小望月(こもちづき)
「小望月」(こもちづき)とは、
陰暦八月十四日の夜の月、
つまり「満月」の前夜の月のことを言います。
満月のことを「望月」(もちづき) と言いますが、
あと一日で「望月」になるので
あと少しで満ちるという意味から、
「小望月」(こもちづき)と付けられました。
江戸時代初期は、
「こもち (小望月)」 を「こもち (子持ち)」 と掛けて
その日は自分の家に、
子供達を呼ばないなどということもあった
ようです。
なお十四日の月なので、
「十四夜月」(じゅうしやづき)とも言います。
待宵(まつよい)
十四夜の月は「待宵」(まつよい) とも言います。
「十五夜」の明日の天気は
曇りや雨ということもあるので、
まずは前夜の今宵の月を観賞して楽しもう
というものです。
元々「待宵」(まつよい) は、
「人を待つ宵」という意味の言葉でした。
それが近世期の歳時記の決定版と評される
嘉永4(1851)年刊行の
『俳諧歳時記栞草』(はいかいさいじきしおりぐさ) に
「翌 (あす) の夜の晴曇り、
はかりがたければ先月宵月を賞する也」
という一節により陰暦8月14日の宵、
つまり「中秋の名月」の前日や、
その日の月を指すようになりました。
翌日の名月に期待しつつも、
必ず晴れるとは限らないという思いで眺める
空にかかる月は、あと僅かで満月。
放つ光も満月の遜色ないほどの美しさです。
それでもなお、僅かに満ち足りない、
そんな未完成の哀しさに惹かれる思いも
感じさせる言葉です。
「幾望」(きぼう)
「幾望」(きぼう) も十四夜の月のことです。
「幾」は「ほとんど」「近い」、
「望」は「満月」の意味で、
翌日の満月を楽しみに待つという思いが
込められた言葉です。