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六阿弥陀詣(ろくあみだもうで)

 
「六阿弥陀詣」(ろくあみだもうで)とは、
春と秋の彼岸の期間に、
阿弥陀像を祀っている江戸府内の
六ケ所の寺を巡り歩くというものです。
庶民の行楽も兼ねて流行しました。
 
「六阿弥陀詣」をすると、
女性が幸せになれる言われたことから、
特に女性を中心として盛んに巡拝され、
今でも春と秋のお彼岸の時期に
ご本尊の阿弥陀如来が一般公開されています。
 
 

六阿弥陀詣(ろくあみもうで)

 
江戸中期から昭和初期にかけて、
「春の彼岸」「秋の彼岸」の頃になると、
江戸近郊の六つの寺にある阿弥陀仏を巡拝する
「六阿弥陀詣」(ろくあみもうで)
庶民の間で、日帰りで巡れる手軽な遊山として
流行りました。
 
 
全行程は約28km。
巡拝の順番は決まっていませんが、
『東都歳時記』によると、
 第5番目 常楽院 →
 第4番目 與楽寺 →
 第3番目 無量寺・木残(末木) 昌林寺 →
 第1番目 西福寺 →
 第2番目 延命院 (現・恵明寺)・木余 性翁寺→
 第6番目 常光寺
で結願という、時計回りのコースが
多く採られたようです。
 
 
元禄年間 (1700年頃) から盛んとなり、
その後、新たに江戸の西方、
現在の目黒区辺りに「西方六阿弥陀」、
現在の港区辺りに「山の手六阿弥陀」、
また鎌倉に「鎌倉六阿弥陀」、
京都市内に「洛陽六阿弥陀」が生まれました。
 

六阿弥陀伝説

足立庄司宮城宰相あだちしょうじみやぎさいしょう(足立の長者)の娘の
足立姫は不仲な姑との生活に耐えきれず、
侍女12人とともに川に身を投げてしまいます。
 
足立の長者は悲しみ、娘や侍女の菩提のために
諸国の霊場巡りに出立。
紀州牟宴の郡熊野権現に参籠した際に、
霊夢を蒙り1本の霊木を得、
これを熊野灘に流すとやがてこの霊木は
国元の熊野木というところに流れ着き、
この霊木は不思議にも夜ごと光を放ちました。
 
 
足立の長者は、高僧・行基(ぎょうき)に依頼し、
6体の阿弥陀仏と
余った木でもう1体の阿弥陀如来像を、
更に残りの木で1体の観音菩薩像(木残観音)を
作らせ、娘の供養のために、近隣の6つの寺院に
一体ずつ安置したと言われています。
 
足立姫が姑の嫁いびりによって
死を選んだことから、女人成仏の寺として
女性の参詣が多かったようです。
 
足立区のサイトには、次の話が載っています。
昔、足立庄司宮城宰相という名家の娘・足立姫が豊島左衛門尉清光という豪家に嫁ぎました。
しかし、姫は引出物が粗末とそしりを受け、
里帰りの際に12人の侍女たちとともに、
荒川(今の隅田川)に身を投げて命を絶ってしまいました。
侍女たちの遺体はすぐ見つかりましたが、
姫の遺骸はついに見つかりませんでした。
父・宮城宰相は、悲しみのあまり、
諸国霊場巡りに出発しました。
紀伊国熊野権現で1本の霊木を得て、
それを熊野灘へ流すと、やがて国元の熊野木と
いう所に流れ着きました。
折りしも諸国行脚中の行基が通りかかり、
宮城宰相が霊木のことを話すと、
行基は一夜で六体の阿弥陀仏を彫り上げました。
さらに、余り木からもう一体造り、
それを姫の遺影としました。
これらの阿弥陀仏は後に、六阿弥陀として
近隣の寺院にまつられ、女人成仏の阿弥陀として
あがめられたといいます。
 
 

