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黄葉(こうよう)

 
 

黄葉(こうよう)

黄葉
広葉樹の銀杏(いちょう)や欅(けやき)
櫟(くぬぎ)、橅(ぶな)など、
黄色くなる葉を「黄葉」(こうよう)と言います。
 
赤色に変わる葉を「紅葉」(こうよう)
黄色に変わる葉を「黄葉」(こうよう)
褐色に変わる葉を「褐葉」(かつよう)
いいますが、これら厳密に区別することは
困難な場合が多いので、
総称として「紅葉」として扱われています。
なお、気象庁では「黄葉」は「おうよう」と呼ぶようです。
 
奈良時代の紅葉は「黄葉」のことだった⁉
 
今では「もみじ」と言えば
「紅葉」を意味しますが、
黄色を最高とする唐の文化に
影響を受けてのことでしょうか、
奈良時代には決して
葉が赤く色づく「紅葉」ではなく、
「黄葉」が主流だったようです。
『万葉集』では、
「紅葉」の字を充てて詠んだものは一首のみで、
「黄葉」を詠んだ歌は100首を越えます。
 
「黄葉」の代表である「銀杏」は
室町時代辺りに伝来したとされていますので、
当時の「黄葉」は、楓(かえで)の一種や
(かつら)、榎(えのき)などのことであったと
思われます。
 
葉が黄色くなる仕組み
 
葉は、「緑」から「黄色」、
そして「赤色」と変化していきますが、
これは葉の中に含まれる
「色素」の違いによるものです。
 
・緑色の色素:葉緑素クロロフィル
・黄色の色素:カロチノイド
・赤色の色素:アントシアニン
 
 
植物の葉には、光合成を行うのに必要な
光合成色素である「クロロフィル」(緑色)や
「カロテノイド」(黄色など)を多く含んで
います。
これらの色素のうち、「クロロフィル」が
最も多量に含まれていることから、
普通、葉は緑色に見えています。
 
 
葉の黄色色素の「カロテノイド」も
若葉の頃から含まれ
葉緑素をサポートする役目を担っていますが、
春から夏は「クロロフィル」が多いため
緑に隠れて存在自体は目立ちません。
 
しかし、秋になって気温が下がり
昼の時間が短く太陽の光も弱まると、
十分な光合成が出来ず
栄養分が得られなくなるため、
葉を落とす準備を始めます。
この過程において
「クロロフィル」が分解されて利用されるため、
「クロロフィル」が減って緑色が薄まり、
代わりに元から葉にあった
「カロテノイド」の色が目立つようになります。
これが「黄葉」になる仕組みです。
 
 
イチョウ(イチョウ科)、
ヤナギやポプラ(ヤナギ科)、
ケヤキやハルニレやアキニレ(ニレ科)、
クヌギやブナ(ブナ科)は黄葉の代表格です。
 
 
褐葉の仕組み
 
また、ブナやケヤキなどでは、
赤く紅葉する葉の「アントシアニン」の代わりに
葉の老化とともに酸化などの化学変化を起こし、
葉の中で「タンニン」が増え、
それが複雑に絡み「フロバフェン」と総称される褐色物質が目立つようになります。
これを紅葉や黄葉に対して
「褐葉」(かつよう)ということもあります。
 
「褐葉」(かつよう)の樹種といえば、
ブナやコナラ、ミズナラといった
ブナ科の樹木が馴染み深いでしょうか。
 
これらの「褐葉」する葉は、
樹種やその年の気温差などで色づき方も
様々になります。
葉をよく見てみると、
真っ赤な色が美しいもの、
斑模様に紅葉していて味わい深いもの、
茶色かかってやさしい色味になっているものと、
1枚1枚それぞれの味わいを持っていて
見ていて飽きません。
 

黄落(こうらく)

 
広葉樹の黄色く色づいた葉が落ちていくことを
「黄落」(こうらく)と言います。
 
「黄落」と聞けば、真っ先に目に浮かぶのが、
銀杏並木(いちょうなみき)ではないでしょうか。
11月を迎えると街の露地や公園などでは、
銀杏の舞い落ちた葉が地面を彩り、
まるで黄色の絨毯を敷き詰めたような
美しい光景を描き出します。
こうした1年で1度しか訪れない季節のことを
「黄落期」と言います。