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炬燵開き(こたつびらき)

 

炬燵開き(こたつびらき)

江戸時代、暖房器具を使い始める日は
「(旧暦)10月の亥の日」と決まっていました。
この日は「炬燵開き」「炉開き」と呼ばれます。
 

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「陰陽五行説」では、
「亥(=猪)」は「水性の陰」に当たり、
火に強く、火災を逃れるとされるため、
「亥の月亥の日」に
火(暖房器具)を使い始めると、
その冬は火事に合わないと信じられていた
ためです。
なお、武家屋敷の「炬燵開き」は
旧暦10月の「初亥の日」(=最初の亥の日)で、
町屋の一般庶民は「初亥の日」から12日後の
二番目の「亥の日」と決まっていました。
江戸の人々は季節感を大切にしていたので、
この日まではどんなに寒くても
炬燵を置かなかったと言われています。
 
因みに令和5(2023)年の二番目の「亥の日」は、
11月25日になります。
 

「炬燵」(こたつ)の歴史

「炬燵」の起源
「炬燵」(こたつ)の起源は、
室町時代まで遡ります。
当時は、炭に灰をかけて火力を落とした
囲炉裏の上に脚のついた台を置き、
衣類などを被せて使っていたそうです。
 
江戸時代の「炬燵」
江戸時代に入ると、囲炉裏の上に櫓を組んで
布団をかけた「やぐらごたつ」や、
畳や床板を切って床よりも下に火入れを作り、
据えつけの「切りごたつ」、
腰掛けることが出来る「腰掛けごたつ」、
様々な形式のこたつが登場します。
 
 
一般家庭に普及したのは、更に後に現れた
火鉢と櫓を組み合わせた可動式のこたつでした。
この持ち歩ける暖房器具は
「行火」(あんか)とも呼ばれていたようです。
 
江戸時代の終わり頃には、
瓦や陶器で囲んでいた「行火」は
木製の囲いに変わり、
「安全こたつ」というものも開発されました。
 
「掘りこたつ」は明治時代から
明治時代には、
囲炉裏を床より下げて作り、
床の上に櫓を組んで布団をかけた
「掘りごたつ」が考案されました。
英国人陶芸家のバーナード・リーチが
発明したと言われています。
 
昭和中期から昭和後期は木炭から豆炭に
大正9(1920)年には、熱の持ちが
余り良くなかった「木炭」に代わって、
より長く燃え続ける
「豆炭」(まめたん)が登場しました。
 
「豆炭」(まめたん)は、
無煙炭の粉に木炭などの粉を混ぜ、
粘結剤を加えて豆形や卵形に固めた
固形燃料です。
この「豆炭」を鉄製の箱状のものに入れた
「豆炭行火」をテーブルの下に取り付けて使う
「豆炭ごたつ」が誕生し、
一晩中温まることが出来るようになりました。
「豆炭ごたつ」で火事の心配は減りましたが
一酸化炭素中毒の危険性は変わらずありました。
 
「電気こたつ」の登場
大正時代後期になると、炭火より安全な
電気式のこたつが発売されましたが、
余り普及しませんでした。
戦後の昭和32(1957)年に東芝から座卓型の
「電気やぐらごたつ」が発売されると、
一気に大ブレイク。
天板の裏に電気ヒーターが付いているので、
足をゆったり伸ばして使え、
移動も設置もカンタンなことから、
瞬く間に大ヒット商品となり、
一般家庭に広く普及しました。
 
現代の電気こたつ
現代の電気ごたつは、簡単に言えば、
やぐらの中を温める「発熱体」と、
温度調節をする「サーモスタット」、
電源を入・切する「コントローラー」の
3つで成り立っています。
 
「サーモスタット」は、
やぐらの中の温度を逐次検出し、
マイコン制御により発熱体への通電を
こまめにON/OFFする方式のものが
多いです。
 
こたつの発熱体には、
「赤外線ランプヒーター」と「石英管ヒーター」
があります。
 
「赤外線ランプヒーター」
ハロゲンヒーターを用いたものが多く、
電源をONするとすぐに発熱するが、
熱源の大きさと発熱性能が比例するので、
体積が大きく、邪魔になるのが難点だ。
 
「石英管ヒーター」
石英管で覆った
ニクロム電熱線が発熱するもので、
発熱体が小さいので邪魔にならず、
見かけもスッキリしていますが、
やぐらの中が明るくならないので、
暖かさを実感しづらいです。
 

炬燵にみかん

昭和の冬の光景といえば
「こたつでみかん」でした。
みかんは箱で買い、
炬燵の上にはみかんの籠がありました。
 
 
冬はみかんの旬の時期です!
みかんは、こたつの上に置いておいても
10日から2週間ぐらいは保存がききます。
子供でも自分で剥いて食べることが出来ます。
水分補給も出来ますし、
風邪の予防に効果があるビタミンCが
たっぷりと含まれています。
こたつは1990年代をピークに
急激に生産台数と出荷量を減らしています。
フローリングのリビングが増えたことや、
一家に一台だったテレビも
一部屋に一台近くになったことといった
住宅環境の変化が、
こたつが減っている要因と言われています。