うまずたゆまず

コツコツと

夏の雨

 
日本語の雨は、天から降る水の古語
「天水」(あまつみず)が次第にに転じて
「あめ」となったとも言われています。
自然の営みとともに暮らしてきた日本には、
雨の呼び名が数多くあり、
何と400種類以上とも言われています。
 
 

初夏の雨

翠(翆)雨(すいう)
夏の初めに、翠(みどり)に染まった
草木に降り注ぐ恵みの雨のことです。
梅雨の雨のようにジメッとした印象ではなく、
初夏の雨らしい涼しげな印象もあり、
昔の小説ではよく使われる表現でした。
雨によって緑がより鮮やかに輝く姿は、
とても美しいでしょう。
 
緑雨(りょくう)
新緑の頃に降る雨。
別名は、「翠雨」(すいう)という
名前の表現をされることもあります。
 
若葉雨(わかばあめ)
若葉を濡らして降る雨。
 
青葉雨(あおばあめ)
木々の青葉に降り注ぐ雨のことを言います。
春萌え出た新芽がだんだん緑濃く、
青葉の頃を迎え、
その頃に青葉を濡らして降る様が
初夏の風情を感じさせる季語です。
 
虎が雨(とらがあめ)
旧暦5月28日に降る雨のことを
鎌倉時代の「曽我兄弟の仇討」に由来して
「虎が雨」(とらがあめ)と言います。
 
伊豆地方を領地にしていた父親を殺された
曽我兄弟は敵討ちを見事、討ち果たすものの、
兄の十郎祐成(じゅうろうすけなり)
敵の刃(やいば)により命を落としてしまいます。
 
これが旧暦5月28日のことで、
以来、この日に降る雨を
祐成の愛した遊女、虎御前が流す涙と重ね、
「虎が雨」と呼ぶようになりました。
「虎の涙」「虎の涙雨」「曽我の雨」とも
呼ばれています。
 

梅雨の言葉

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七夕の雨

「七夕」の時期は、
まだ「梅雨」が明けていないので、
雨になる確率が高いです。
 
<七夕の晴天率>
  エリア 晴天率
1位 那 覇 41%
2位 金 沢 30%
3位 鹿児島 26%
4位 札 幌 22%
5位 福 岡
広 島
大 阪
19%
8位 東 京 15%
9位 高 知
名古屋
仙 台
7%
12位 長 野 4%

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洗車雨(せんしゃう)
「七夕」の前日に降る雨のこと。
「洗車」とは彦星が乗る「牛車」のことで、
七夕の前日、織姫に会うために、
彦星は牛車をキレイに洗います、
その時にこぼれた雫が
「洗車雨」と呼ばれる由来になっています。
 
酒涙雨(さいるいう)
「七夕」の当日に降る雨のことです。
彦星と織姫が別れを惜しむ涙とか、
再会出来なかった無念の涙とか、
「催涙雨には様々な意味が込められています。
 

一発雨(いっぱつあめ)

一時、サーッと強く降って、
すぐに上がってしまう夏に多い雨のこと
 
「夕立」(ゆうだち)
夏の夕刻頃に、突然強く降りつけて
数分後には止むといった雨のこと。
「立」というのは、
夏の夕方に急成長した雨雲が
上空に立ち込めるといった状況から、
「夕立」という表現が使われるように
なりました。
 
ヒートアイランド現象などの
温度上昇による急な雨の場合は、
「ゲリラ豪雨」という名称で呼ばれ、
「夕立」とは区別されています。
 
白雨(はくう)
「夕立」の別名。
視界が悪くなるほど雨が地表に強烈に当たって目の前が白っぽくなります。
夕立の降り方から捉えた表現です。
 
銀竹(ぎんちく)
「銀竹」(ぎんちく)とは、大雨や夕立のこと。
激しい雨を銀色の竹に見立てています。
 
滝落し(たきおとし)
烈しい雨。滝が落ちる様子になぞらえています。
 
篠突く雨(しのつくあめ)
篠竹(しのだけ)を束ねて、
地面に叩きつけるように激しく降る大雨。
 
驟雨(しゅうう)
急に激しく降り出して、
しばらくするとやんでしまうにわか雨のこと。
群雨(叢雨/村雨)(むらさめ)とも言う。
 
肘笠雨(ひじかさあめ)
にわか雨のこと。
「肘笠」(ひじかさ)とは、肘を頭の上にあげ、
袖を笠の代わりにして雨を防ぐこと。
 
狐の嫁入り(きつねのよめいり)
青い空が見えていたり、
日が照っていたりするにも関わらず、
パラパラと気まぐれに降る雨のことです。
「天気雨」や「日照雨」(そばえ)とも言います。
 

恵みをもたらす雨

 
慈雨(じう)
物や草木を潤し、生気をもたらす雨のこと。
 
喜雨(きう)
日照り続きの時に降る雨のこと。
カンカン照りの日光に
長期間照らされ続けた
大地や植物に潤いを与えて、
生命の息を吹き返させてくれる喜びの雨。
「雨喜び」(あまよろこび)とも言います。
 
瑞雨(ずいう)
「慈雨」や「喜雨」と同じように、
夏に生きる生命へもたらす恵みの雨のこと。
 
「瑞」という漢字には、
めでたい、美しい、瑞々しい(みずみずしい)といった喜びを表現する意味が込められており、
夏の暑さと水不足の過酷な状況に
恵をもたらしてくれる雨です。
 
なお「瑞雨」(ずいう)は、
夏季の雨が少ない時期に降り注ぐ雨なので、
しっかり降ったとしても1日程度です。
 
御山洗(おやまあらい)
夏の登山シーズンになると、
多くの登山家が
「富士山」に足を踏み入れます。
「御山洗」(おやまあらい)とは、
富士山が閉山する
陰暦の7月26日頃に降る雨のことで、
夏の間たくさんの登山客を迎え入れて
汚れてしまった富士山を洗い流すといった
意味です。
 

晩夏

土用雨(どようあめ)
「夏の土用」の時分に降る大雨のこと。
 
涼雨(りょうう)
晩夏の頃、涼しさを感じさせる雨のことで、
季節の変わり目を予感させる雨です。