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雛納め(ひなおさめ)

 
3月3日の「雛祭り」が祭の終わった後、
雛人形を仕舞うことを
「雛納め」(ひなおさめ)と言います。
 
 

「雛納め」(ひなおさめ)

雛人形を片付けることを
「雛納め」(ひなおさめ)と言います。
江戸時代にはその際、蕎麦を供えて食べる
習わしがあったようです。
 
「雛蕎麦」(ひなそば)
「節句そば」とも言い、桃の節句の翌日に
雛飾りを仕舞う際、雛壇に供えました。
紅・白・緑の3色の蕎麦で、
更に黄・黒の2色が加わったものは
「五色蕎麦」と言いました。
 
 
雛の顔や手先をを柔らかな和紙で包み、
細々とした道具ともども
薄い綿をあてがったりして元の箱に納める・・・。
華やかで楽しかった「雛祭り」が
終わってしまうという淋しさもあり、
再び箱の中に戻る雛の姿には、
物の哀れが漂っているように感じられます。
 
 
ですが一方で「雛人形」の片付けは、
普段余り触れることのない
日本の伝統的な文化と精神的な価値観に
触れることの出来る貴重な機会でもあります。
 
 
特別感のある素材を使って、
細部まで緻密な装飾が施された「雛人形」は、
職人達が心を込めて一つずつ手作りした
ものです。
 
 
平安時代の宮中衣裳が基にデザインされた
「雛人形」の着物は、
表面的に美しいだけでなく、
重ねた着物の日本特有の色合いが
季節や気持ちを表していたり、
柄にも伝統的な日本の文化が色濃く
残っています。
 
 
更に、子供に取り扱い方や片付け方を教える
絶好の機会ともなるだけでなく、
家族で片付けを楽しむという経験は、
子供にとっても大切な一生の想い出となる
でしょう。
 
一晩で全ての片付けをしなくても大丈夫。
今日は屏風、明日はお雛様などと、
数日に分けてゆっくり片付けるのも、
また楽しみ方の一つですね。
 

雛人形を片付ける時期は
いつがよい?

 
「雛人形」を片付けるのは
「節句が終わったら出来るだけ早く」と
言われているため、
3月3日が終わると「早く仕舞わなくては」と
大慌てする方が多いのですが、
3月3日の夜とか翌3月4日に片付けなければ
いけないことはありません。
 
雛人形を片付けないと
お嫁にいけなくなる⁈
 
「雛祭りが終わってすぐに雛人形を仕舞わないと
婚期が遅くなる」という言い伝えがありますが、
これはあくまでも迷信です。
ではなぜ、「雛人形」を早く片付けなければ
ならないと言われるようになったのでしょうか?
これには主に3つの説があります。
 
 
1.厄払い説 

  

「上巳の節句」は、「雛人形」に
子供の厄や災いを移して厄を祓う行事です。
そのため、厄や災いをずっと片付けずに
そばへ置いておくと、移した穢れが戻って来てしまうと考える方もいるようです。
 
2.躾説 
「片付けも満足に出来ないようでは、
 きちんとした女性になれず、
 いいお嫁さんにもなれませんよ」
という躾の意味が込められています。
 
「お祖父ちゃん・お祖母ちゃん・両親や
 その他たくさんの親戚に祝われて
 頂いた雛人形を粗末に扱い、
 放置するような人は誰にも選ばれませんよ
(結婚できませんよ)」
 
3.結婚象徴説 

  

「雛人形」は婚礼の様子を表しているので、
飾る時期を娘の結婚になぞらえた説です。
 
娘を他家へ嫁がせることを
「片付ける」と表現していたことから、
いつまでも「雛人形」を片付けないでいると、
娘が片付かないという言い伝えが生まれた
ようです。
 
片付けが遅れても
「雛人形を後ろ向きに置けば大丈夫」?
 
すぐに仕舞えない場合には、
「雛人形」を後ろ向きに置けば、
「雛祭り」はお終いという意味になり、
「雛人形」は眠ったことになるという説が
広く知れ渡っています。
 
ただこれは根拠も中身もない嘘です。
「雛人形」を後ろ向きに置いて
放置することのほうが
よほど縁起の悪い慣習のように思えます。
 
結局、「雛納め」は
いつまでにしたらいいのか?

