12月16日は「念仏の口止めの日」です。
正月の神様(歳 [年] 神様) は念仏が嫌いなので、
この日の翌日から1月16日の「念仏の口明け」までは
念仏を唱えず、歳神様に手を合わすという風習です。
12月16日に行われる所が多いようですが、地方によって日が異なり、
兵庫県美嚢郡では12月11日になっています。
また、佐渡では「念仏の口止め」前の12月13日の夜に、
三十三か所または五十か所の墓を
鉦(カネ)を叩いて念仏と唱えて回る「墓場念仏」という行事があるそうです。
13日の晩に行って行事が終わると、
それを一区切りとして「念仏の口止め」となります。
現在は、「佐渡」という場所のみの話ではありますが、
昔の日本では他の場所でも行われていたのかもしれません。
日本では古来より、亡くなった人の魂は
山中の常世に行って「祖霊」になると信じられてきました。
そして山の神となった「祖霊」は、
春になると山から降りて「田の神」となって豊穣をもたらし、
お正月には「歳神様」として子孫の元を訪れ、繁栄をもたらしてくれると
信じられてきました。
その「祖霊」である「歳神様」は、
なぜか念仏を好まないと言われています。
正月のように元々祖霊祭であった「お盆」は、
寺院の関与も大きく、仏教的な色彩が強い行事であるのに対し、
お正月の方は、仏教的な行事がほとんど見られないのは興味深いところです。
五穀の豊作を祈る「歳神様」は念仏が嫌いなのか、
祝祭に、「死」を連想させる念仏は控えた方が良いと考えたのか・・・?
どの宗教にもあてはまらない、
どの宗教にもあてはまらない、
いわば日本古来の独自のスタイルである信仰です。
因みに、正月明けの1月16日に念仏を唱え始めることは
「念仏の口開け」と言って、
墓参りをしたり仏壇に供え物をして、先祖供養が行われます。