」とは上空1500m付近を指すことが多く、
「上空5500m付近に
 -30℃以下の寒気が流れ込み、
 上空1500m 付近では-9℃以下となり、
 真冬並みの寒気」などと言われます。
 
気象用語の「寒波」とは
「寒波」とは、主に冬期において、
高緯度地域にある
非常に冷たい「寒気」が南下し、
中緯度地域の広範囲に
2~3日またはそれ以上の期間、
平常より著しく気温の低い状態を
もたらすような「寒気」が到来することを
言います。
 
なお北半球では、北緯40度付近を流れる
偏西風(寒帯ジェット気流)が
南北に蛇行すると、
「寒波」の要因となる「寒気」が
北から南下しやすくなります。
 
「寒気」と「寒波」の違い
「寒気」は寒さの程度のことを表すため、
一時的なものです。
一方、「寒波」は
長く続くものを指すことが多いです。
そのため、「寒波」が襲来すると
大雪や吹雪などをもたらし、
事故のリスクや交通機関の乱れ、
停電、水道管の凍結など、
日常生活に大きな影響を与えることがあります。
 

 

令和5(2023)年度の冬の予報

過去3シーズンの冬は、
「ラニーニャ現象」の影響を受けて
各地で厳しい寒さや大雪に見舞われました。
 
今季、令和5年度(2023~24年)の冬は、
「エルニーニョ現象」の影響を受けて、
暖冬傾向の見込みとなっています。
 
10月24日に発表された
気象庁の11月~1月の「3か月予報」でも、
「寒気の影響が弱く、
 気温は北日本で平年並か高く、
 東・西日本と沖縄・奄美で高い」と
予想されています。(ホントかな?)