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七十二候「金盞香」

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「きんせんかさく」
と読みます。
 
ここでいう「きんせんか」とは、
春に咲くキク科の「金盞花」ではなく、
ヒガンバナ科の「水仙」のことを
指しています。
その「水仙」の花が咲き、
芳しい香りを放つ頃となりました。
 
甘く漂う「水仙」の香りには、
心を落ち着かせ、リラックスさせる効果が
あるそうです。
だからこそ「咲く」や「開く」ではなく、
「香し」とする候名が出来たのでしょう。
 

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「金盞」(きんせん)とは、
黄金の杯(さかずき) を意味し、
芳香を漂わせる「水仙」を指します。
 
日本各地に自生する水仙である
「ニホンスイセン」には、
6枚の花びらの真ん中にある
黄色い副花冠を「杯」に見立て、
外側の白い花弁を「白銀の台」に例えた、
「金盞銀台」(きんさんぎんだい)という
風雅な呼び方があります。
 

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「水仙」という名前は、Chinaの古典にある
「仙人は、天にあるを天仙、地にあるを地仙、
 水にあるを水仙」という言葉に由来すると
言われています。
また水辺で咲く可憐な花の姿と芳香が
あたかも仙人のように感じられるところから、
そのように呼ばれるようになったとも
言われています。
 
細身で可憐な姿でありながら、
寒さに強い一面を持っており、
雪の中でも寒さに負けずに
スッと立ち上がって咲く姿から、
別名「雪中花」(せっちゅうか)とも
呼ばれています。
 

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「水仙」は、日本各地に群生していますが、
特に本州以南の
比較的暖かい海岸近くで野生化し
越前海岸淡路島、房総半島が
「日本水仙の三大群生地」と言われています。
 
 
上品な香りとその凛とした佇まいから、
「お正月の花」や「茶花」としても人気ですが
実は強い毒性があることでも知られています。
水仙は誤食すると中毒症状として、
嘔吐・下痢・発汗・頭痛・昏睡を発症するので、
決して食用では用いません。
また、切口の乳液が皮膚に着くと
皮膚炎を起こすこともあります。
 
 
葉はニラ、アサツキ、ノビルに、
また鱗茎はタマネギと間違えやすく、
毎年のように中毒事故が発生していますので
ご注意下さい。
 
 
一方現在「金盞花」(きんせんか)
呼ばれるものは、
江戸時代の末に渡来した
キク科の花のことです。
花の形と色を金の盃に例えた名前です。
 
「金盞花」は「春」の季語ですが、
花の咲いている期間が長いことから
「常春花」(じょうしゅんか)とも言います。
それどころか、冬でも咲いているため
「時不知」(ときしらず)とも呼ばれています。
 
学名は「カレンデュラ」言います。
自然の着色料として、様々な料理の色付け
として利用されてきました。
利用の仕方が
高価「サフラン」に似ているため、
「貧乏人のサフラン」とも呼ばれてきました。
ハーブとしての「カレンデュラ」は、
皮膚や粘膜の修復、殺菌作用、
身体の内側の炎症の抑制など
様々な効能があるため、
「万能ハーブ」「皮膚のガードマン」と
言われることもあります。
 
 

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