江戸時代に発行された『暦便覧』(こよみびんらん)には、
「つゆが陰気に結ばれて、霜となりて降るゆへ也」
とあります。
「時雨が降った後に、雨の露と陰気が結びついて、
霜が降りて霜柱となる」という意味です。
風が一層冷たく感じられ、
地域によっては霜が降りる頃になりました。
朝晩の温度がぐっと下がり、木々は色づき始めています。
木々の紅葉には、 朝晩の冷え込みが関係しているのだそう。
朝の最低気温が10度以下になると紅葉が始まり、
気温が低くなるほどに、葉は色鮮やかに染まっていくのだそうです。
山野へ出かけて美しい紅葉を愛でることを
「紅葉狩り」と言います。
『万葉集』の中に
「紅葉」や「黄葉(もみち)」という言葉が出てきますので、
紅葉を愛でる習慣はあったようですが、
現在のように「紅葉狩り」が一般に広まったのは
江戸時代中期の頃とされています。
その当時、伊勢神宮へお参りする
「伊勢講」(いせこう)や「熊野詣」(くまのもうで)などの影響で
庶民の間で旅行が流行していました。
この旅行ブームの火付け役となったのが
『都名勝図会』などの名所を紹介するガイドブックで
「紅葉の名所」が紹介されると、たちまちそこに人が押し寄せ、
紅葉の木の下に幕を張り、
お弁当やお酒を持ち込んでワイワイ盛り上がったようです。
さて、暦の上では「霜降」は秋の最後の節気です。
「霜降」を過ぎると、いよいよ冬がやってきます。
コートや暖房器具の準備など、
そろそろ冬支度を始めてもいいかもしれませんね。
温かいお鍋やスープも美味しくなってきました。
本格的な冬に備えて、しっかりと栄養をとっておきましょう。