「寒中」(寒の内)の約30日の間に、
寒苦(かんく)に耐えて行う修行を行うことです。
寒行(かんぎょう)
「寒行」(かんぎょう)とは、「寒中修行」の略で、
小寒から節分までの「寒中」の30日間に、
寒苦に耐え、寒さを耐えしのんで行なう
修行のことです。
寒苦(かんく)
寒さによる苦しみ、凍えるような寒さ、
冬の辛い寒さのこと。
一年中で最も寒い時期の修行であるために、
厳しい苦行となりますが、
その苦行が多くの功徳(くどく)をもたらす
という信仰が背景にあります。
一般に「寒行」には、
僧侶を中心とした寺堂や道場での
座禅・誦経・念仏・題目の他、
鉦を叩きながら民家の軒先や社寺を巡って
念仏や和讃(わさん)を唱えるなどがあります。
「和讃」(わさん)
和語(日本語)で、仏・菩薩・高僧の
徳や教えを讃える歌のこと。
仏教を日本的に解釈した親しみやすい
仏教讃歌として平安時代中期から普及し鎌倉時代に更に発展しました。
寒行托鉢(かんぎょうたくはつ)
寒中の期間、僧侶達が市街地を
托鉢して回る修行のことです。
僧侶は右手に持鈴(じれい)、
左手に鉢を持って歩きます。
鈴の音が近づくと、住民は家の外に出て、
僧侶に浄財を寄進します。
寒念仏(かんねぶつ)
寒中の期間、僧や信徒などが、
鉦や太鼓を叩き、
念仏や題目を唱えながら
市中を歩き、報酬を乞うもの。
寒施行(かんせぎょう)
小寒から節分までの「寒中」の間に、
夜間に、小豆飯や餅、油揚げ、稲荷ずしなどを
村の辻や祠(ほこら)、野の窪みなどに置いて、
餌の少なくなるこの時期に狐や他の獣などに
恵むこと。
これがなくなれば、
その年は豊作になると言われました。
寒参(かんまいり)
信心または祈願のために寒の30日の間、
毎夜、神社や寺院に参拝すること。
白衣に鉢巻を締め、裸足で、鈴を振りながら、
苦行として行います。
裸や裸足で参る人が多かったところから
「裸参り」(はだかまいり)とも言われます。
裸参り(はだかまいり)
晒(さらし)または褌(ふんどし)に
草履または草鞋(わらじ)など
軽微なものを身に着け、
裸に近い格好で神社などにお参りする
年中行事のこと。
寒詣(かんもうで)
寒の三十日間の夜、寒気を堪えて
神社や寺院に参り、祈願する行のこと。
寒垢離(かんごり)
寒中に社寺に詣でる「寒参」(かんまいり)をして、
更にそこで冷水を浴びたり滝に打たれたりして神仏に祈願する荒行を「寒垢離」(かんごり)と
言います。
行者は褌姿や白装束になり、
心身を凝らして「行」を行いました。
「寒の水」に触れると
霊力が授かるという信仰が、
いろいろ変化して現代にまで伝わり、
「寒中水泳」とか「寒稽古」などといった
行事が各所で行われています。