  

その他にも、
 ◎ 飾り付けてから奇数になる日に仕舞う
 ◎ 蕎麦をお供えしてから仕舞う
 ◎ 二十四節気の「啓蟄」に仕舞う
 ◎ 雛祭りから約2週間を目安に、
   新暦の3月の中旬頃までに仕舞う
など様々な説があります。
 

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とは言え、片付けるのが遅くなったとしても
特に問題が起きる訳ではありません。
時期よりも、「湿気のない晴れた日」に
仕舞うのが最優先するべきことです。
子供を守る人形ですから、
人形を労いながら丁寧にお片付けしましょう。
 
 
雛人形はいつから飾るのが正解?
お雛様は、「この日から飾るのが正しい」と
いう明確なルールはありません。
一般的には、「節分」の翌日の「立春」から
2月中旬頃までに飾るのがよいとされています。
「上巳の節句」は春の節句ということもあり、
春の訪れを告げる「立春」がベストタイミング。
「節分」で豆まきをして厄を払った後に飾ると
覚えておいてもいいかもしれませんね。
遅くとも、「雛祭りの一週間前」までには
飾り付けを済ませるのが良いでしょう。
勿論、節分より早く飾っても問題はありません。
 

雛人形は湿気が一番の敵!

シミ・汚れの多くは「湿気」
雛人形を片付ける時に
最も気をつけたいのは「湿気」です。
雛人形のお顔や着物などに出る
シミ・汚れの多くは、「湿気」が原因で
発生してしまったものです。
 
お片付けの時に「湿気」を一緒に
箱の中に仕舞込んでしまうことで、
1年かけて箱の中でシミとなってしまうのです。
 
雛人形の片付けは「日柄」よりも
「片付けが遅れてしまうこと」よりも、
「湿気」を取り込まないように
「天気のいいカラッと晴れた日」を
選ぶことが最も大切です。
 
そのために、片付けが
どんどん遅くなってしまったとしても、
「雛人形」を楽しむ時間が増えたと捉えて、
「湿気が多い日」や「雨の降ってる日」は
延期にしましょう。
 
 

「雛人形」の片付けのポイント

雛人形を片付ける時に
気をつけたほうが良いことやコツなどを
まとめてみました。
次に飾る際に迷わないように
順序通りに片付けるのがコツです。
 
 
1.湿気の少ない天気の良い日を選ぶ

  

雛人形を片付ける際には、
カビが生えないように一度外気に当てて
湿気のない状態にします。
日付に囚われずに、お節句が過ぎたらなるべく早目に、お天気のよい日を選んで雛人形をしまいましょう。雛人形は一度外気にあてて湿気をとばしてから、羽根のハタキや柔らかい筆を使って人形のホコリをはらってから、しまうようにします。
 
2.片付けを始める前に洗剤で手を洗い、
  よく乾かす
  
 
3.箱は仕舞う前に、中の空気を入れ替える
 
雛人形は必ず入っていた箱へ戻しましょう。
特に段飾りは人形の数が多いので、
間違えないように慎重に仕舞いましょう。
小さい飾りは、まとめて小箱やジッパーの付いた小袋に入れて、箱の中へ納めると失くしにくくなります。
また箱に人形用の防虫剤を入れるのも忘れずに。
4.毛ばたきで全体のホコリを取る
  
雛人形に付いたホコリは、カビやダニなどの
虫が付く原因になります。
ホコリは柔らかい筆や羽根のハタキを使って
丁寧に払い落とします。
木製の台・お屏風・お道具などは、
ホコリを取りながら、付いてしまった
指紋などを柔らかい布で優しく拭き取ります。
5.雛人形のお顔には素手で触れない
  
 
6.薄い和紙などで人形を包む
  
顏は髪と一緒に、薄い和紙で
そっと包むようにします。
包む紙が古くなってきたら、
柔らかいティッシュなどで代用可能。
7.雛人形は手のひらに乗せるように持つ
  
雛人形の着物は型崩れの原因となるため、
なるべく袖を持たずに
手のひらに載せるようにして持ちましょう。
8.箱の中でぶつかって破損しないよう固定
  
ホコリを払った人形は箱の中で動かないように薄い和紙で包みます。
箱の中でぶつかって破損しないよう、
空間には丸めた紙などを入れて固定します。