六阿弥陀

 
武州江戸六阿弥陀
 
一番 西福寺(さいふくじ)真言宗
・西方浄土に往生し福楽利益を授ける
・北区豊島2-14-3
 
二番 恵明寺(えみょうじ)真言宗
・旧延命寺。
 家内安全息災延命の利益を授ける
・足立区江北2-4-3
 
三番 無量寺(むりょうじ)真言宗
・福寿無量に諸願を成就させる
・北区西ヶ原1-34-8
 
四番 與楽寺(よらくじ) 真言宗
・一切衆生に安楽を与える
・北区田端1-25-1
 
五番 常楽院(じょうらくいん)天台宗
・戦前までは下谷(上野広小路)にあった。
 S20.3戦災で焼失を機に調布市に移転。
・常に一家和楽の福徳を授ける
・調布市西つつじが丘4-9-1
 
六番 常光寺(じょうこうじ)曹洞宗
・未来には常に光明を放つ身を会得させる
・江東区亀戸4-48-3
 

www.kiamari.or.jp

 
木残 昌林寺(しょうりんじ)曹洞宗
 ・北区西ケ原3-12-6
 
 
西方六阿弥陀(さいほうあみだ)
東京都の中心部にある六阿弥陀霊場。
現在、霊場としての活動はしていない模様で、
第1番と第2番の阿弥陀如来は
現在、個人宅で祀られているらしい。
 
1.西谷山大養寺 浄土宗
   港区虎の門5-9-3
 
2.善長寺 浄土宗
   港区芝公園4-6-3
 
3.春林寺 浄土宗 (廃寺)
   港区三田4-1
 
4.演暢山正覚寺 浄土宗
   港区高輪2-14-25
 
5.萬栄山正源寺 浄土宗
   港区白金2-7-9
 
6.明顕山祐天寺 浄土宗
   目黒区中目黒5-24-53
 
山の手六阿弥陀
現在、霊場としての活動はしていない模様。
 
1.了覚寺(廃寺→心法寺)
 
2.西念寺 浄土宗
   新宿区若葉2丁目
   服部半蔵(正成)の墓所
 
3.高徳寺 浄土宗
   港区北青山3丁目
 
4.善光寺 浄土宗
   港区北青山3丁目
 
5.梅窓院 浄土宗
   港区南青山3丁目

baisouin.or.jp

 
6.龍泉寺 浄土宗
   港区南青山2丁目
 
鎌倉六阿弥陀
 
1.高徳院 浄土宗
   鎌倉市長谷4-2-28

www.kotoku-in.jp

 
2.長谷寺 浄土宗
   鎌倉市長谷3-11-2

www.hasedera.jp

 
3.光明寺 浄土宗
   鎌倉市材木座6-17-19
 
4.浄光明寺 真言宗
   鎌倉市扇ヶ谷2-12-1
 
5.宝戒寺 天台宗
   鎌倉市小町3-5-22

hokaiji.com

 
6.光触寺 時宗
   鎌倉市十二所793

kousokuji.com

 
京都市内
洛陽六阿弥陀(らくようろくあみだ
京都市内にある六カ寺の阿弥陀如来像を巡る
「洛陽六阿弥陀めぐり」(らくようろくあみだめぐり)
江戸中期に始まったとされます。
 
定められた功徳日に、3年3カ月間連続して
一番から六番までの霊場を順番に参拝すれば
祈願成就の功徳が高まるとされます。
 
また一年で最初に行う「初六阿弥陀めぐり」で、
「南無阿弥陀仏」を念ずれば、
極楽浄土へ往生出来ると伝わっています。
 
 
1. 真如堂 天台宗
  左京区浄土寺真如町82
 

shin-nyo-do.jp

 
2. 永観堂 浄土宗
  左京区永観堂町48
 

www.eikando.or.jp

 
3. 清水寺阿弥陀堂 浄土宗
  東山区清水
  
 
4. 安祥院あんしょういん 浄土宗
  東山区五条通東大路東入ル遊行前町560
 
5. 安養寺あんようじ 時宗
  東山区円山町624
 
6. 誓願寺 浄土宗
  中京区桜之町453

www.fukakusa.or.jp